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2012年11月23日 (金)

会田誠展「天才でごめんなさい」(森美術館)

今の日本で一番話題性もあってエキサイティングに作れて実力もあるアーティストの一人。みんなおなじみの会田誠がとうとう森美術館に登場。新作から代表作からお上品な鑑賞者が顔をしかめるいやぜひしかめてほしい猥雑なヤツまで集合。

出品リストが無いんで(そのうちサイトに載るらしい)、タイトルとか書かんけど、まず最初の方では初期の絵、おもしろ絵画みたいなのが並んでる。石膏像デッサンに「BT」(美術手帳か?)と書いてあるのとか、ふんどしあらわな百姓のおっちゃんが「今年もヴィトンが豊作じゃ!」と叫んでいるのとか、これぜひヴィトンバッグ持って鑑賞してほしい。あと「桑田」って書いてあるののタイトルが面白かったんだが、何てタイトルだったっけな。それからは金地に緻密にゴキが一匹だけ描いてあるのとか。それから「愛ちゃん盆栽」という立体が不気味で面白い。こういう立体ものも器用に作っちゃう。

次は「戦争画リターンズ」という一連の作品群を展示。個々には見たことがあるが一同に見るのは初めてか。今は近代美術館で藤田の戦争画などを見ることができるが、これを描いた当時は、そう見れなかったのではなかろうか。それで会田は戦争画のある種の位置づけを表現したくて描いたと思われます。まあノリで描いてる感じのところもあって。日韓の少女が互いに旗を持っているのはガッチリした名作。あとガムテープで鳥居描いてあるのも逆にチープで面白い。

小学生や中学生っぽい絵をわざと描くコーナー。これが妙にうまい。ヘタウマというんだろうか、年齢別の描き分けをよくここまで見事にできると感心。あと「みんなといっしょ」というシリーズの脱力ポスター。なんたって好きなのは「わだばバルチュスになる」あははは。パンツを見せた美少女を描きながらも驚異の実力を持っていたバルテュスは会田に近い……かな。隣の部屋では「美術と哲学」というビデオを交えた展示。哲学文庫の全ページに落書きしたり、哲学書を読みながら絵を描いてみたり、外人に扮していかにもなパフォーマンスをしてみたり。「オレ哲学なんかわっかんねーよ。でもいいじゃんよー」というのが伝わってくる感じ。

ニューヨークに滞在してたそうで、その間に考えた新しい新宿御苑の説明。絵だけじゃなくて字も並んでて、すごい情報量なんで適当にしか見れなかった。それから、何かおにぎり仮面というのがあって、次の部屋ではコラボ作品もあって会場内が愉快にトチ狂ってくる。巻物に書いた見事な日本語の書が「2ちゃんねる」とか、段ボールの城とか、巨大な熊手型画面にアニメ風美少女が埋め尽くされてリストカットまでしてるとか「チームマコプリ」という会田が選抜した(んだっけな)女の子アーティストのガーリーなピンクに狂ったテントが凄い。次の部屋が「ピンクの部屋」という真面目な鑑賞者をあざ笑うがごとき空間。

次の部屋は一気に広い絵画空間。おなじみ「ジューサーミキサー」その隣に「灰色の山」と大量人間ものが並んだのが印象深い。とうとうこの二つが並びましたな。それから新作「ジャンブル・オブ・100 フラワーズ」これも少女ものでプチ破壊している。スクール水着の美少女あふれる「滝の絵」、これも美少女の「大山椒魚」。

あとは18禁の部屋があり、ボティペインティングや問題作「犬」シリーズが何枚も並ぶ……雪月花は見たことあるが、今回新しく出てたのもあって……冷静に見ると結構キツいよなこれ。あと食用美少女ね。有名な「巨大フジ隊員VSキングギドラ」があって、これこんなデカい絵だったのね。あと、女性器みたいな陶器とか。

真面目に、高い実力で、極めてバカバカしいことをする。カッコいい。見習いたい。モンティ・パイソンのように、あるいは電気グルーヴのように。私も好きなのはそういう方面なんだな。
結構長いことやってるよ。
http://www.mori.art.museum/contents/aidamakoto_main/index.html

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2012年11月 9日 (金)

巨匠たちの英国水彩画展(Bunkamura)

水彩画は時に油彩を凌ぐ、というか、水彩の方が魅力ある画家というのがいますわな。まずは、いわさきちひろ。あれは油彩じゃ描けんでしょう。あとギュスターヴ・モロー。実は水彩の方が透明度があってより神秘的なんだじぇ。そんなわけで、甘く見ちゃいかんよ水彩を。今回もターナーとかラファエル前派とか、きれいどころがあるみたいだから期待しちゃうぜっ。

最初に「ピクチャレスクな英国」ってことで、英国式理想風景みたいなの。ターナーの「コンウェイ城」とか、マイケル・ルーカーの「ビルドウォズ修道院」の修道院の廃墟とか、そうだね、英国式庭園ってわざと廃墟とか置いて喜んだりするのね。あんな感じ。次の「旅行」コーナーで引き続き風景画が並ぶ。いや、いいんだよ風景も。でもだんだん飽きてくるんだな。ナポリ湾のいい眺め~とか、面白い建物~とか、スペインの人がおるおるとか、なんかみんな普通の絵だなあ。なんかガツンとクるやうはないのかな。ウィリアム・ホルマン・ハントという人の水彩画が他の違う雰囲気で不思議だ。濃いパステル画みたいだな。
ここで巨匠ターナー特集。もちろん風景。最初は普通だったが「ウォリック城」あたりからエンジンがかかってきて、「アップナー城」でターナー節炸裂。魅力は水面の反射を利用した浮遊感漂う超現実風景。月や光の映り込み。あと、抽象画的な天候や気象の描写など。いろいろ堪能できる。
超現実続きなのか、次が私も好きなウィリアム・ブレイク。「日の老いたる者」この絵はカッコいい。描いてあるのはユリゼンって悪いヤツらしいが。手に持っているのはコンパスだな。世界を理性だけで把握しようとする悪人ニュートンもコンパスを持っていたのだ。あと、ヒュースリって人がブレイクのパチモンみたいな絵を描いている。ジョン・マーティンの「マンフレッドとアルプスの魔女」は水彩の魅力十分な傑作。この亡霊の姿は水彩でないと描けんだろう、
それからラファエル前派。期待したけど、イマイチか。もちろんロセッティがある。バーン・ジョーンズとかミレイもいるよ。
「ヴィクトリア朝時代の水彩画」というところでは、風景画がいろいろ。写真のようにいい眺めが多い。コープの「黒板を持つ少女」は傑作らしいが、あまり少女に見えんなあ……
最後に「自然」コーナーなんだけど。またも普通の風景とか。でもアンドリュー・ニコルの花中心の絵はなかなか新鮮でいい。ヘンリー・ブライトの「迫り来る嵐」では暗い雲が迫る。好きだなこういうの。でも惜しいのはガラス面の反射で、後ろが映り込んでいる。最後はまたターナーの超現実2点で締め。

「いい眺め」を見に行くにはよし。
http://www.bunkamura.co.jp/museum/

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