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2013年5月10日 (金)

アントニオ・ロペス展(Bunkamuraザ・ミュージアム)

出点数が少ないような噂を聞いていて、確かに多くはないんだが、別に目くじらを立てるほどではない。現代スペインリアリズムということで、近頃元気な(?)写実絵画だぞ、と大いに期待して行く。で、行って一通り見て、最初はなんじゃこりゃ、写実のインパクトからすると磯江毅の1/4、牧野邦夫の1/3ぐらいかなと思い、もうしばらく経つと、磯江の1/3、牧野の1/2ぐらいかになって、またしばらく見てると、ううみこいつはこれでなかなかいいねえとなった。絵の読み解きとかあまりやらん私にとっては第一印象でほとんど価値が決まっちゃうんだけど、このロペスの何枚かの絵は、不思議と見れば見るほど、何か立ち去りがたいほどの魅力があるのだ。まあ、それはなんでかは後述する。

まあ、順を追って行きます。最初は「故郷」のコーナー。「立ち話をするフランシスコ・カレテロとアントニオ・ロペス・トーレス」という街並みと人がぽつぽつみたな絵、なんかデルヴォーの雰囲気に似てるんで影響されてるのかと思ったが、一番影響されたのは叔父である画家のロペス・トーレスだって。あと、マチエールがさらっとしている絵が多く、人物画「花嫁と花婿」などのちょっと変わった人の感じを見ると、バルテュスにも何となく似ている。まあ、要はそんなにオリジナリティ感じなかった。次の「家族」コーナーで「夕食」うーん、右の母親の顔が二重になってて描きかけか何かみたいだけど、超現実絵画みたいになってるぞ。「マリとアントニオ」のアントニオも、なんか模様ガラスの向こうみたいで、わざとなら面白い……けどちょっと中途半端だな。ポスターにもなっている「マリアの肖像」おお、鉛筆画でこれはまさに写実。このコートの質感は見事だ。このレベルなら磯江に対抗できるじょ。しかし鉛筆の写実画ってどうやって描いてるかマジ分かんない。

「植物」のコーナー。「マルメロの陽光」ってロペスのドキュメンタリー映画があるんだって……なんかタイトルきいたことあるな。そこででてきたマルメロの絵があるよ……印象派みたいな。このコーナーにゃ大した絵が無い。次の「マドリード」コーナー。ここでポスターにもなっている「グラン・ビア」が登場。ヨーロッパの昔風の建物が並ぶ朝の街角。人は誰もいない。まずは写実だなあという印象なんだけど、これが見れば見るほどいい感じ。これ描くのに7年もかかっているんだね。なぜかと言うと、朝6時半を描くから一日2、30分しかこれを描けないの。ここで諸君は印象派を思い出してほしいのだ、印象派って外光の一瞬をとらえるために、あえて輪郭などをすっ飛ばしてボケッとした感じで描いているのね。でもロペスの絵はその一瞬を積み重ねて写実にしちゃってんだよ。これって究極の印象派じゃね? だから見るほどに不思議と「光」が感じられる。そうだよ君ブルース・リーも言っているじゃないか「考えるな、感じるんだ」。これと同様の魅力のある絵が「トーレス・ブランカスからのマドリード」(夕刻の光ですな)と「カピタン・アヤからのマドリード」いずれも建物に注ぐ光が素晴らしいじゃないか。まあ、他にも同じ手法で描かれた絵がいくつかあるんだけど、上3つが特に凄かったな。あと「グラン・ビア」の前にあった「美術修復センター」も建設中の建物の写実で面白い。

「静物」コーナーは特に無し。「室内」コーナーでは、「眠る女」の木彫&彩色にビックリ。おい彩色が写実じゃねーか。これはケッタイだ。面白い。あと写実で室内を描いたので「バスルーム」は、小汚いバスルームを3年かけて写実絵画に。「トイレと窓」も小汚いトイレを3年かけて写実絵画に。いや、身近なものを描かんという意図は分からんでもないが、その題材は凄すぎる。最後は「人体」コーナー。ドンと木彫裸の男女が立ち、裸男が横たわる。鉛筆画「フランシスコⅠ」では男の局部を中心に描写じゃい。

磯江や牧野の写実バリバリな感じを期待しているとちょっとハズす。でも違う魅力が十分だぞ。
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/13_lopez/index.html

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