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2012年2月18日 (土)

山口晃展(メゾンエルメス)

図らずも時間ができたんで、銀座メゾンエルメスへ。おなじみ宝くじ売り場に並ぶ愚かなウゾウムゾウどもを横目に、小汚い格好でフケなどまき散らしつつ入店。挟まれそうなシンドラーエレベーターにビビりつつ会場へ……って何も無いじゃん。いや、あった。電柱が四本。これが作品なのだ。見れば電柱にいろいろ装飾されいて、オモシロ系。①伝言板 ②花差し ③トイレ ④よく分からん。雨やどり用の軒か? ⑤あはは、これ高射砲じゃねーか はい次の作品、一見机などもある小さいギャラリー。入ってみたら床が傾斜していて妙な感覚に陥る。なんか科学館の面白部屋みたい。ボールとレールもって、ほれこのボールは坂を上っていくぞ、とかやりたい。で、この部屋に下絵などを展示。今回の電柱の設計図とか。きっちり描いてます。最後は「Tokyo山水」という東京の鳥瞰図。スカイツリーもあるよ。多分進行中を展示中。墨の線描きなんだけど、線の感じに統一感が無いのがポイント。その時の気分でエリアごとに変わっているのが逆に都市を覆う霞のようないい感じの効果を出している。しかし左下の渋谷は凄いな。いいのかこれで?

ブランドちゃんに縁のないオレでもエルメスに堂々入店できるぜ。革製ケータイストラップが4万円。オレには宇宙価格だ。終わってから茶でもしばこうかと思ったが、安いチェーン店などは、どこも信じられないくらい混んでいる。
http://www.art-it.asia/u/maisonhermes/2aMXQdZlgfwYi1GcBRxn/

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イ・ブル展(森美術館)

十年ぐらい前の、赤坂だったか、そこのギャラリーで見たインパクトは忘れがたい。白く巨大な生物みたいなのが天井から吊ってあるわけ。とうとう森美にやってきた。今回は大規模個展だ。

最初にソフトスカルプチュア(布でできたヤツ)のモンスターいくつか。それを身につけて外を出歩くパフォーマンススライド有り。いかにも着ぐるみな感じで、なんかカワイイ。造形は色付きで柔らかい木の根っこが集まったような感じで。草間的な気持ち悪さがあるものの、草間よりはネイチャー(自然の造形物)寄りな感じ。それから、生魚に装飾をして展示したら美術展で撤去されたそうで、その装飾生魚写真スライドがあるが、やっぱこれ本物を展示してナンボのもの、という感じがするのがちょい残念だ。

次の明るい部屋の「出現」や「クラッシュ」という天井からの立体作品。このあたりからもろもろキラキラ素材を使っているが、なんかガチャガチャしたので目立ってしまい、造形が目立たないのがなんか残念というか、オレ好みじゃない。それより壁の絵の方が面白かったりする。
一人乗りカラオケポッドという面白いものがあるが乗れない。ポッド内のカラオケ映像が壁に映ってて音もヘッドホンで聴けるが、それはただのカラオケ映像ではないかい。

次はスタジオの様子再現。壁にデッサンいっぱい、試作品ゴロゴロで雰囲気がある。建物みたいなのや山みたいなのや動物とか、結構多彩なアプローチで迫って作品を作り上げているぞ。

次が暗い部屋に造形物が浮かび上がる正攻法。うむ、ここが一番好きだな。サイボーグの足のような彫刻。前に見た記憶と同じ生物っぽい彫刻である「アマリリス」や「キアズマ」は見事だ。
次の、合わせ鏡を使って向こうまで延々並んでるように見える作品群は、うーん、これ合わせ鏡無い方が形の面白さが分かるんでないか。これはこれでこういう意図なんだけど。

次の部屋でなんとやりたくてもやっちゃいけないことをやっている。床が全部鏡だ。いやカチカチの鏡じゃなくて、鏡っぽいボードなんだけど(歩くとたまに「べこっ」とか音立てるのがご愛嬌)、それでも中が見えそうなミニスカートで来るのは見えるからやめた方がいい。というかやめてくれ作品を見ないでそっち見ちゃうから。で、並んでいる作品はまた多彩な素材のガチャガチャキラキラコテコテした大物。電飾を使っているものまであって派手だが、やっぱりどうもうまくいっている感じがしないのは好みの問題か。よく見れば造形もかなり凝っているんだけど、やっぱり素材の派手さがじゃまをして、ちょっと残念だ。中にはシンプルな素材の物もあるけど、それはむしろ目立たない。巨大な風呂みたいなのもあってちょっと面白い。

最後のコーナーもキラガチャ系。夜に行ったので、窓の向こうに作品が複数反射して見え、外に浮かんでいる怪しい人型のようで面白かった。

スケールがデカいので、ここは空間体験型として行ってみよう。
http://www.mori.art.museum/contents/leebul/index.html

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2012年2月14日 (火)

ジャクソン・ポロック展(東京国立近代美術館)

先週金曜からやってる。早々に行ってきたのだ。それなりに人はいるが……いや、すいてたな。じっくり見れる空き具合。今後混み始めるのか? じゃあ行くなら今のうちだぞ。

最初は自画像で、うーんムンクっぽい? そうでもないか。内面の表現みたいな感じの。
年代順だから初期は普通に具象で描いている。面白いのは「綿を摘む人たち」なんとなくキリコやタンギーのシュール空間っぽい印象がある。

解説にピカソの影響を受けて、それとの闘いをしていたようなことが書いてあり、これは初めて知ったが「無題 多角形のある頭部」を見たらもろにピカソ。picasoってサインが入っていれば通用しそうな代物。そして次の「誕生」うーむ、これは苦しい。ある程度絵を見ている人で、これを見て素直にうまいとか素晴らしいとか言っちゃうヤツはオメデタイぜ。これは何というか辛い絵だ。こういうのをいくら描いてもピカソのパチモンでしかないってことは、ポロック自身にだって分かってたはず。それで必死に次の段階に行ったわけだ。確かに闘い。次の段階つまり「ボーリング」という流し込み技法を使い出してから、俄然絵が生き生きしてくる。

展示はいよいよボーリングとかドリッピングとか使いだす。最初の方、「ブルー-白鯨」の今後の予感を秘めた、生命が息づいている感じがいい。絵としてはその後、「オールオーヴァー」という全体を均質にして中心などが無い状態に行く。これでポロックの「あの感じ」が完成する。展示でも絵がどんどん洗練されていくので、ボケーと見ていればよい。映画もあって、屋外で絵具をまき散らしている感じ。これが絵を描いている状態か? うん、そうなのだ。展示で面白いのは「無題」の一つで文字を並べた書のように見えるもの。ミロも似たアプローチのがある。書も抽象画に近いはずで、意味と形態のギリギリを表現といったところか。

そして「インディアンレッドの地の壁画」テヘラン現代美術館からやってきた今回の目玉。こいつぁ文句なしの傑作。全くもって無駄がない。なに工事現場のペンキの跡だって? もちろん偶然こういうのができる可能性はあるし、それを取り出して自分の作品として提示するもの「あり」だぞ。それができる行動力と審美眼を持っているなら探してみよ。

一旦頂点を見たポロックは「ブラックボーリング」という黒を主体とした新しい試みに移行するが、洗練させることなく死去。44歳って俺と同じ年じゃん。そうなんだよねえ、二十代三十代にがんがん出てきたアイディアって出ないよねえ。そういえばキリコやウォーホルも晩年とかは過去のアレンジやってたよな。

早めに行っておこう。
http://pollock100.com/

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2012年2月 5日 (日)

北京故宮博物院200選(国立博物館)

1月24日までだった清明上河図巻フィーバーも終わってガラガラかと思いきや、そこそこ混んでいる。さんざんアウェーだとか言っていたが、なんか上河図以外も評判いいみたいなんで行ってみたのだ。とはいえ私の目当ては水墨で、器とか皇帝の衣装とかはどうでもよくて、書にいたっては分からんの。

最初の「春山図巻」は、北宋時代の山がムクムク山水で、教科書に出ている。三遠法という手法を使っているらしいゾ。「長江万里図巻」は南宋の山水。山はもちろん、これ波がいいね。薄雲もいい。こういう表現ができるんだから、ヨーロッパから西洋画法が来てもピンとこなかったのもむべなるかな。「雲山墨戯図巻」は北宋時代。小さめながら、これが煙るがごとく写実的な(?)じゃない印象派っぽい(?)感じの山水画で、見事です。あのー、山がゴツゴツしてないの。これ今回一番良かったかな。「水村図巻」はその後の元時代のもの。これも写実な感じだけど、うん、さっきの北宋の方が良かった、というか巻物の一部が絵になってて、絵が少ないの。

超目玉(だった)、「清明上河図」はまずパネルの紹介があって、かつて本物があったところには同じサイズの印刷がある。ま、印刷ったってドットのブツブツが見えるような間抜けな印刷じゃないから、まあ感じはつかめるよ。5メートルぐらいなんで、そう長くはない。うわ、この長さを待つのに2、3時間だったのね。しかし、何しろ細かい。屋根の瓦1枚1枚描いてるとか、超細い紐なのに線2本とか、細かいテクに驚く……印刷だけどさ。本物を見た人は「本物のオーラは違うぜ」とか言うだろうけど、これを急かされながらほんの数分じゃ「鑑賞」じゃなくて単に「目撃」だぞ。急かされないので、みんな遠慮せず、じっくり見ていた。

しかし水墨というか絵画の圧巻は後半に出てくる「康*帝南巡図巻 第十一巻」これが巻物のデカいバカ長いヤツで(形容がアホですまんが)、いや見たこと無いぞこんなのは。色付き。マジスゲエ。川沿いに延々描いて海まで行くぜ。「第十二巻」もあったが、これは紫禁城がどべーっと描かれている。行ったもんね(仕事の合間だったが)。なっつかしー。絵はあんまおもろない。

チベットの特集が最後の方にあり、「乾隆帝文殊菩薩画像」という(読み方分からん)曼荼羅っぽいハデなのとか(教養ゼロな形容ですな)、「大威徳金剛」という顔が獣の腕いっぱいモンスターがイカすとか、「乾隆帝大閲像軸」という西洋画みたいなのとかが面白い。

他に、書がいろいろあったけど全部飛ばしちゃった。器とか衣装とかはパーでも感動しそうなきれいどころが並んでいます。衣装でね、孔雀の羽を織り込んでるのがあってすげえな。
http://www.kokyu200.jp/

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