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2013年11月 2日 (土)

バルビゾンへの道(Bunkamura ザ・ミュージアム)

これは山寺の後藤美術館コレクション展なのだ。なもんで「バルビゾン」なるタイトルを真に受けて風景画がたっぷり見れるかと思ったら間違い。バルビゾン派のごとき風景画はあまりない。そこに至る……というか無理矢理「至る」ことにされちゃったアカデミック宗教画や肖像画や静物画が並ぶ。しかし私的にはむしろそっちの方が面白かった。

最初は「神話・聖書・文学」コーナー。ムリーリョの「悲しみの聖母」がかなりいい。あの「無原罪の御宿り」のムリーリョだもんな。しかしあまりにいいんで、これはここにあるのは間違っている。教会にあるべきものだと思ってしまうな。ロココ三人衆の一人ブーシェ「聖ヨセフの夢」ブーシェにしちゃユルさもイマイチかもしれないが、天使がおなごであるぞ。さすがロココ。それからロランみたいな理想風景っぽいのが並ぶが、こうなると先日のターナーがまた見たくなるな。ヤーコブス「ディアナ」出たぜ裸のテーマ。水浴中のディアナ一行を覗くアクタイオンが鹿に変えられるが、そんなのどうでもよくって女神どもの裸描くんじゃ。タッセールって人も「水浴する女たち」なんてのを描いてるが右の女死んどる。アカデミック代表アレクサンドル・カバネル「デスデモーナ」、マネとか印象派どもの引き立て役の「つまらんアカデミック絵画」ではない。ちゃんとグッとくる絵を描いているんだぞ。女がこっちを見てる。

「美しさと威厳」のコーナー。肖像画がずらっと並ぶが。肖像画って、そんなおもろないのね。ペクリュってヤツの「貴婦人と犬」の銀の衣装が面白いな。エヴァレット・ミレイがあるぞ「クラリッサ」なんだミレイにしちゃヘタだな……と思ったがどうもこれモデルが悪いらしい。ちゃんと描いてるよ。カバネル「エコーの声を聞く」アカデミックをバカにすんなよ。コンスタブル「少女と鳩(グルーズの模写)」女の子の絵や。コンスタブルらしくないがうめえじゃん。でも本人はこの画風嫌だったらしい。しかしこれどこかで見たな。ブーグロー「愛しの小鳥」これも再会だな。ヒックス「孤児」。貧しい姉妹で姉が病気の妹をだっこしている。しかし……なんか孤児萌えってあるんじゃないか。貧乏な風采のかわいい子描いて萌えちゃうヤツ。パリエイのキレイキレイな「夜会」とは再会。ううむ、再会が多いんだがいつどこで見たんだろう……

「風景と日々の営み」コーナー。やっとバルビゾンに至るような至ったようなところの風景画。ロイスダール「小川と森の風景」は安定。ミレー「庭にて」イマイチ。コローもそんないいのがない「サン=ニコラ=レ=ザラスの川辺」が及第ぐらいか。バルビゾンおやじのテオドール・ルソー「ノルマンディーの風景」は普通。デュプレ「月明かりの海」暗くて月をはらんだ雲がいいんだけどライティングがよくない。ううむ、しかし、やはりやってくれるぜクールベさん。「波」おなじみのテーマだが、夕刻の空だよ。そして見よこの何かが潜んでいるかのような暗い海原をそして水平線を。演出も理想化もせずに、自然の脅威を描かんとするクールベさんには毎度脱帽する。もちろん今回この絵がナンバーワンだぜ。あとシャルル=エミール・ジャックとかエメ・ペレって人がミレーのパチモンみたいな絵……いや、もちろんミレーとは一味違うように描こうとしてはいるんだけどさ。

「静物ー見つめる」コーナー。あんまし見るもんがない。何しろ死んだ鳥とかほ乳類とか、狩猟民族じゃないとグッとこないべ。

そんなわけで、バルビゾンとは関係ないところで見るもんがあったりする。面白いと言えば面白い。
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/13_yamadera/index.html

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