仙厓 ―禅画にあそぶ―(出光美術館)
博多あたりの仙厓って人の禅画などの展示。ヘタウマというか、ちゃんとした墨絵のテクニックを持っていて、わざと脱力系で描いた人である。脱力だがしかし禅に基づく深い意味があったりして、これはなかなか私なんぞの創作作品が目指したいところである。
最初の方の禅画のコーナーが一番面白いね。ポスターにもなっている「指月布袋画賛」は、月(描かれていない)を指している布袋(というかおっさんみたいなの)の指す方を見て喜んでいる幼児(みたいな、なんかカワイイやつ)の絵。偉い人の示す方を見て喜んでいるようじゃ悟りは開けないよ、という意味があるらしい。あと「座禅蛙画賛」は、座禅で悟りが開けるなら、常に座禅しているように見える蛙はとっくに悟りを開いてますぜ、って絵。これも太線のユルユルの蛙の絵だったりして一見和やかだ。
仏画のコーナーがあり、この人、シャープな線もちゃんと描ける。あと、竹の絵なんぞは水墨画としてなかなか見事だ。それから、布袋の絵が2つ。1つは細線で描いてグラデーションもちゃんと付けている正攻法。もう一つは脱力布袋。他にも脱力キャラは多い。利休、牛若丸&弁慶、七福神、龍虎なんかは、北斎のと対極にあるね。俳句のパロディ「古池や芭蕉飛び込む水の音」とか。それから禅のゼ会に戻って「○ これくふて茶飲め」。丸は禅の世界じゃ悟りの象徴だかなんだかで、そんなものにとらわれるぐらいなら、饅頭に見立てて食っちまえと。そして仙厓の代表作にして問題作「○△□」これは解釈の手がかりが何にも無いそうで、外国で展示した時、禅の研究者が「The Universe」という題が付けて話題になったそうな。なぜ「世界」なのか、みんなで考えてみよう。
後半は屏風から、博多の風景やら石のコレクションやら、面白いし親しみやすいが、まあ深さはイマイチかな。
なかなか見ごたえもあるし面白いぞ。月休10月28日まで。
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