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2013年9月21日 (土)

トスカーナと近代絵画(損保ジャパン)

あんまり期待していなかったんだが、これが意外とよかった。フランス美術なら新古典主義、ロマン主義から印象派、後期印象派と派手に知れ渡っているが、じゃあその間、美術大国のイタリアは何してたんだよ、というのを意外と知らない。君は知っているかい「マッキアイオーリ」を、フランスの印象派と同じ頃、イタリアで起きた現実写生主義で斑点を使って描くんだぜ。それが主に紹介されている。トスカーナっちゅうのは、まあフィレンツェだからな。

最初はダヴィッドやアングルの影響を受けたロマン主義……ってなんやねん。えー。ドラマチックな一場面みたいなやつ。展示の中ではアンドレア・ビエリーニの「煉獄におけるダンテとベアトリーチェの出会い」がいいね。ルネサンス前の宗教画みたいな雰囲気だけど、描画が当世風で、なんか面白いだろ?

それからいよいよマッキアイオーリ絵画の登場……で、その巨匠のジョヴァンニ・ファットーリ「従姉妹アルジアの肖像」が今回の目玉……いや、これはマッキアイオーリって感じじゃなくて、写実っぽくきっちり描いてあるんだが、小さいながら、かなり凄い。うむっ、一見男だし、フェルメールほど光オタを感じさせないが、存在感では青ターバンに負けてないぞ。この絵はチラシやポスターにもなってて、それで見ると「なにこれ? これが今回の目玉?」って感じの地味さなんだけど、本物はかなり印象が違う。目の光の点々とかも見事なんだ。現場に行けば、なぜこれが広告に使われたか分かるであろう。

さてこのマッキアイオーリなんだけど、印象派が外光と原色で明るい画面を作ったのに対し、マッキアイオーリってのはあくまで対象物のそのものの色を使うのね。で、太いヤツでペタペタ描いていく。どうなるか? ……暗い。そう、リアルに近いんだけど、全体に暗いんだよね。おおっ、なんじゃこりゃ?って感じで、印象派を見慣れていればいるほどインパクトが大きい。このインパクトを受けるためにわざわざ足を運ぶ価値はある……が、同時に「こりゃ日本の大衆にゃウケないよなあ」という感じもする。印象派は日本の浮世絵の影響を彷彿とさせるのもあるが、マッキアイオーリはやはりイターリア。西洋画の発展系なんだ。テレマコ・シニョリーニの「フィレンツェ旧市街の通り」や「モンマルトル」なんてのも、暗い印象派絵画みたいだし、ジョヴァンニ・ファットーリもいくつも並んでいるが、原色っぽいものはない。

それからトスカーナの一九世紀二十世紀絵画だ。アントニオ・チゼーリ「キリストの埋葬」ううむ、リアルさがすげえな。ルネサンスだな。いやー、初めて聞くような名前だが、イタリアってなんだかんだ美術大国で、無名のヤツでもレベル高いのね(日本で無名なだけかもしれんが)。ウルヴィ・リエージ「ひと気のない通り」うむ、暗いな。アルフレッド・ミュラー「リヴィエーラ海岸」これは妙に明るい。透明感が冴えている絵だ。

次は二十世紀絵画。有名どころのデ・キリコ登場「南イタリアの歌」おなじみマネキンなんだけど描写が柔らか系の珍しい雰囲気だ。フィリッポ・デ・ピシス「グァスコーニャの風景」これがマッキアイオーリの発展系みたいな半抽象んーまあ、根が暗いみたいな。しかしだ、ここでスゲエのがいるんだアルベルト・サヴィニオ「オルフェウスとエウリュディケ」。誰だ? なんとデ・キリコの弟だって。キリコが兄弟で絵を描いてたなんて知らなかった。で、この絵がなかなか面白い。色がちょい妙だし、左の男(オルフェウスか?)がロックンローラーみたいな雰囲気だ。やるじゃんキリコの弟。

そんなわけで、この企画は来年群馬と鳥取に巡回するんだって。そこではもう少し多く出るようだ……多く出るんかい! しかし行って損は無い。空いてるから穴場だぞ穴場!
http://www.sompo-japan.co.jp/museum/exevit/index.html

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