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2013年8月31日 (土)

レオナール・フジタ展(Bunkamuraザ・ミュージアム)

言わずと知れた藤田嗣治。みんなが描いてた戦争画の責任を一人でとらされてしまい、日本を出て行った。
中心はポーラ美術館のコレクションだけど、たくさん持ってんのね。フジタといえば乳白色の裸婦が有名だけど、それもいくつも出ている。フジタ以外も同時代の連中がいろいろ出てるよ。

フジタはまずアンリ・ルソーに影響を受けるが、ルソーっぽい絵やら、ルソー本人の絵もあるよ。ルソーは幻想的でいいよな。これを見て「素朴派」とか言ってるヤツはバーカ。それからモディリアーニ。フジタとも交流があったらしい。「婦人像(C.D.婦人)」とかね、ポーラいいもん持ってんなあ。パスキン……少女像2点だけど、もちっといいのがあるような気がする。キスリングがあり、スーティン……うーん暗いゴッホみたいなヤツ? それからフジタの乳白色ものいろいろ。「横たわる裸婦」は筋肉ちゃんだ。よく見ると乳白色の肌合いも、絵によって違うようだ。「仰臥裸婦」のは肌つやがよくて、かなりいいな。こりゃ欲しくなるわな。

写真家の土門拳がフジタのアトリエでの写真を撮っていて、それが展示してある。乳白色の出し方を秘密にしているのだが、相手が写真家だからと油断してた。秘密のアイテム「シッカロール」が写っちゃったんだって。そのシッカロール缶も展示されているよ。

それからいよいよ子供たちの絵だ。「校庭」とか「誕生日」とか何人もいるヤツが面白いな。特に「校庭」がいろいろ体操で。しかし……総じて愛想がない。ある意味リアルだ。そりゃー子供はランドセル背負ってぴょんぴょん跳ねながら学校に行くわけじゃないのは、ウチの小学生を見てたって分かります。フジタの子供は、小さい大人みたいな感じかな。それより、子供以外、動物も結構やってんのね。猫は有名だけど、今回「ラ・フォンテーヌ頌」というキツネ一家の絵があるよ。しかーも、それと同じ雰囲気の部屋の、ドールハウスをフジタが作っていて、それが展示されている「私たちの家」というもの。このフジタのドールハウスが今回一番よかった。まるで絵の世界まんまなのね。ドールハウスで夢想していたフジタです。それから動物ものでは「犬の円舞」なんてのもある。あと「猫」は猫なんだけど、襲いかかる一瞬を描いている。これはいいぞ。北斎的な迫力がある。

それから阿部徹雄という人が撮った。65歳のフジタのいくつか。それからいよいよ目玉の「小さな職人たち」。「椅子職人」とか「剥製師」とか様々な職業や人物に子供が扮した……というかそうなっている世界の絵だ。一枚ずつは小さいが、95点も出てるんだぜ。時々フジタの文章パネルがあって、主に、パリのこういう人はどんなじゃ、という話なんだけど……パリへ行きたいですなあ。読んでると行きたくなるじゃねーか。絵の方は普通にうまい……のと、お国柄を見ることもできるよ。例えば「母と子」で、母親の傍らで子供が寝かされているんだけど、毛布で首から下をきっちり巻いちゃってるんだ。あっちではそうなんだってな。たまになんじゃこりゃみたいな絵もあり「製陶所」では、子供が割って泣いておる。「診療所」が、どうも人形の診療所みたいなんだけど、人体バラバラっぽくてちょっとヤバい。「億万長者」……ってなんで裸なんだ? とにかく見応えありじゃ。

ポーラはすげえな。
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/13_fujita.html

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2013年8月16日 (金)

アメリカン・ポップ・アート展(国立新美術館)

実はあまり期待してなくて、というのも、ポップアートなんてだいぶ見ちゃったなあと思っていたんだな。ところが行ってみると、これが結構知っているようで知らなかった、というのが分かる。有名どころのウォーホルとリキテンスタインだけではない。むしろラウシェンバーグとジャスパー・ジョーンズで半分近くを占めている、というのがポイントだ。見応え上等。ジョン&キミコ・パワーズコレクションだ。

冒頭にパワーズ夫妻のウォーホル作品がある。続いてまずロバート・ラウシェンバーグコーナー。筆による抽象描線に日用品の写真を織り込んだような作品群。あと立体大作「リボルバー」が面白かったね。絵が描かれた大きなアクリル円盤5枚が縦に並んで、動くはずが……動かしてないのは残念だ。動かしてくれよ。あと「カードバード」という段ボールで作ったオブジェを金属で再現したもの、それをさらに厚紙に印刷して同じように作る「カードバードⅡ」。なんでこんなことやるの? というヘンテコ感が面白いぞ。

次はジャスパー・ジョーンズのコーナー。有名な「標的」やアメリカ国旗の「旗」もあるが、ここは抽象と日常で使う数字や文字を混在させたような溶け合わせたような作品が面白い。「灰色のアルファベット」や「彩色された文字」だな。こういう溶け合って何かモニョモニョした印象というのは、いわゆるおなじみの「ポップアート」のクッキリ感とはちょっと違うんだな。ジョーンズは後半、「ハッチング」という斜線模様の作品が増えてくる。
次はジム・ダイン……うーん、知らんな。デカい色見本の作品が目を惹く。次はクレス・オルテンバーグ。「ソフト・スカルプチャ」という柔らか立体ものが得意のようで、その大作「ジャイアント・ソフト・ドラム・セット」が展示されている。うーん……ユルい感じ? 他にも日用品の変容みたいな作品があるが、ここでふと、あのダリの溶けた時計と似てるようでずいぶん違うな、と思ったりする。ダリのあの時計は何か象徴的で日用品じゃないもんなぁ。それから「友人としてのアーティスト」ということで、個人的に送られたような作品が並ぶ。

そしていよいよ巨匠アンディ・ウォーホル。さすがの洗練というのか、日用品と抽象の混在とかではなく、日用品をそのまま並べて、それが個性になっているのだ。しかし目玉は最初に物(キャンベルスープ)を並べて作品にしたという「200個のキャンベル・スープ館」これは普通のウォーホル作品(手描きデザイナー時代を含む)に馴染んでいればいるほど衝撃的だ。手描きのデザイン作品と、おなじみポップ作品の中間に位置する。つまり、キャンベル缶を並べて描いてはいるんだけど、その描線、特に「SOUP」の字が手描きウォーホルなのだ。そう、まだ個性的描線を捨ててないのね。ウォーホルはこれを作り、描線に個性はいらん、いやむしろ無い方がいいと思ったのでしょう、その後描くキャンベルスープは個性を消した堅い描線が使われる。それでも色彩やレイアウト、ちょっとした加筆でウォーホル作品として成立するのだ。この直感力というか洗練させる力は凄い。おなじみ毛沢東とか花とかマリリンとかもせうよ。あとキミコ・パワーズがいっぱいあるぞ。

それからもう一人の巨匠、ロイ・リキテンスタイン。おなじみマンガの一部作品もあるのだが、実はそれよりも、ドットや色分けや直線を使ったやや抽象の作品がいい。「エキスポ67のための習作」「静物」「化学による平和」など。いやぁ、これ心底うまいですな。すばらしいコンポジションですな。

あとはメル・ラモス、トム・ウェッセルマン、ジェイムズ・ローゼンクイスト。ラモスの「ミス・コーンフレーク」ではナイスなアメリカンピンナップガール風ヌードが拝めるど。ウェッセルマンもヌードが多い。なんちゅーか、乳輪、が妙に目立つヤツ。ウェッセルマンといやあバスルームだっけ、立体ものと組んだヤツが有名だよね。

客層も若いのが多いようだ。
http://www.tbs.co.jp/american-pop-art2013/

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2013年8月15日 (木)

プーシキン美術館展(横浜美術館)

さすがお盆休み。午前中でも混んでるじゃねーか。20分ぐらい並んで、チケットが無いとさらに30分ぐらい並ぶんだと(カウンターが2つっきゃねえ)。チケットは既に持ってたよ。よかったですね。

古典主義、ロココのコーナーから。知ってる画家がおらん。理想風景のクロード・ロランぐらいかな。ジャン=フランソワ・トロワって人の「スザンヌと長老達」……おいおい、定番テーマだけど長老が水浴のスザンヌを覗いてんじゃなくて、もう手を出してまんねん。しかしこの辺で目を惹いたのはフランソワ・ブーシェ「ユビテルとカリスト」ギリシャ神話(というかここではローマ神話か)の、アルテミス(ディアナ)の侍従カリストを誘惑するため、アルテミスに化けたゼウス(ユピテル)。ロココ3人衆の1人ブーシェが描く美しい誘惑のシーン……ってこの絵エロいやんけ。青少年に見せてええんか。別にブーシェにしてみりゃ、こういうもんを描けりゃあ神話なんかどうでもいいのじゃ。ルイ=レオポルド・ボワイーって人もロココみたいですな。ダヴィッドがブチ切れそうな男女がちゅーちゅーしてるロココ絵だす。そのダヴィッドも出てるよ「ヘクトルの死を嘆くアンドロマケ」小さいけどまあいいや。

次の新古典主義、ロマン主義、自然主義コーナー。目玉の一つアングル「聖杯の前の聖母」おお、キマってる。さすがだ。きれいどころの聖母だ。ドラクロワがあるよ「難破して」……って、なんじゃこりゃ? 小さいというか、イマイチというか、これでおみゃえドラクロワ持ってきましたって言われたくないぞ。そりゃドラクロワだけどさ、あの、ほらサイコロステーキを頼んだらサイコロ1個だった、みたいな。ミレーの「薪を集める女たち」はまあまあ。おい、クールベさんはおらんのか?

印象主義、ポスト印象主義コーナー。目玉の2つめ、ルノワールの「ジャンヌ・サマリーの肖像」……うーん、中の上ぐらいかな。なに絶品だと? ……そうか。でもオレはセザンヌの「パイプをくわえた男」の方がいいな。とにかく絵としての風格を追求したぜって感じがする。同じくセザンヌの「水浴」は定番だけどよく分かんねーや。マネ、モネ、ドガがあるが普通。ドガの「バレエの稽古」はちょっといいかな。ゴッホ「医師レーの肖像」耳切ったあとで診てもらった医者らしい。それにしてもポップなセンスですな。こういうのを見ると、ゴッホは時代を先取りしてた感じがする(狂ってたからたまたまそうだったのかもしれないが)。

最後はフォーヴィズム、キュビズム、エコール・ド・パリって、作品数11点のエリアにそれだけのジャンルを詰め込みましたってそりゃ無理だよおみゃえ。ヴラマンクもフジタもルオーもブラックもおらんやんけ。マティスの「青い水差し」うわ、思いっきりセザンヌだな。「カラー、アイリス、ミモザ」は傑作……みたいなんだけど、マティスの分からん俺には実感できん。ピカソが3つ。中でも「逢引き(抱擁)」があまりに普通の絵でかえってびっくりだ。それからルソーやレジェもあるよ。

んーまあ、それなりの感じで。
http://pushkin2013.com/

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