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2013年11月 9日 (土)

アンリ・ルソーから始まる―素朴派とアウトサイダーズの世界(世田谷美術館)

明日で終わりなんで、あまりこまごまと書いてもしょーがない。正規の美術教育を受けていない作者から生まれた優れた作品を「アウトサイダー・アート」(もしくはアールブリュット)と呼ぶ。趣味でやってる独学の日曜画家もそうなんだけど、むしろ精神を病んでいて、病院などで生み出されたパワフルな(マッドな)表現を持つ者に対して言ったりする。というか、そういうのが一番見ていて面白いから。

ルソーは一応日曜画家なのね。ちゃんと仕事も持ってたし、他にも仕事しながらとか、人生の終わり近くになって初めて絵画作品を残し始めた人、なんてのも紹介されていた。

日曜画家は「素朴派」なんて呼ばれているが、これにゃ注意が必要で、決して素朴な印象を与えている絵を描いているわけではない。それだけじゃ後世に残りませんや。ルソーは確かに、遠近とか人の大きさとかが適当で狂っていたりするが、絵が持っている印象はかなり「超現実絵画」なんかに近い。あと今回、カミーユ・ボンボワもよかった。デブ専みたいな絵しか見たことなかったんだが、風景、光と影の表現が結構うまいと知る。ルイ・ヴィヴァンはやっぱりダメだ。空ぐらいしか褒めるところが無いや。あと英国のチャーチル首相も、政界引退後に絵を描いてたって。日本の細川護煕もそうでしたな。それから人生終盤で絵筆を取った人達。おなじみグランマ・モーゼスとか、60,70歳で初めてなんて当たり前。中には85歳で絵を描き始めたとかいる。ビル・トレイラーって人だって。しかし見てると結構みんな長生きしとるね93歳とか、95歳とか。やっぱり描かなきゃいかんという情熱が寿命を延ばすんだな。北斎も90歳ぐらいまで行ったしね。しかしここの一番の山場は、「絵にして伝えたい 久永 強」戦争に行き、終戦後カメラの修理などをやっていたが、香月泰男のシベリア抑留の絵を見て、自分も描き残さねばならないと思い立ち、40数点残したうちの30点が出ていた。文章と共に展示される作品群は切実にして悲壮。もう絵がうまいとかどうとかは問題ではなくなってくる……というのも美術鑑賞的にどうなのよという問題はあるんだが。

バスキアみたいなのがあるなと思ったらバスキアだった。それからシュルレアリスム関係。マッジ・ギルというアウトサイダーの巨匠の作品。トランス状態で描かれたんだって。あと草間彌生なんかも出ていた。あとはよくある精神病系。グギングという精神病院の中にあって、アートの才能を持つも者を自立させる施設とそこのアーティストの紹介。

そうえいばこういう場所に必ず出てくるヘンリー・ダーガーがいなかった。まとまってコレクションされてしまったか、あるいはもはやおなじみになってしまったからか。
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html

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