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2010年11月30日 (火)

そういえば

美術検定を受けて以来、というか受ける準備をして以来、ブログでは「このジャンルはアウェー」という言い方が増えましたな。前も書いたが、「美術だったら何でも好き」って言っているヤツは絶対何かおかしい、と思うよ。

そんなわけでもはや美術関係の本など読んでなくて、荒俣宏の「レックス・ムンディ」という小説を読んでいる。博学を生かしたイカすSF的知的小説なんだけど、伏線がバレバレなのは作者の想定内なのか? 

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2010年11月28日 (日)

明治の彫塑 ラグーザと荻原碌山(東京藝大美術館)

あーラグーザってどっかで聞いたと思ったら、明治になって初の美術学校である「工部美術学校」の彫刻の人だったね。試験に出るよ。

そのラグーザ作品がいろいろ見れるぞ。「小児のバッカス」や「祈り」というストレートにうまいヤツを目にすると、ああ当時の日本に来てくれてありがたやとか思う。当時の日本の大工とか娘とかもあるぞ。大工はチョンマゲだぞ。あとラグーザはその、日本の娘と結婚したそうな。

あと荻原碌山は、ロダンに教えてもらったんだって。いやー彫刻はちょっとアウェーなジャンルなんだよねぇ、トルソなんて首と手足がないもんを作るヤツの気が知れねえなあワッハッハ……というぐらいアウェー。奥の部屋に碌山の最高傑作の「女」を展示。そのオリジナルとか、複製とか、計測してハイテクで再現とか。いくつも並んでいる。複製品の作り方もパネル展示。どうもいいけどこの、手をうしろに組んで、顔を上げて裸体をつきだしてる格好ってどうよ。顔が少し違えば「ちゅーして」になるし、顔がそのままでも「して」ぐらいになりゃせんか?(何書いてやがるとか思うかもしれないが、キミだってこの手のを見て一度ぐらいそういう風に考えたことあるだろ。無い? ええっ?)おお、そうだ、なんでこいつにゃチクビが無いのじゃ? 造形的に云々というより、チクビなんぞ付けたらさらにヒワイになるからイヤとか考えたんじゃないか荻原先生あひゃひゃひゃ…………というくらいアウェーなジャンルだ。一階にもこの「女」のブロンズがあって触っていいんだって。いいんですか胸とか両手で触っちゃって(そんなことをしているヤツはいない)。さすがに胸触るのもナンだから腕とか背中とか触ったが冷たいよブロンズって。
http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2010/ragusa/ragusa_ja.htm

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黙示録ーデューラー/ルドン展(東京藝大美術館)

おなじみ新約聖書の「ヨハネ黙示録」のヴィジュアル化展示。キリスト教徒じゃない身にとって新約聖書で一番おもしろいのはやっぱりこの「ヨハネ黙示録」でしょ。世界の終末と再生の大スペクタクル。天使とサタンとモンスターが入り乱れる。よってヴィジュアル化する際には、いかに大迫力か、いかにモンスターがカッコいいか、という点に尽きます。(そういや映画「地獄の黙示録」でもキルゴアのヘリ爆撃しか見ていないという底の浅い鑑賞者ですな)

という意味でデューラーのはなかなかよくできています。画面がややごちゃごちゃしているが、そこはむしろ「黙示録らしい」感じ。おもしろいのは「書物を食べるヨハネ」。書物を食べるのがおもしろいのではなくて、そこに立っている天使の足が二本の柱なのだ。衣装は雲。まるでダリの絵ですな。あとモンスターもお約束の、七つの頭の首長竜(もちろん冠付き)みたいなヤツで、イケる。

それからデューラー後として、ゲールングという人のが並ぶ。概ねデューラー風で、例の柱足もおなじのがあった。

それから期待のルドンだけど、デューラーとはひと味違う象徴派風。ただ、あまり黙示録っぽくない。そういえばイラストレーターの天野なんたらってルドンの影響受けてそうだな。あと、この手で黙示録ならモローに描いてほしいと思った。
http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2010/apocalypse/apocalypse_ja.htm

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2010年11月27日 (土)

「その名は蔦屋重三郎」展(サントリー美術館)

「蔦重」こと蔦屋重三郎、といえば写楽や歌麿の版元プロデューサーとして、浮世絵ファンにはおなじみ。その蔦重のプロデューサーっぷりを紹介する企画。写楽歌麿だけじゃなく、北尾重政とか、湖龍斎とかもいるぞと。

しかし「目で見て感じたものしか信じない」という向きには、本の展示はキツい。いちいち解説が書いてあるとしても、見れるのはその中の開いてある1ページだけ。これで何を感じろと言うのかね。結局こういうのがあったんですかはいはいという情報と、資料としての目撃をありがたがるぐらいっきゃないんじゃない。

さて、4階入ってすぐに写楽と歌麿が1枚ずつ出ている。ただ、次からすぐ蔦重とは何者か、というコーナーで、蔦重を描いた絵本がずらっと。で、解説も多い。会社帰りの疲れた神経には読んでられん……読めば面白いんだろうけどさ。

それから蔦重が生まれ育って活躍した吉原の紹介。湖龍斎とかの花魁の絵とか、歌麿のおなじみ「青楼十二時」とか(遊女の一日生活、展示替えで少しずつ見せてる)。北尾政演こと山東京田の「助六」の顔を出さないってのは江戸の粋だね。国芳もやってた。

それからまた本がずらずら。歌麿の「画本虫撰」はもっと見せてほしいぜ。パネルで全部見せてはあるが本物が見たい。歌麿は美人画だけじゃなくて、実は花鳥虫等の写実も非常に優れているのだ。歌麿の写実ものがちらほら展示されてて嬉しい……って本の一ページなんだけどさ。

吹き抜けんところに蔦屋の店先を再現してあった……んだけど、行った時はイベント「粋曲」とやらをやってた。よく分からん。

3階の展示質は歌麿の美人画から。描線に優れ……とか描きたいが飽きた。保存のいい絵が出ているのがいいぞ。あと写楽。第一期は四枚ほど上の一枚と合わせりゃ五枚か。まあまあだな。しかし写楽ってそんなに優れているか諸君? デフォルメした似顔は面白いが、石部金吉とか「極悪人」って顔じゃないぞ。あと勝川春宵とか春朗(若い頃の北斎)とか。

なんか美術鑑賞的な目玉があるってわけでもなく、文字通り「蔦重という偉いヤツがいた」という納得ものだった。まあ出ている錦絵はみな保存がいいキレイどころみたいだがの。
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/10vol04/index.html

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2010年11月21日 (日)

日比野克彦個展(3331 Arts Chiyoda)

東京おもちゃ美術館と同じく廃校を利用したアートスペース(こういうのなんつったっけ、試験に出るけど忘れた)。中の一面白い壁がイカす。まずまずの広さが嬉しい。アキバが近いので遊べる。

日比野克彦個展の見ものは段ボール製で彩色をした大きな船。種の絵で刺繍やっていいコーナー。自由に持って帰れるアサガオの種もあるぞ。

サブタイトルが「ひとはなぜ絵を描くのか」だ。うーん、私思うに、アーティストってのは「描くという衝動こそが大切だ」なんて思い始めたらダメになっていくんじゃないか、というかダメになっている状態というか。ピカソの晩年はそんな感じだったので、画家とモデルの粗い絵を描き続け、まだ衰えていないと言えば一応そうなんだがイマイチ感が漂う。一方ゴッホはそんなこと考える暇もなく常に衝動だったので、最後の最後まで新鮮だった(まあ若死にだったし、あと狂っていたし)。

今回の個展は、日比野が晩年のピカソ化してるんじゃないかと感じてしまった。エジプトなどで描いた太い描線の作品、ロシアでの落書きみたいな線の作品、いずれも衝動に重きを置いたためにある種の失敗をしているように見えてしまう。なんていうか、無理している感じがするのかな。いやー、日比野はもともとあんな感じだったと言えばそうなんだけどさ。

衝動だけでうまいことデキる、なんてのは歳食ったもののやることではないと思う。と、いうのは昨日YouTubeでバンド「神聖かまってちゃん」を見たもんで。ああいう、雑で衝動的で狂ったようなヤツに憧れる大人は多いだろうが、マジで狂った大人でない限り、まねしたって足元にも及ばない。大人には大人のやり方がある。それば若者にゃできない「小ずるさ」だ。足場と逃げ道を用意して手玉に取る大人のやり方は小ずるくて汚い。汚いが、それが唯一の「勝てる」表現方法だ。と、断定的だけどまあ、ただの思いつきってことで。

日本で描いた段ボール製のポスター(?)は面白いが、これも段ボールポップアートという感じで、目当たらしい印象は無い。うーん、横尾忠則と同じで、日比野もなんとなくアウェーだったか……
でも、いろいろな企画が複合しているので、おすすめできるよ。
http://www.3331.jp/

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2010年11月15日 (月)

バウハウス・キッチン展(パナソニック電工汐留ミュージアム)

「バウハウス展鑑賞の楽しみ」というのは、建築から食器から色彩から立体からデザインから当時の写真から学生証などなどいろいろ入り乱れるところにあると、私は思っているのです。決して「かの美術学校がいかなるものだったか」を勉強しにいくところじゃないのです。分かったかい勉強族諸君。

今回、建築模型は無かった代わりに(全ての造形は建築に行く、という理念なので建築模型が出ることが多い)、キッチンの1/1再現が目玉。

バウハウスは決して男臭いとこじゃなかったそうで、「生活のデザイン」ってことで女子学生も多数いたそうな。まず雑誌「ニューライン」の表紙があり、そこには確かに今時のキッチンに佇む女性がいたりする。それから「ヨーゼフ・アルバースによる素材訓練」という厚紙やら薄板を切り抜いて立体にするのは自分もやりたいぞ。切り方を教えてほしい。それから例によって写真とかスライドとか、ここでは女子学生の様子など。それから織物の学科があって、実際に売れたりしたそうな。そのデザインされた「バウハウス・ワンピース」が2つ。なかなかすっきりしたいいデザインじゃん。それから今回初めて知った「マスダスナン」という極端な菜食の生活管理法をとなえていた人がいたそうで、それを実践した人は、肉不足で倒れたりしたそうだ。あとニンニクが中心でニンニク臭かったと。その「マスダスナン弛緩体操」の写真とか(こういうヘンなものが突然飛び出てくるのがバウハウス展だナ)。それからおなじみ食器類。金属器は結構とんがっているので、子供にゃ危ないぜ。「透明ガラス立方体食器」はいいよな保存容器なんだけど、ウチでよく使っているガラスのに似ている。ウチのは蓋がプラスティック。

それで、いよいよ「マイスターキッチン」の再現。調理場と洗い場が分かれている。でもそんなに広くはないな。調理場の水道はデカくて縁が低いな(公衆トイレのモップ洗い場みたいな)。これは使いやすいのか? コンロとかは当時のものを持ってきたようで、ちょっと錆びついていたりする。隣の部屋にテーブルセットがあり、給湯器がある。うん、なるほど。

最後に常設のルオーを見ておしまい。
普通に楽しんだ。
http://panasonic-denko.co.jp/corp/museum/exhibition/10/100918/

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2010年11月13日 (土)

こたえあわせ

ホームページに回答が出ていたので、先日受けた美術検定の自己採点をしてみた。

3級はマークシート79/100点。うーん、まあこれなら通るであろう。

2級はマークシート66/100点、穴埋め19/30点。うむむむ、微妙ながら期待の持てる点でもあるじょ。合格点は60点~70点だっていうからなあ。しかし穴埋めがなんちゅーか「これができるところは皆できる」みたいなもんだったしなあ。確実に落ちる点ではないが、確実に通る点でもない。通ったら祝杯モンだ。

しかし総じて引っかけ問題かと思っていたのが、素直な問題だったり、「あ、やっぱりこっちにしとこう」と選び直したところが間違っていたりで頭にくるミスも多かった。いや、それより挿し絵がモノクロでしかも小さい、ということは絵を見て誰かを当てる問題で、画風で見抜くことが難しい……ってことは、これは絵そのものを暗記してろってことかい。いやーそういう「審美眼が役に立たない」ってのはどうよ。

この検定は何かの資格というほどでもなく、試験の過去問題集やら、試験対策講座やら、なんか「試験ビジネス」にしてやられている感も無いではない……って前も書いたな。 

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2010年11月 8日 (月)

ああしけんが……

そんなわけで2級と3級を受けてきた。2級は確実に分かった部分は3割ぐらい、これじゃねーかなというので6割、残りはなんじゃこりゃみたいなシロモノ。穴埋め問題、特に美術館を巡る団体とか読んでたけど完全忘れている。運がよければ通るが、概ね落ちそうだ。3級は楽勝かと思っていたら全くそんなことはなく、なんじゃこりゃなのもいくつもある一方、誰がこんなの間違えるんだよという超簡単なのもチラホラ。うーん、運が悪けりゃ落ちるな。

しかし試験直前の会場から、近所の喫茶店まで、参考書広げて勉強しているヤツらがウヨウヨ。常々美術鑑賞に勉強なんて笑止千万だと思っていたが、世の中こんなに勉強好きがいるのね。1級通るヤツなんてどういう感性してんだ? なんかこう、分野に偏りとかコダワリとか無いのか? それともコダワリがあってもなお大量の知識も身につけているのか?

来年は多分受けない。やってられん。しばらく美術以外の本を読みたいよ。

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2010年11月 6日 (土)

あしたはしけん

美術展以外の話題をひさびさに書くが、明日は「美術検定」という試験です。2級と3級を受けます。自信のほどは……うーん、3級はいけるんじゃないかと思うが、2級は旗色が悪い。なにしろ2級からは恐るべき広範囲で、西洋、日本美術だけじゃなくて、ほとんど分からん東洋美術やらデザイン関係やら、美術の技法やら、美術館とは何ぞやまで出る。しかも細かい。こんなん誰ができるんじゃと思うが。美大生ぐらいだと普通にできるらしい。マジヤベエ!

常々、美術は美を楽しむものであり、好きなものを好きなように見ればいいのだと思っていたし、今もそれは変わらないのだが、ここ何ヶ月か美術関係の本ばかり読んできたので、まあいろいろ知らないことやら勘違いも多かったのが分かった。まあ、そういう学ぶきっかけになっただけいいんでねーの……って、既にあきらめムードだっ。うん、3級だけ取れたってあんまり嬉しくないんだよねー

2級を取れた場合に限り1級に挑むつもり。ただ、問題は1級には記述問題がある。手で文章を書くのだ。うわあああ、もうキーボードしか使ってなくて字が汚くて自分でも読めないのに、どうしろってんだよ。ポメラでも使っていいなら軽くやってやるが。 

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2010年11月 4日 (木)

TOKYO DESIGNER WEEK 2010(神宮外苑)

最寄り駅が「外苑前」だったが会場は信濃町から非常に近いのでそっちから行った。しかしなんと行ったら会場裏手で裏からは全く入れない。延々神宮球場の方まで遠回りさせられる始末。ちっきしょー

さて、目当ては日本現代アートの「ジャラパゴス展」であった。製造業の仕事に関わっていると日本製品の「ガラパゴス」はとても褒められた言葉ではないので、このタイトルはどうかと思うが、それはキュレーションのミヅマ氏も重々承知のようで、日本アートのガラパゴス状態は、日本独自の美意識が流れ、世界的に見てもいい感じになっているというもの。ともあれ、今時のイケてる現代アート作家の作品が一同に見られるのがいい。

おなじみ山口晃や天妙屋尚のやまと絵風、巨匠村上隆のヴィトンコラボの屏風とDOB君の絵画、池田学の「興亡史」と幾度目かの再会。会田誠の力作、サラリーマンの死体の山。とまあこの辺までは手堅い。しかし鴻池朋子の強力インスタレーションが炸裂。個展ではミラーボールのような鏡張りの巨大な赤ちゃんの顔がぐるぐる回ってたが、今度は妊婦でしかも顔がドクロ。怖くて気持ち悪いが美しい。それから会田誠のユニットで、段ボールで仮面やら像やら人形やらで埋められた部屋も面白い。しかし山場は野田幸江と熊澤未来子の鉛筆画。野田は薄ら寒く不気味な人物群像(……って表現はなんか陳腐だな)、熊澤はこれがなんというか、これも女の姿いろいろみたいなんだが、裸の妊婦とか描いてて、表情もエグい。鴻池もそうなんだけど、こういうざらざらした感触で迫ってくる作品は女性に多いよね。アニメーション展示2つ。般若心経のはイマイチ。せっかくの手書きアニメにコンピュータ制御の文字はちょっとなあ。文字も手書きにしてほしかった。束芋があり、最後は鴻池のドクロ襖絵で締める。デザインイベントという、センスが良くてクールな連中の前に、いきなり日本古来から続くおどろおどろしい連中が群をなすのは愉快だ。

「ジャラパゴス展」を出て「アウトサイダーアート」という部屋があった。入ってみたが大した作品は無い。私はどうも「アウトサイダーアート(アール・ブリュット)」って過大評価されてると思っているよ。純粋な初期衝動だけの作品「だから面白い」のではなく「面白いのもある」とした方がいい。

他のデザイン部分も見て回ったが、猫に小判状態になっていた。何見ても新鮮さが感じられない。かつて新宿のコンランショップにだってよく行ってたんだからアウェーじゃないはずなんだが、歳のせいかのう……

この企画は今日(もう昨日か)が最終日。

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