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2013年7月15日 (月)

アンドレアス・グルスキー展(国立新美術館)

写真はアウェーだとか言ってほとんど見ないのだが、たまに面白そうだと見る。自分にとって面白いのは、何かシュールレアリズム絵画のような超現実的な風景などで、以前森美で見たニコラ・ムーランなどは、PCの壁紙にしたりしている。あとだいぶ前にベルトランの航空写真なども面白い部類に入っている。そういう意味だと、グルスキーはかなり「面白い」ぞ。出品リストと展示順があえてバラバラなんだけど、極力展示順に行こう。

最初の方に本のページらしき写真がある。これは自分で何たらの作品をリミックスして活字を組んで本みたいにして撮った一枚。「バンコク」というシリーズがあり、一見抽象画風なんだけど、よく見ると航空写真かな? いや、ここに写っているのはサンダルだ。どうも川面で、いろいろ写っているのはゴミのようだ。このシリーズ全部そう。あれ、よく見るとこれ「ナイタイマガジン」じゃないか。なんでバンコクにナイタイがっ! しかし、ゴミをオブジェにするセンスとは歌川国芳並じゃないか。「無題Ⅰ」という作品、一面の……カーペットかこれは。それからキラキラした何かが並んでいるが「パリ・フランス共産党本部」だって。こういう建物の一部を切り出して何か別のもの風の写真にしているのも多い。あとは人々「ニャチャン」では椅子を作っている。「ベーリッツ」も傑作。一見建物の壁面かと思う。よく見ると、小さく人がいる。そうかこれは畑か? 「パリ・モンパルナス」も幾何学的なモダニズム風アパートが見事に「絵画」している。広告にもなっている「カミオカンデ」は日本のスーパーカミオカンデ。スケールのデカい、幾何学的配列の球が壮観だ。そこに帽子をかぶってゴムボートで進んでいる人がいる。これは何? 実景? どうもデジタル合成を結構やっているらしいのだ。写真はあくまで手を加えない「リアル」であるべきなのか? いや、虚構でもいいのだ。先のニコラ・ムーランも虚構で見事なものを作るから、オレ的には「あり」だ。「シカゴ証券取引所」これも人人。「東京証券取引所」も背広の人人が入り乱れる(東証はシステム化され今はもっとスマートらしいが)。とにかく単なる人混みでない面白さがあるのは、ある種の目的を共有しているのが分かるからだろう。カオスの中にも秩序あり、これがアートだ。「福山」の牛小屋配列。「ピョンヤン」シリーズは例の大規模マスゲーム。一糸乱れぬ……と思いきや、演じる少女達の表情仕草に微妙な個性があるというのがテーマだ。それから、これは何の写真なのか不明なのも多い。「無題XV」は穴だらけの壁と、その前になぜかマイクスタンド。うーん……ホールか? しかし面白い風景だったら何でもいい。「エンガディン地方」アリの行列みたいなスキーヤーが面白い。「グリーリー」は一面の区画された牧場が壮観……なんだけど、同行した妻がかつてグリーリーに住んでいたが、こう大規模ではなかったとのこと。ううむ、これ強調するための合成かな? 「99セント」は、もう一つの目玉。こっちも商品びっしりの状態が壮観だが、これも合成らしい。でも面白いからいいんだ。「無題V」というのが妙で、ジャクソン・ポロックの絵をそのまま撮っている。うーん、これはどういう意図があるのだ? 質感が消えるので、ヘンではある。「マドンナ」はコンサートの模様。マドンナがちゃんと写っている。状態はカオス。

そんなわけで写真にそう興味が無くても、面白写真が好き、という程度でもとにかく「行き」だ。
http://gursky.jp/

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