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2011年8月31日 (水)

永遠の華宵展(弥生美術館)

日曜に行ったがやっと今記述。

我が人生において「2次元萌え」があったとしたら、それは華宵の乙女において他にない(まあ今後無いとも限らないが無さそうだが)。あれから十余年が経ち、過日の魔力は片鱗を感じる程度で、ほぼ失われてしまった。あれはなんだったんだ……と画集でやなせたかしも書いている。失われると思っていなかったんで、やなせは何を書いておるのかと思ったものだが。

弥生美術館は華宵が常設してある。でも今回はストレート直球に華宵特集なのです。今回は個人蔵の華宵便箋原画が出ていて、それがよかった。ただ、ガラス越しで遠いのも多く。技にはイマイチ唸れない。例によって解説が充実。美術鑑賞というより、レトロ気分の満喫という感じか。お年を召した女性が「んまあ懐かしい、いいわぁ~」などと騒いでいたのが印象に残る。

さて展示は当時の叙情画家紹介から始まり、ブレイクした「中将湯」広告いくつか。ニューヨーク住まいの日本人マダムも愛飲という記事風広告が面白い。話を聞いている男も飲んでるって。男にもいいらしいゾ(今も売っているのかな)。それから挿し絵があり、便せんがあり、着物の柄があり、ポスターがあり、2階に行って美少年画があり、日本画、おなじみ美女軍団屏風大作「移りゆく姿」あり(毎度複製だが)。最後に晩年と、弥生美術館の鹿野館長との交流……って、鹿野氏は2009年にお亡くなりだそうな。本人に一度だけ会ったことがあるのです。

いつもは華宵がある3階には……ありゃ、誰だっけ、忘れた。隣の建物が夢二美術館で2階でつながっている。夢二も美人画特集だゾ。

唐突だが、子供の心を持った者にしか見えない、というのはなんでしょう? その一つが華宵画にあるような理想美に萌えることができるか、というのがあると思うのです。当時の少年少女は華宵画に熱狂した。現実離れした理想美を魂のリアルな描写に感じ取れるのは紛れもなく子供の心であろう。要するに君の近くに「少年(少女)の心を持った大人」を自称するヤツに、華宵の絵を見せてみよう。無反応だったらそいつはきっとニセモノだゾ。美術鑑賞なぞやり始めるイイ年の大人達は既に子供の心を失っているため、華宵の絵を見ても(懐かしいは別として)無反応だったりします。それで、アーティストとしての知名度がイマイチなんだな。

対して夢二の絵は人生の、特に美人画となりゃあ女のスイもアマイも知った者が描く絵ですね。若くして人生経験が豊富な奴が書く恋愛エッセイか。とにかく玄人も好む。言うなれば、華宵の理想美の女は、ある意味女を知らん奴が描いた絵ともいえるか。でも、私は華宵の方が好きである。理想美の方がヴィジュアルがシャープでいいというのも無いではないが、やはり華宵画にはある種の現実を破壊しそうな狂気がある(夢二は恋に狂うとかあったかもしれないが、絵はあまり狂っていない)。優れたものは必ず少しは狂気を含んでいる。これは持論ね。ピカソもゴッホも北斎もフリーダもデルヴォーも、みんなどこか狂気めいたものが絵に含まれているのさ。挿絵画家などとバカにせず、君も華宵に逢ってみてくれ。そう、夢二ではなくね。
http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/

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2011年8月27日 (土)

ニコラ・ムーランすげえ

スマートフォンの背景をやっとオリジナルのものにした。何か? マグリットか? ヴァロか? いや違う。 ニコラ・ムーランの合成写真なのじゃ。森美術館の「フレンチ・ウィンドウ」で見た超現実的風景写真で、私はその時実景かと思ったんだが、どうも違うんだね。特に魅力のある、砂漠のようなところに超高層廃墟が建つ「アスキア・タワー」は、北朝鮮の建設中(中断)のホテルの合成写真だって。検索すると、いろいろ作品が出てくる。ああ、ええなあコンクリート製の巨大廃墟。もっと見たいな。

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2011年8月22日 (月)

GLOBAL NEW ART(損保ジャパン)

田口弘氏のコレクション。近代からイマドキがうまくまとまっている。おー、いいコレクションだなあ。初めて見るアーティストも多かった。

最初はマリーナ・カポスという人の、東京のイメージ画。ポップアートっぽさがあるのはコレクター好みか。漢字で自分の名前を書いているところが面白い。同じ部屋にリキテンスタイン。

ウォーホルのミッキーは銀バックでなかなかいい。キース・ヘリングはあり。ジュリアン・オビーは3Dだぞ。でも私はあまり好みではない。やっぱ人間はツラだべ。ツラが無個性なのはちょっとねえ。それからヨタナン・メーゼのサムライに微苦笑。ダミアン・ハーストは過激なイメージがあるので、ここのは普通すぎる。オスゲメオスという人の、ちょっと独特な雰囲気の絵、いいね。人物が、あの、河原温の「浴室」を明るくしたようなヤツ(そういう説明もナンだが)。

チケットにもなっているヴィック・ムニーズが面白い。悲しむ顔の自画像を、全部オモチャのレイアウトで作っている。あとセザンヌの絵を雑誌の丸い切り抜きを並べて作るとか。こういう「技もの」好きだねえ。1階にも「ひまわり」があるが、これはやっつけっぽかった。
日本のも代表的なものをうまくチョイス。杉本博司、奈良、村上、草間ときて、天明屋のバサラテイストな絵と、例によって不気味な加藤泉の人物画。照屋勇賢の紙袋切り抜きで木を作るバカテクに再会できたのは嬉しい。桑久保徹も再会だ。現美で個展やってた名和晃平は小物。うーん、小物だとこの人イマイチだなあ。そうそう、奈良は焼き物が出ていて、これは新たな方向性かな。

あと「アートと暮らす」ということで部屋が一つ。ソファがあってくつろげるぞ。
ほどほどのボリュームとナイスなチョイスで、ちょっと行ってみるといいですな。
http://www.sompo-japan.co.jp/museum/exevit/index.html

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2011年8月16日 (火)

横浜トリエンナーレ

電車は遅れ、チャージで並び、当日券でえらい並ばされる(前売りを買っていった方がいいぞ)。中に入れば、撮影可能な作品が多いせいかシャッター音がウザい。写真に記録しておかないと記憶に残らないような作品は、所詮君にとって大した作品ではないのでやめておきなさい。

3年前の前回も行った。実はあまりいい印象ではなかったのだが、それでも荒削りながらスケールの大きいのやら普段見れない18禁のヤバいのとかあったりして、今回も何かがありそうだ、という感じがしたのです。しかしながら、今回は美術館も舞台なのか手堅くまとまっていて、18禁などは無かった(夏休みのため下げているのか、単に出ていないのか)。ちなみにビデオ作品はほとんど見てません。見てるときりがないもんで。

舞台は4ヶ所あるが、大きめの2ヶ所を訪問、まず横浜美術館。えーと、なんか電球のデカいのがあったな。トビアス・レーベルガーだって。横尾忠則の暗いY字群は手堅い。おお石田徹也だ。いいけど個展見たからな。今村遼佑の展示に入るのに並ぶ。一見何もない展示室に、入れる人数が決まっているのだ。微妙な作品で正確なところは分からんのだけど、どうもオルゴール針に合わせて、部屋の壁と床の間にある小さいLEDが一瞬光る、というものらしい。注意して見ていないの光るのを見落とす。いや、結構好きだよこういうの。ハン・スンピルとかいう人の溶けた建物。立石大河亞もあったりして、ずっと先に行って、チョン・ジュンホの半伽思唯ガイコツが面白い。試験にでるダミアン・ハーストの蝶の羽根ステンドグラスもいいぞ。マッシモ・バルトリーニの大掛かりなオルゴールもイケる。岩崎貴宏のわざわざ望遠鏡で見る作品、なんてのも、なんでわざわざというところが面白い。オノ・ヨーコの作品が気になったがえらい並んでて飛ばす。何でも本人からかかってくるかもしれない電話が置いてあるらしい。まあオレ電話苦手だし。

次の会場は日本郵船海岸通倉庫。前回はこっちにヤバい作品があった。今回はヤバいのは無いが、こっちの展示の方が面白かった(というかまあ横トリらしかった……ってまだオレ2回目じゃん)。カールステン・ニコライの霧の部屋が普通にいい。砂山に黒いスプーンが一本立っている。何か? 山下麻衣+小林直人、砂鉄からスプーンを作ったんだって。その映像もあり。砂鉄を集める地道な作業。いいね。リヴァーネ・ノイエンシュワンダー。石鹸1個ずつにひらがな一文字が書いてあって、自由に並べて遊んでね、というのは普通。しかし卵の殻の中に字が書いてあって、電球に透かして見る、というのは仰天。これ、どうやって作ったんだ? ピーター・コフィンの迫ってくるCGは片目で見てみよう。遠近が分からなくなってリアルに見えるぞ。ジルヴィナス・ケンピナスの「5番目の壁」が面白い。これも一見何もない部屋だけど、入っていくと壁が見えてくる、おお、こういう仕掛けか。いいね。クリスチャン・マークレーの「時計」。予備知識なしに見てみる。ん、映画の一部だな、おお時計が出てくるシーンを集めたのか、同じ時間を集めてるね、いや、時間が少しずつ進んでるじゃん……ありゃ、これ今の時間だ。これは面白いぞっ。ずっと見てても見飽きないけど24時間分あるんだって。すげえ作品だ。

前回より規模は小さいようだが、「できかけ」みたいなのが少なくて(その手を「現代美術がまさに現在進行形であることを肌で感じる」なんて書きませんぜ)、なかなかよかったよ。しかし、サイトを見たら結構見落としてるな……
http://118.151.165.140/

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2011年8月13日 (土)

空海と密教美術展(東京国立博物館)

密教ってほれ、曼陀羅だのモンスターチックな仏像だので面白いじゃん、行こうじゃんっていう軽い気持で訪問。空海さんにはあんまし興味がない。

そんなミーハー鑑賞者にとっては前半はなんとなくどうでもよくて、後半の仏像達のヴィジュアルを大いに堪能。ま、東博の常として、見所を後半に持ってくることが多いもんで、前半の書とか解説とかで疲れちゃうのは損損。もちろん「空海とは、密教とは」とガッチリ勉強したい人は前半からバッチリ見るとよい。

あーそうだな、ミーハーなら前半でも「弘法大師像」とか「空海自筆の書」はありがたく見ておいたらいいかもね。あと唐時代の気を削り出して作った……なんだ、あの、仏像セット? は芸が細かくていいぞ。現存最古だかの「両界曼陀羅図」があって巨大なんだけど、劣化していてほとんど何も見えない。なんか客が汚い巨大な布を鑑賞しているだけに見えてしまう。あと「五大力菩薩像」はデカくて見応えがある。うむ鎌倉時代か。やっぱり平面での表現は立体よりも後なんだなあ。

後半はいよいよ密教美術大会。いや、でも曼陀羅図は少なくてちょっと地味だったんで残念。もっとハデハデ豪華絢爛が見たかった。仏像はいいぞ。腕の多い奴、怒り顔の奴、生き物に乗ってる奴。クライマックスは東寺の21体の仏像曼陀羅のうち国宝8体を持ってきて再構成した仏像曼陀羅。持国天立像の見事な怒り顔に驚くべし。あと牛に乗っているのと象に乗っているの。そう、乗っている、というか動物と一体となったモンスター的造形として楽しむのもエキサイティング……ってそんな見方しているのはオレだけか。まあ美術鑑賞は「こう見なければいけない」というのは無いのだよ。たとえそれが宗教美術であっても。
http://kukai2011.jp/

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2011年8月 8日 (月)

皇帝の愛したガラス(東京都庭園美術館)

ブロガーご招待で落選の憂き目にあったため、鑑賞のテンションはあまり上がらないが、でも行くのである。夏はやっぱりガラス工芸鑑賞だよな。

白い糸ガラスを織り込む手法である「ヴェトロ・ア・レトルティ」とか「ヴェトロ・ア・レティチェッロ」という技法で作られた作品は見ただけで、おおっ、と思う幾何学的にして細かい模様の美しさがある。逆にエナメル絵付けの作品はテーマが分からないとにゃんとも普通に絵が描いてあるだけの感じ。ガラスの流行はヴェネツィアからボヘミアへと変わっていき、赤いルビーのガラスなんぞも展示。まあ、1階はそんなところ。

2階の階段上がってすぐはいつもながら見物が並ぶ。今回はシャンデリアと鏡とテーブルと菓子皿。おおゴージャス。それからヨーロッパの技法の発展。ガラスモザイク画がある。色パレット、色見本は面白いぞ。水色ガラス小片をまぶした水差し、ガラスの蛇が巻き付いた水差しなど、技法が凝っていると見る方もホレボレと見ることができるやっぱガラス工芸鑑賞はこうだよな。ステンドグラスも2枚ある。あと日本でもおなじみガレとドーム兄弟などのアール・ヌーヴォーが並ぶ。絵画並の自然描写ができるガレ、今回も「海の底を描いた花器」など手堅く楽しめる。ラリックはもちろんアール・デコ。忘れちゃいけない庭園美術館もアール・デコの館だ。入口にはラリックもあるぞ。

最後にロシアもの。ロマノフ王朝のとか。流行に従ってアールヌーヴォーまでやっている。

暑い日におすすめ。
http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/glass/index.html

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2011年8月 6日 (土)

すてぃっくがたうぉーくまん

これまで使っていたものが充電地がバカになってきたので(要はすぐ無くなる)。新たに購入。スティック型はもう生産してない。同じ機種の後継がプレート型になっている。なぜ? 小さくていいじゃん、USBケーブルがいらなくていいじゃん、と思うが、そう売れてなかったらしい。音楽だけ聴けりゃいいので十分なんだが。

で、店に無いので、Amazonでゲット(AmazonIDが無いので妻に買ってもらう)。さてデータ転送……ところが、前のに入ってたはずのデータが入らない。なんとそれは元の音源ファイルが前の前のMP3マシンに入っていて、それを外部ディスク接続してた。うむむ、前の前のMP3を繋げるのは面倒だ。そこで前のウォークマンから、音源をディスクにムリヤリ取り込んだ。おほほほ。ところが、その音源を今のウォークマンに転送しようとするとしっかりブロックがかけられていた。うむむむ、そうかむやみやったらコピーできないようになってんだな。しょーがないので、前の前のMP3を探し出して繋げ、音源データをディスクに転送。それから現ウォークマンに転送で解決。

……ここで衝撃的(というほどでもない)事実。今聴いているものは、前の前のMP3にほとんど入っているではないか。5年ぐらい新しいもの聴いてないのだ。最も新しいと思っていたPerfumeの「GAME」ももう3年前か。あれからPerfumeも聴いてない。リストはほとんど80年代のJ-POPで占められておる。おおおお、亡き祖父を笑えないぞ。「おじいちゃん、なんで今の音楽知らないの?」「えー?」「新しいの歌ってよー」「ドンドンパンパンドンパンパン~」「なにそれーしらなーい」そのうちオレもこうなるのか……

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2011年8月 1日 (月)

名和晃平-シンセシス-(東京都現代美術館)

入口で出品リストは無いかと訊いたら、それは最後だという。出だしの説明のところにも、まずは一巡してみてといったことが書いてある。結果的に、私としてもその方がいいと思うので、ここで諸君に事前に何があったかということを細々書くのは、ちとはばかれる。
うーん、いくつか部屋があるんですけど、部屋ごとがそれぞれ作品になっている感じです(インスタレーションってとこですか)。次の部屋に行くと、おおっ、次はこうなのか、という感じ。変化があって部屋ごとに驚ける。

作品の基本は彫刻、というか立体ものです。広告にあるのは剥製にガラズ玉をびっしり付けたので、あとでもらった出品リストには何か小難しいことが書いてあったんだけど、まあ見て普通に面白いです……というか、草間のブツブツ系をちょっと彷彿させます。他の立体ものも、彫刻刀をふるったシャープな彫刻、ではなく、ぐじゅぐじゅぶわぶわっとしたものが多いです。しかもデカい。草間のブツブツ大型立体に喜べる人はこっちも嬉しい作品群です。

でも、それだけではなくて、視覚的に楽しめるのや、仕掛けがよく分からない立体ものやインスタレーションもありますね。特に最初の部屋の……あれね、どうなってんのかな? 中にモノが入ってんのかな? あと最後のあれはね……シャボン玉かな? よくできてるよ。
とりあえずここまでいったら体験型。アトラクションと思って行ってみよう。

アニメーション「木を植えた男」のフレデリック・バックもやっててファミリーはこっちで(オレはどうでもいい)。
常設は期待してなかったんだけど、石田尚志特集など、あなどれない気合いが入っているぞ……ん、そりゃまあ適当な常設展示だと今時の節電ムードですぐ閉鎖しちまえってことになるんじゃなかろうか。だから常設も見てね。
http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/124/

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