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2013年6月 2日 (日)

オディロン・ルドン展(損保ジャパン)

サブタイトル「夢の起源」だそうです。前にBunkamuraでやり、三菱一号館でもやったしなあ。チラシがおなじみの顔付き蜘蛛だしなあ。あまり期待もできまいよ……と思いつつ行く。まあ収穫もちらほら。

最初はボルドーの紹介で、ルドンが版画を教わったロドルフ・ブレスダンが並んでいるのが収穫。「死の喜劇」なんかは、まっとうな幻想モノクロ版画として妖しくイケている。ルドンのブレスダン風の版画が並び、クラヴォーって人の博物画みたいなのが並ぶ。これもルドンが参考にしたようだ。それからルドンの初期の風景画とかが並ぶが別に面白くなくて、ドラクロワの模写があるがドラクロワはもう少しうまかったんじゃなかろうかと思い、おなじみ「黒」の時代に突入。ここは見慣れてるが何度か見ても安定して面白い。「幻視」の目玉やら、「皿の上に」首が乗ってるとか、『エドガー・ポーに』での目玉気球とか。進化論にインスパイアされた『起源』の非科学っぷりが冴えている。生命の誕生から人類の出現までを、科学風の言い回しをいじくってヘンな生物を作り上げる「不格好なポリープは薄笑いを浮かべた醜い一つ目巨人のように岸辺を漂っていた」これはクラゲの幼生ポリープの詩的描写に違いないが、それを言葉通りの絵にする。つまり薄笑いを浮かべた一つ目巨人を描くのだ。万事この調子で、恐らくウニだろう生物が棘付きセイレーンになっていたりする。それからおなじみ「蜘蛛」があり、魚の体に人間の頭を付けたヤツとか、頭を持たない目とか、モンスター多数。でもグロくてキモいというよりモノクロで品がいいもんで、割とサクッと見れてしまう。

その後、色つきの絵が並ぶのだが、どうもイマイチ感が拭えない。なぜだ? 黒の時代が優れているからか? いやいや、これは描き方のベクトルがずいぶん違うので、黒と同じ調子で見ると何じゃこりゃになってしまう。黒の時代は形体やイメージが明確だったが、色彩時代は形体よりも色の調和に比重がかかっているので、抽象画を見るモードに変えなきゃならん。「何が描いてあるか」ではなく「何を感じるか」なんだ。その例として、「アポロンの戦車」と「アポロンの馬車」では、現実的色彩の「馬車」の方が先に描いたものなのね、「戦車」における空に飛び立つ馬は妙な色彩と形体なんだけど、馬という象徴のオブジェだと考え、全体を見てみれば、ふむ、こっちの方が絵としてよく見えないかね? こういう目で見ると、色彩時代も悪くないだろ。「オルフェウスの死」とか。あと「眼を閉じて」はいいマチエールをしているな。

思いのほか出店数が多いぞ。
http://www.sompo-japan.co.jp/museum/exevit/index_redon.html

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