« 始発電車を待ちながら(東京ステーションギャラリー) | トップページ | DOMANI・明日展2013(国立新美術館) »

2013年1月19日 (土)

エル・グレコ展(東京都美術館)

エル・グレコの様式ってアレでしょ「グレコローマンスタイル」っていうボケはさておいて、あーちなみにどっちも「ギリシア」って意味なんだぜ。グレコはクレタ島出身だから本名じゃなくて「ギリシア野郎」って呼ばれてたんだよ(美術検定試験に出るぞ)。グレコといやぁ、なんたら美術館展で一点でもあれば「おっ」と思ってしまうアートっぽい味わい。今回なんと単独展で満載だぜ。こりゃ鼻血押さえながら早めに行くっきゃねえ。ちなみにほとんどキリスト教絵画だから、行く前に聖書読んでいくといいよ(別に読んでいかなくてもいいんだけど。オレもあんまり読んでない)。

最初は「肖像画家エル・グレコ」のコーナー。冒頭に自画像がある。あと目につくものは「燃え木で蝋燭を灯す少年」での光に照らされたコントラスト。隣の「白貂の毛皮をまとう貴婦人」これは肌がキレイキレイでグレコらしくないな。解説にも、異論もあったが、とか書かれているし。でもこの絵はいい感じなんで結構グッズになってんのね。まあ、このあたりはまだ序の口でござるよ。次のコーナーは「肖像画としての聖人像」で、キリスト教の聖人を肖像画っぽく描いちゃうよ。聖なんたらという人が多いし、またその人が何をしたかも解説に書いてあるけど、普段接してないとイマイチしみじみできない。ジョンとポールはいたけどジョージとリンゴはいませんでしたな。それはさておき、ジョンこと聖ヨハネは顔色が青いながら若いイケメンなのが印象的だ。次、「見えるものと見えないもの」コーナー。いよいよこの辺から本領発揮じゃき。幻視とか、聖人には見えるものとか、オレ好みになってくる。「聖母の前に現れるキリスト」や「聖アンナのいる聖家族」は手堅くグレコ味が味わえる(なんだその書き方はと思うかもしれないが、やっぱグレコは味だろ一粒300メートルだぜ)。意欲作「フェリペ2世の栄光」は大人数を使って天国と地獄を描いている。うん、がんばっている……が、大群衆の描写がイマイチなんで傑作と呼べるか微妙。隣の「悔悛するマグダラのマリア」は普通にいい。

上の階に上がる。「クレタからイタリア、そしてスペインへ」というコーナーです。「羊飼いの礼拝」がいい……ってメモしてあるんだけど、どんなんだっけな。光と陰の感じだったかな。何しろ次の「シナイ山の眺め」がスゴすぎる。これが風景画だ。山はなかなかおもしろい。が、そのふもとの修道院かな、グレコさん、ちょっと遠近法というか、なんかこの建物の角度おかしいぞ。バロックの意図的に歪めたおかしさじゃなくて、単にうまくない。そうか、それで風景画が少ないんだHAHAHA。口直しに「神殿から商人を追い払うキリスト」これ、いいねっ。クールだね。キリストの絵っていうと概ね人を癒していたり、磔になっていたりと、マッタリ系なんだけど(磔がマッタリかよ)、ここでは暴力に訴えている活発でナイスなキリストだ。カッコイイよジーザス。それから「受胎告知」が二つ並んでいる。左は割と普通にガブリエルが来て伝えているところ。まあ光が飛んでいるような描写があるにあはるけど。しかし、右の。そうそうこれこれ! このダークなバロック最高じゃん。上昇を思わせる描写。無駄に力んでる天使もイカす。あと肉のボコボコが地面から生えてるような部分があるが、これは顔と翼だけで描写されるおなじみ智天使ケルビムの頭が多数……なんだけど、グレっちは多分絵の絵画的演出目的で使っている。はい次「トレドでの宗教画:説話と祈り」コーナー。ここにも「羊飼いの礼拝」とか「オリーヴ山のキリスト」とか傑作があるけど、主題も描写も似たようなもので、あと肉ボコボコの後だとインパクト不足で飽きてくる……ってのも、もったいないんだよねぇ。雑多な画家が並ぶ美術展ならこれ一枚ありゃあ強く印象に残ろうものを。絶対基準で鑑賞できる人は感動しっぱなしでうらやましい。「十字架のキリスト」は胴長「S字」のこれもバロックテイスト。

上の階へ「近代芸術家エル・グレコの祭壇画:画家、建築家として」ということで礼拝堂とかの設計もしたんだって。でも並んでいるのは絵だよ。「福音書記者聖ヨハネのいる無原罪のお宿り」下にヨハネがいるが。こいつはおなじみマリア萌えじゃないと描いちゃいけない主題。ムリーリョを越えるのは無理~よいやいやクライマックスは最後にある「無原罪のお宿り」これが目玉。これがデカい。だけでなく、ダークバロックで集大成的な内容でもある。肉ボコボコも上の方にいるけん。絵を鑑賞している人で、結構しゃがんで見上げている人がいたが、多分それ正解ね。この絵は見上げて礼拝するようですけん。しかし……かの「受胎告知」といい、どっかで見た雰囲気なんだよなあと思ってひらめいた。そうだ岡本太郎だ。太郎も抽象ではない幻想といった頃には、暗い背景に抑えた原色で描いたりしている。無原罪の絵の解説で、螺旋でのエネルギーの上昇なんて書いてあったが、絵画のエネルギー的表現なんて部分も、太郎の得意な描写なんだな。うむ似てるね。太郎はグレコの絵を見たかな。影響受けたかな。検索しても特に何も出てこないけどね。まあ知ってはいたと思うよ。

さあさあ混まないうちに行くべし。
http://www.el-greco.jp/index.html

|

« 始発電車を待ちながら(東京ステーションギャラリー) | トップページ | DOMANI・明日展2013(国立新美術館) »