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2014年1月 3日 (金)

「大浮世絵展」(江戸東京博物館)

12月後半は忙しくてどこも行けず、当ブログもひさびさとなった。新年最初は浮世絵展です……って結構混んでるじゃねーか。なんだよー2日の午前だぞ。箱根駅伝でも見てろよー。
で、タイトルに「大」が付くだけあって、かなりの点数かつ展示替えバリバリ。出品リストを見ると、この東京会場でも8期に分かれている。期ごとに再訪再々訪する鼻息荒い御仁もいるかもしれないが、オレは無理だ。えー、見たいものが見れなかったらどうすんの? それは見たいものにもよるが、基本的には運命だよ。

最初に「風俗図屏風(彦根屏風)」がいきなり炸裂。国宝だぞ国宝。えーと、これ浮世絵のハシリとして試験にでるヤツだっけ。いずれにしても右側の美女など結構もう完成されてんじゃん。これ1月14日までの展示だぞ。次の「婦女遊楽図屏風」でいきなり女がオタフクみたいになっててトーンダウン。ええとね、今回全部が見どころとかアホなこと言うつもりはないです。北斎歌麿なんか別の浮世絵展でも出てくるんだからさ、肉筆以外適当見ときゃええ。この手の物量展示を始めからキバって見ると終盤で息切れしてくるが、その終盤がキモだったりするの。今回だって東京じゃあまり見ない上方絵が終盤近くにあるんだぜ。

基本年代順。おなじみ菱川師宣の吉原モノクロ版画とか。ポスターになってる見返り美人図は1月28日から2月16日までの展示のようじゃの(オレは千葉市立で見たからいいや)。懐月堂安度の美人画と、宮川長春の美人画と手堅い。西村祐信の美人画も安定。それから版画じゃこいつの工夫の数々は外せない奥村政信作品群。「羽子板を持つ八百屋お七」は大判縦2枚だ。あと浮絵とかもあったかな。

錦絵の時代になり当然出てくる鈴木春信。この人はよく見るからいいや。春重(司馬江漢)はおらんのか? 勝川春章が出たぞ。5人組の役者絵があっていいですな。しかし春章の肉筆美人画は無いのか? と思ったら出ていた「遊女と燕」ううむ……もっとすげーのあるんだけどなあ。あと勝川春好「三代目瀬川菊之丞」ううむ……大首絵だが、もっと痛風で描けなくなって太線になった時の方がインパクトがあるな。浮世絵界のグフ(ザク=春信)であるところの磯田湖龍斎は……うん、出てるけど普通だ。

浮世絵の黄金期。もうおなじみ過ぎるんで適当に鑑賞。清長の版画とか。いやしかし、珍しく清長の肉筆画が出てた。しかも風景だよ「駿河町越後屋正月風景図」おお、うまいよこれ、浮絵だよ。人の大きさも不自然さは無いな。それから歌麿も適当に鑑賞。美人画だけでなく「画本虫撰」と「百千鳥狂歌合」の細密花鳥画に驚きたまえ。うーん、歌麿の花鳥画だけで企画展示やらないかな。知られざる歌麿の技量を堪能したいものだ。あと歌麿美人画では着物の墨線が無くて柄だけで表現したのがあった。あと立ち姿で前からと後ろから描く「難波屋おきた」とか。それから春英、栄之、写楽、豊国なんかと続き(ここも適当よん)、はい国政が2枚。写楽以上にうまいけど少ないことで知られる。今回は美人画(一応役者のだが)だが(1月21日から2月2日に団十郎が出るな)。しかし国政の美人画は個性的ながらイマイチだった。それから北斎が続く。なんと「百物語」5つ全部出てた。1月14日までだが子供も来る正月に怖いこれを出すこたあないと思うが。あと北斎は晩年近い肉筆「端午の節句」が凄い。うまい。さすが「画狂老人卍」と書くだけある。隣には娘の葛飾応為「夜桜図」得意の光に照らされて浮き上がる絵。父親譲りの才能が光る。それから国貞「五節句ノ内 文月」踊る6人美女。浮世絵絶頂期に最も描いて売れた国貞なんだけど、評価はあまり高くないのね。でもこの絵を見りゃあ分かるだろ。実はめちゃくちゃうまいんだぞ。国芳もいくつか。中でも「亀喜妙々」亀の顔が役者似顔。実は役者絵禁止されてた中での作品だ。この手でお面とか落書きとかで役者似顔がある反骨精神。特定秘密保護法案で表現ができなくなるーって嘆いている弱気なアーティストは見習いなさい。

ここでいきなり祇園井特のエグい肉筆「太夫道中図屏風」そうだここから上方だ。見逃すなよ。この辺まで体力残しておいてね。「滑稽浪速名所」が面白かったな。大阪のドツキ漫才みたいで。でも流行斎如圭が見たかった。上方の役者絵はどう見ても「写楽」。そう、私は写楽は上方の絵師の誰かだと思っているのだ。ちゃんと調べてないが。

それから明治時代だ。芳年の、鬼婆が半裸の妊婦を吊してる「奥州安立がはらひとつ家の図」があったが、子供も来る正月に恐いこれを出すこたあないと思うが。小林清親は光線画はもちろん戯画もカバー。最後の(江戸風)浮世絵師、楊洲周延「千代田の大奥」が美しいぞ。あと橋口五葉や伊東深水などもあるが、もはや浮世絵でなくて、単なる木版画作品なのね。何かが加わり何かが抜け落ちてしまったのだ。

いやいや早足で見てもこのボリュームだもんなあ。全部を堪能したい人は気力と体力つけて行ってくれ。
http://ukiyo-e2014.com/

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