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2012年12月28日 (金)

白隠展(Bunkamura ザ・ミュージアム)

ほらあの「○△□」を描いた人……って違うんだな。仙厓とゴッチャになっている。仙厓より前の人みたいよ。やっぱり禅画なの。仙厓もそうなんだけど、一見ユルいんだけど、実際は己に修行に弟子にも厳しい。それは途中で分かる。

冒頭「隻履達磨」達磨和尚が生きていたという絵だとかでいきなりコミカルにスタート。それから釈迦の絵。解説にもあったけどルオーに見せたいルオー描くキリストに通じるところがある。観音の絵も並んでいて、独特な……うーん、ナスみたいな感じ? 「観音十六羅漢」という絵は大作。ユルくないです。「地獄極楽変相図」はしっかり地獄の惨劇も描いてるんだけど、さすがに生々しくはない。まあこのあたりはイントロで、次の達磨のコーナーから気合も入ってくる。禅といえば達磨。仙厓も描いてた達磨だ。白隠も描いている。目をギョロっとさせた達磨も描いてるが、今回目玉の萬壽寺蔵「半身達磨」は目も額もデカくてよりコミカルに……ってなんか表現が普通だが、絵もデカい。あと「眼一つ達磨」という妙なものがあった。えーそれから団扇の模様が微生物みたいなヤツ。しばらくまた達磨とか。

大燈国師という禅僧がいたそうで、京都で乞食行を20年やったエラい人。もちろん厳しい。白隠は大いにリスペクトして描くのは串本応挙芦雪館の「大燈国師」これは顔がデカいせいか「かわいらしい」とか解説に書かれているけど、どうしてどうして、このさりげなくも厳しい感じがいいじゃないか。「かわいらしい」とか書いたやつは「こびとづかん」でも見てたんじゃねーか。隣りの永青文庫の「大燈国師」も鬼気迫る感じがいい。この右手は気合が入った作品に使われる謎の手つきをしているんだって。他にもこの手つきあるよ。で、この2枚が私的には今回のベスト。蕭白のあの感じにしてもいるが、禅のエピソードがバックにあって深い。

自画像がある。怖そう。しかしその後布袋の絵が並んで一気にユルくなる。「メビウスの輪」を持っているのがある。それからキュートで人気な「すたすた坊主」。たばこの煙でお多福を出しちゃう「布袋吹於福」も愉快にきちんと描いている。「鍾馗鬼味噌」も傑作。鍾馗がすり鉢で鬼をすり潰している、もちろんこの鬼は己の中の悪い心の象徴だ。それにしても英語タイトルが「Demon Miso」ってすげーな。しばらく行って「白澤」は人面モンスター。「渡唐天神」は着物が文字の文字絵。浮世絵ではよくありますな。でもこの絵はデカい。
戯画のコーナーっていっても笑えるだけじゃないが。「お福お灸」痔の治療でござる。「吉田猿猴」これ吉田兼好が猿になっている。白隠は兼好が嫌いだったんだって。なんでかな? ブロガーナイトで訊いてみよう。「茶釜蟹」ダジャレを絵にしたもの。「高天原に神とまりましまして」を「茶釜がはらに蟹とまりましまして」とやった。「宝槌」うちでの小槌みたいだけど人を殴るものじゃと。「盆山」これチンコだ。チンコじゃない説が有力らしいけどチンコだと思う。

それから書画ずらっ。うまくない。「金毘羅山大権現」とか「秋葉山大権現」とか上の方の字がデカくて下の方は無理矢理詰めて書いてるの。あひゃひゃひゃヘタクソが……でもうまく書けなかったわけじゃなくて、うまいとかなんとかあえて意識しないように書いた感じがする。なぜなら「百寿福禄寿」という「寿」を百通りの書体で書いたバカテクものもあるんだもん。ちなみにこれは字の大きさ揃ってるよ。あとは「円相」つまり「○」もある。

掛け軸の傑作いっぱい。ユルい絵目当てて行ってもいいが、禅の厳しさを感じる作品も多数。
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/12_hakuin.html

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2012年12月15日 (土)

琳派芸術Ⅱ(出光美術館)

なんか間違えて再訪しちゃったんじゃないかと思うくらい見たのが多い。ちなみに前回の「琳派芸術」は去年の2月だったんだな。地震の前か。ついこないだ来たような気がする。

最初が抱一のおなじみ劣化コピー「風神雷神図屏風」解説には通俗化させた描写とかなんとか書いてあるけどオレが劣化だと言ったら劣化なんだっ。次、其一「秋草図屏風」銀地の黒化が残念。抱一の「紅白梅図屏風」はまだ銀地が生きている。これはいいぞ。いいけど3メートル以上離れて見ようね君たち。抱一の「八ツ橋図屏風」も何度も見たんだよなあ……って光琳のだっけな。光琳と抱一の違いがパネルで解説されてるよ。抱一のは橋をたらし込んで描いている。

抱一「十二ヵ月花鳥図貼付屏風」国立博物館で見たのはこれだったかな。たらし込みと線描写を巧みに使った逸品。ひまわりみたいな細かいのをきちっと描いているのがいい。きちっとなら喜多川相説の「四季草花図貼付屏風」もいいぞ。

中村芳中の「扇面貼付屏風」の気の抜けたようでいて装飾的な水と波。しばらく先に行って抱一の「燕子花図屏風」は何度目かの再会。おっとここにトンボがいたのねと気づく。

其一の「四季図」が見事にキマっている。其一はいくつも出ているが「四季花木図屏風」の近代的色彩がイケる。しかし木の幹とかに貼り付いているデカいゾウリムシみたいなのは何だ? 苔とかキノコの一種か? 

工芸品は適当にしか見ていない。
なんだ明日までか。
http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/index.html

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2012年12月 2日 (日)

アノニマス・ライフ(ICC)

サブタイトルが「名を明かさない生命」ということで、アンドロイドみたいに名前が無いけど生命だ、みたいなものの、アートからのアプローチ。私は近頃、ライフ・ゲームやらセル・オートマトンといった人工生命シミュレーションに興味があるので、ちょっとこれも行ってみたわけです。

入口で「刺激の強い作品がありますので」と言われる。なんじゃと思いつつ、とりあえず入ると、最初は有名な映画「メトロポリス」の紹介があったりして、次の部屋でやなぎみわの写真「案内嬢の部屋」といったもの3つほどで、前もどこかで見た。一応個性を喪失した女性達が並ぶとか集まってるとかいう意図の写真なんだけど、何かこう制服姿の若い娘が集結しているのは……意図はさておきイイよな。ウキキ……えーと次は「米朝アンドロイド」で落語家の桂米朝そっくりロボが座っている。うわ、これか刺激強いって。しぐさまでモーションキャプチャーで再現しているので、何とも生々しい感じがある。もっとも実際の落語と合わせて動かしている映像作品もあったけど、こっちはさすがにロボだなあという感じがする。まあ、遠目ではそれっぽく見えるけどね。次は渡辺豪「アエウム」でCGで作った顔が壁一面にドカーン。うわわっ、これだな刺激強いって。動いているのはまあいいとして、これ突然血を吐くとかそんなことしたら心臓止まっちゃうぜ。幸いそういうショックな展開はなかった(私が見ている間は)。次はオルランの「これが私の身体……これが私のソフトウエア……」何かというと自分の顔をキャンバスに整形しまくるパフォーマンス。体張ってるぜっ。その写真。これが皮膚が痛んでるとか血がちょっと出てるとかで刺激強い警告が貼ってあるもの……なんだけど、ある意味前二つの作品の刺激が強いもんで、これはまあ「痛い」ぐらい……かといって、私も近づいて凝視するほど度胸はないのじゃ。次、スプツニ子!のインスタレーション。この人名前はよく聞くんだけど、何やってるかよく分からないの。で、期待して見てみたら「菜の花ヒール」というヒールの底に種を仕込んで歩いて撒くという作品。ヒールそのものと花びらインスタレーションと歩いている映像。うむなるほど。次は「カラスボット☆ジェニー」と「生理マシーン、たかしの場合」。前者はカラスとコミュニケーションか何かの映像作品で、後者は女装したい人が女性の月経まで見に付けようとする映像作品なんだけど、どっちも見ても何やってるかよく分からんかった。すまん。それから次の人は誰だったかn、なんか人工足のモデル? それから高嶺格「Ask for a Trade」。外国の……あれ、どこだっけな、どこぞで着ている服を取り替えっこするロード・ムービー(っていうのか?)。でもこれ横浜の個展で見たっけな…… 最後は毛利悠子「fort-da」これは何かの装置で、環境の変化で動いたり音を出したりするエコっぽいものだと思うんだけど、解説がないから分からんかった。すまん。

というわけで、生命シミュレーションっぽいのは無かったけど、確かに刺激はあった。
http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2012/AnonymousLife/index_j.html

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