« シャヴァンヌ展(Bunkamuraザ・ミュージアム) | トップページ | ハイレッド・センター:「直接行動」の軌跡展(松濤美術館) »

2014年2月 9日 (日)

葛飾応為「吉原格子先之図」(太田記念美術館)

北斎の娘で父親譲りの高い画力がありながら、なんと世界で十点ぐらいしか確認されていない、知る人ぞ知る絵師。この応為を全面に出した企画ながら、出ているのは肉筆「吉原格子先之図」と、本となっている「女重宝記」とそのパネル。あとは解説。あとは同時代の他の絵師。さながら「フェルメールと何たら展」で、フェルメールが一点みたいな状態。でも点数からすればフェルメールより少ないし致し方ない。面白いことに、応為が晩年の北斎の代筆をしていた説があり、さながら今流行のゴーストライターだな。

その「吉原格子先之図」であるが、私は何度か見てはいる。夜の光に浮かび上がる遊郭の光景は、後の清親あたりの光線画を彷彿とさせ、同時代からの抜きん出ている印象があり、企画として一点押し「できる」完成度だ。見たことない人は、このフェルメールばりの光のこだわりを見るとよい。

他の絵師の作品は、この「吉原格子先之図」のエッセンスを分類して、それに合わせたセレクション。「洋風画」では線遠近法を使った北斎や豊春。嬉しいことにマニアックな昇亭北寿が結構並ぶ。洋風技法オタ。キュビズムとも三角メッシュともつかぬ技法で山の立体を表現。遠近はややボンクラだ。線遠近法に関しては葛飾派より歌川派の方がうまい感じがするね。「夜と美女」で選ばれたのは国貞と広重。さすが太田。粗製濫造と言われて世間じゃ不当に評価の低い国貞だが、実は当時のナンバー1。浮世絵界の小室哲哉。提灯の光が広がる演出も冴える。名所絵の広重も、実はそれなりに美人画を描いている。背景が月夜の夜景だったりして演出は巧みだ。月明かりでの影も落ちている。「夜の風景」ではそれを得意とする広重。広重は線遠近法が北斎より自然だ。あと洋風画を得意とする国芳もいる。「シルエット」では、障子に映る影を扱ったもの。「閃光」はピカッと光る演出を、光の筋で表す。「新時代」では清親の光線画、この中で「池の端花火」というのは、先週見たホイッズラーの「ノクターン」を彷彿とさせるね。どっちも花火が落ちてくところだよな。小林安治の夜景、小倉柳村っていう初めて聞いた人。

こうして並々ならぬ技法と絵師と一緒に並んでいても、なお応為の「吉原格子先之図」が光るってのは驚きだ。まあ肉筆ってのもあるが、それにしても夜を描く光の絵は見事だぞ。
http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/H2602-katsushikaoi.html

|

« シャヴァンヌ展(Bunkamuraザ・ミュージアム) | トップページ | ハイレッド・センター:「直接行動」の軌跡展(松濤美術館) »