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2011年10月28日 (金)

トゥールーズ=ロートレック展(三菱一号館美術館)

ロートレックをあまり知らない向きには、有名なリトグラフのポスターがドバッと見れる好企画であるが、ずいぶん見ちゃったんだよね、という向きには、新たな発見はボチボチ。1300円かぁ……高えなあ。1000円ぐらいでよくね?

アルビというところにロートレック美術館というのがあって(いきさつは解説でも読んでくれ)、そこから持ってきたのがあるんだが、全体の……1、2割かねえ。あとは自分とこで持っているリトグラフで。あーせっかくロートレック借りてきたけど、数が少ねえから、ここは持ってんのをドバッと出すべ、と言ったかどうか知らないが、少なくとも「見たことのないロートレック」という宣伝文は使えない。(まあ、見たことないのばかりで構成してうまくいくかって問題もあるがの)

それにしても有名どころのデカいポスターを見てあらためて驚くのは、写楽や豊国の役者絵の影響からか、理想化されていない。まさに写楽の「あまりに真を描かんとて……」をやっているんだよね。「エグランティーヌ嬢一座」の踊り子四人は、なんかイマイチ感漂う雰囲気だけど、四人ライバル意識強くて仲悪かったんだって、それをなんとなく描いちゃってる。「メイ・ミルトン」も江戸のアクの強い役者絵みたいだしな。

さて、ロートレック美術館から持ってきた若描きに注目。おお、なんか普通に印象派してんじゃん。あとデッサンはさすがだわ。「腕を組む男性立像」とか「セレイランの若きルーティ」とか、やっぱ基本は大事だよね。若描き以外でのロートレック美術館ものはところどころあるだけで、リトグラフの石版とか……あーそうそう、1つ凄いのあったよん「フェルナンド・サーカス」これはロートレックが描く扇絵! しかも墨で描いて思い切り日本風。でもサーカス。しかし単純化した線がいい味してるぞ。隣の鉛筆画「象の行列」はいい味すぎる。なんか落書きみたいだゾ。あと油彩を持ってきてたよ。「化粧」や「モーリス・ジョワイヤン」(ロートレック美術館作った人)。

あとは何でもカンでも自分とこ所蔵のリトグラフ。落書きみたいなヤツまでリトグラフとして印刷してるんだから、よっぽど売れた人なのかロートレック。シリーズものでは娼婦の生活を描いた「彼女たち」がいいですな。あと、「ロイ・フラー嬢」っていうひらひらつけた踊りのヤツも、ちょっと抽象表現っぽくていいじゃん。

ありゃ、一応サブタイトルに「三菱一号館コレクション展」って入っているではないか。借り物メインではないではないか。
http://mimt.jp/

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2011年10月18日 (火)

づつう

土曜夜に熱を出してダウンし、熱は日曜には下がったが、それ以来頭痛が続いている……というか、いた、というか、薬飲んでも一時はいいんだけど、またすぐ復活。ただでさえ頭痛が多くて、しょっちゅうイブプロフェンを飲んでいるんだが、今や咳が出ているんで血行がいつもにもまして悪いらしく、延々ドタマが痛い。いつもは効力がある頼みの磁気ネックレスも効かん。今日も朝から痛くて薬飲んで出たが会社でも治まらん。このままぢゃ薬漬けじゃ。何か食うもんでカバーできないかと思って調べたら、ビタミンCとビタミンEがいいようだ。そうかCはVC3000のど飴があるんで貪り食い、Eは昼休みにサプリを買ってきて飲んだ。するとおお、午後には頭痛消えたばい。やったやった。でもさっき(夜)復活しやがった。さあ、CとEは効くのかい。

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2011年10月 9日 (日)

松岡映丘(練馬区立美術館)

「やまと絵復興のトップランナー」と書いてある。水墨とやまと絵の融合である狩野派が主流になる前は、「やまと絵」は「唐絵」とは別にちゃんと独立していたのです。まあ、あの平安貴族の斜め上から見下ろしたのとか、緩い風景とか。映丘も、極端で挑発的な作品ではなく、品よく、手堅く、描いているのです。

大作「道成寺」を見ると、木の幹なんか水墨のゴツゴツしたヤツじゃなくて、平坦に処理するやっぱこれ「やまと絵」ですなあ。ヴィジュアルな刺激にゃ不足かもしれないが、その分、ドラマティックな場面をじっくり鑑賞といったところでしょうか(物語はよく分からん)。

しかし私のごとき浮世絵派好みの美人画大作もあります。「伊香保の沼」と「千草の丘」ですね。「伊香保の沼」は若干顔が妙なものの、背景と座っている美女の構図が見事キマって、少し離れて見るとこりゃ素晴らしいですな。「千草の丘」はモデルがいて当時の女優。初代水谷八重子ですって。相当似ていたそうで、こんな似ていちゃいかがなものかと話題になったらしい。背景のやまと絵に比べると縮尺がデカい感じだけど、これもポスターになるだけある。この二つは美人画としてイケるが、特に背景のやまと絵風景がポイントよ。ブレンドで堪能してちょ。「佐保姫」も美人画としてなかなか。

でもね、私が思うところの「美人画」じゃないんだよね。モデルを使ってモデルに似ちゃうのは、美人を描いているだけであって、美人画ってのは、モデルを使っても自分の理想とする美人顔にしちゃうのが美人画だと思うのです。我が尊敬する歌麿や華宵、あるいは清方なんて、モデルがあってないようなもんですからねえ。

平安調の絵なんかも多いですが、そういえば北斎の平安調作品で、掛け軸の画面を大胆に区切った構図のがある。それに比べると、映丘のは大人しいのね。まあ「みぐしあげ」ってのがちょっとそれに近いけど。

晩年の武者絵とか、やまと絵の風景だけとか、平安の様子とかもあり。
http://www.city.nerima.tokyo.jp/manabu/bunka/museum/tenrankai/matsuokaeikyu2011.html

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2011年10月 8日 (土)

日本画の巨匠三山展(富山県立近代美術館)

富山出張で時間があったので、駆け込んできたぞ。この美術館はもう十年以上前に一度だけ行ったことがあるのだ。何となく記憶に残っている。しかし地方の美術館はフロアの余裕があっていいですなあ。

「三山」とは東山魁夷、杉山寧、高山辰雄の三名です。えー東山しか知らなーい。この三人は「日展三山」って呼ばれてたんだって。

まず東山魁夷。なんかおなじみになっちゃってもはや大抵のもの見ても何とも思わんのですが、傑作「静唱」との幾度目かの再会。水に映る高い木々。文字通りの静かなる唱和ですな。おお、ひさしぶりだねえ。こんなところで会えるとは嬉しいよ。あとは大作、「瀧江暮色」(←そういえばなんて読むのだ?)が見応えあり。

杉山寧(←そういえばなんて読むのだ?)は、マチエールに気合い入っている。抽象画である「仮象」「灼」は見事(油彩みたいだけど日本画なんだね)。隣にある滝の前にいる裸婦の絵もなんか、アレだ、格好がバルテュスの裸婦みたいな感じか。えータイトルは忘れた。そういえばバルテュスもマチエールがものすごい人だったね。もしやバルテュスに影響されたのかな。「気」という水上に立つサギ三羽も、一見抽象っぽいところが面白いですね。「季」という横たわる白い裸婦と、立っている黒い裸婦、背景のグラデーションがかった緑、というこれもいい。裸婦イケるじゃん。

高山辰雄、「少女」うーん、そそらねえなあ……なんて思っていたが、「白い襟のある」これ、いいね。黒い背景から顔と手だけが浮いている感じが、おっ、と思わせる。あと傑作は「いだく」二人の女性が赤ん坊を抱く、が二人の女性の上半身はどうなっているのか、混ざって一体化している感じが不思議だ。そして最後、死の前年に描かれた「自寫像二〇〇六年」(←そういえばなんて読むのだ?)顔が消失した不安感に満ちた絵。ちょっと佐伯が凹んだ時の自画像思い出しちゃったな。

常設は近代美術いろいろ。そうだなあレジェとかミロとか、ピカソもあったな。サム・フランシスの大きめのとかクラインの青いヴィーナスとか、そうそうウェッセルマンのタバコ吸う口元のやつ、いいね。あー、でも今、ここの主要作品を新潟市美術館に貸してるみたい。ミロの有名な「パイプを吸う男」とか。
でもしかしルオーの版画特集や、瀧口修三コレクションの部屋なんぞもあってなかなか楽しめるぞっと。

富山に行ったらキミも行ってみよう。
http://www.pref.toyama.jp/branches/3042/3042.htm

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2011年10月 3日 (月)

世紀末、美のかたち(府中市美術館)

いやー、すっかり世紀末とも新世紀とも言われなくなりましたな。

北澤美術館所蔵の、ガレ、ドーム兄弟、ラリックのいい感じのヤツラをいっぱい見ることができます。ガレとかガレ工房とかの作品は結構見る機会が多いんだけど、その中でも優れた作品を鑑賞できる機会はそう多くはない。

最初は「自然とかたち」コーナー。おなじみミュシャのポスターで始まり。ガレの品のいい「アイリス」。次に広告にもなっているラリックのブローチ「羽のあるニンフ」これが小さいながらかなりいい。ニンフの羽が昆虫の羽のデザイン。ポスターとは印象が違ってキラキラしている。それからガレやドーム兄弟の作品が続くが、穏やか系の品のいいのが続く。シレーヌなどが集まっているところがあり、その中でもラリックの「鉢 カリプソ」が実にいい。海の女神なんだが、まさに言葉通りの水の中に半透明な女体、実によくできている。

次の「文字を刻む」というコーナー。文字通りの文字入り作品。ミュシャのポスター、ゴーギャンの版画、ガレの文字入り。まあ、ここは普通。

次が普通ではない「異形の美」コーナー。やっぱここが山場だね。ガレの「海馬文花器」がグロい。ルドンの版画も不気味。おっとこのシリーズタイトルが「聖アントワーヌの誘惑」ではないか。宗教的テーマでありながら「何でもあり」ができるヤツじゃん。当時の禁欲的世の中にあって「オレはグロいモンスターとか裸の女とかガンガン描きたいんじゃ」という画家はこのタイトルを使ったのさ。あとアレな「スザンナの水浴」。あと不気味にキメるならラリックの「デカンタ 6つの顔」がいい。デカンタの中程に6つ顔が並んでいるが、顔の下半分が溶けてるんだが髭なんだかで何とも気持悪い。うむっ、これベクシンスキーをちょっと思い出すね。ラリックはもう一つ「瓶 とかげ」もある。気持悪くていいぞ。

最後「光と闇」コーナー。文明により失われつつある闇の怖さと神秘を表現しようとした作品群。ルドンの絵やらガレの器など。あと子沢山ドニの版画。

工芸の方が多い感じ。
http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/seikimatsu/index.html

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2011年10月 2日 (日)

モダンアート,アメリカン - 珠玉のフィリップスコレクション -(国立新美術館)

フィリップスコレクションって、六本木で見た超すげえルノワール持っているところだっけ? ともあれ、今回は近代アメリカ。それにしても、アメリカン絵画って、「寂しい感じ」のが多いんだねえ。「ビッグアメリカ」「グレートアメリカ」っていうのは国がというより、自然がビッグ、都会もビッグなんで、人間なんぞ気圧されてしまうのかな。

最初は「ロマン主義とリアリズム」のコーナーで、暗く深いヤツが多い。ジョージ・イネスの「月明かり、ターポン・スプリングス」は象徴派風月光夜風景でん~いいねえ。ウィンズロウ・ホーマーの「救助に向かう」は人がいるけど顔が見えない。救助なのに、一種の寂しさが漂う感じ。

「印象派」のコーナーは、並。ヨーロッパの印象派を見慣れていると、どってことないのがほとんど。うーむ、何か個性のあるヤツはおらんか……モーリス・ブレンダーガストの新印象主義っぽいのあたりか。

「自然の力」では、クールベさんにやや新表現が加わった感じのが多い。ロックウェル・ケントの「若い男の埋葬」って、これクールベさんの「オルナンの埋葬」へのオマージュか?(違うようだが) ハロルド・ウェストン「突風、アッパー・オーサブル湖」の水面がリアルで面白い。

「自然と抽象」。ここで見たかったオキーフがいくつか。ほほー花や葉のクローズアップばかりじゃないのね。建物とかも描いてる。「葉のかたち」はイマイチだったが「白地に暗赤色の大きな葉」そうそうこれこれ、こういうのがオキーフだよな。この葉の質感。ぜひナマで感じてくれっ。こういうのを官能的描写というんだぜ(ほんとか?)。アーサー・G・ダヴって人が面白い。「赤い太陽」のグルグル模様は何だ? 「朝日」の太陽に付いたゴミみたいなのは何だ?

「近代生活」コーナーで、人物画が並ぶ。これもヨーロッパ的ではなくてアメリカンなちょい寂しいヤツが多い。ジョン・スローンの「化粧する道化師」とかウォルト・クーンの「羽飾り」など、華やかさの裏にある哀愁を手堅く鑑賞できる。そしてお待ちかねエドワードホッパーですよ諸君。解説でもさんざん名前がでている近代アメリカン代表。「日曜日」は町の中で男が一人ぽつんと座っている。この寂しさ、いいね。Bunkamuraのホッパー展が懐かしいぜ。あれはよかったなあ……

「都市」コーナーでは、やはり都会のビル風景なんかだけど、結局ホッパーの「都会に近づく」が洗練の極み。結局の他の人もこういうのを描きたいんじゃないのって感じだ。
「記憶とアイデンティティ」コーナーで、民族とかいろいろ。日本人の国吉康雄もいるぞ。あとグランマ・モーゼスが1枚。まあモーゼスなら損保でいつでも見れるが。

「キュビズムの遺産」コーナーはアメリカに渡ったキュビズム他の表現なんだけど、やっぱ本場を見慣れていると苦しい。スチュアート・デイヴィスだけはどこかで聞いたかな。ちょっとオシャレ系抽象だよな。

「抽象表現主義への道」コーナーでやっとおなじみジャクソン・ポロック君。ほらこの絵の具チューブ垂れ流しいっぱいの……え? これポロックじゃない? アルフォン・オッソリオ……誰? ポロックは隣にあった「コンポジション」ううむ、ちょっと小物じゃないか? このコーナーではミルトン・エイヴリーがいい。「書きものをする少女」と「黒い海」。

「抽象表現主義」コーナー。有名どころのマーク・ロスコとサム・フランシスのはちょっと小物だなあ。他の人もがんばっているけど。いや、小物だからいかんというわけじゃないんだけどさ、もっとズガッとくるヤツ見たいじゃん。

でもまあ、全体的に見所あるぞ。すいてたんだけどちょっとこれもったいないな。皆行きたまえよ。
http://www.nact.jp/exhibition_special/2011/american/index.html

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