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2014年3月12日 (水)

アンディ・ウォーホル展(森美術館)

アンディ・ウォーホル美術館から大量に持ってきたもので構成され、写真も山ほどあり、本人のコレクションもあり、出品リストをもらったが、あまりの文字の小ささに、もはやローガン初級には一文字も読むことができない。いつもやってる出品リストにメモるのはあきらめた次第である。
ウォーホルはだいぶ見たしなあ……とはいえこれまでになく大規模みたいだし、入口に見たこともなウォーホルデザインのBMWの車があってな、なんか期待しちゃうわけよ。

最初は自画像が並んでいたが、あとは年代順。やはり美術館で鑑賞するとなると、いかにもポップアートみたいなものより、初期のデザイナー時代の作品の方が似合うな。「ブロッテドライン」という、転写してわざと滲ませた描線の作品群。特に屏風なんて大型のものは初めて見たぞ。あと「足とキャンベルスープ」という黒い線描写だけのものは、カラーのキャンベルスープを見慣れている目には新鮮だ。

それからおなじみのポップアート群。「死と惨事」という一連の作品に目を付けた展示はポイント高いね。ウォーホルをおしゃれなポップアートだと思ったら実は違うぞ。死をめぐる事項(死者や電気椅子)さえも量産メディア的に切り出せることを示した、実にクールで冷徹な作品群だ。有名なマリリンもその一つ。「病院」や「電気椅子」。うむ、これがウォーホルだ(というと本人はそんなものはないというかもしれんが)。しかしある意味、キレがいい作品はこのあたりまで。ウォーホルは量産メディアの海に埋没するが、展示はそれについていかず、あくまで「アンディ・ウォーホルさんの展覧会」をやろうとする。え? それは何かって?

「銀の雲」っていう有名な、銀色でフワフワ漂うヘリウム風船があってな。その部屋があるんよ。でも風船に触っちゃいかんのね。説明を見ると、当時の本物を持ってきたみたいだね。そりゃ触っちゃまずいよな。でも、これ再現してポンポン弾いて遊べるようにした方がよくね? 少なくともウォーホルが生きてたらそっちを選ぶと思う。
もう一つ、シルバーファクトリーの一部を再現ってのがある。当時、ビリー・ネームが撮った写真を基にしてデジタルハリウッド大学(だっけ?)で作製したそうな。うむ、なかなかの力作……なんだけど、壁が銀紙だったはずなのに、当時の写真での再現だから灰色なわけよ。でもここは「当時の写真を利用」という価値よりも、本来の銀色で埋め尽くす方がクレイジーでよかったんじゃね? 灰色じゃグレーファクトリーだ。どうもこういう点が「ウォーホルらしくない」感じがする。つまりね、「かつて生きてたウォーホルさんの展覧会」なんだ。いわゆるコレジャナイ感。

セレブの注文肖像画は、単にウォーホル印が付いているだけ。もちろんそれがウォーホルだが、誰を描いたのか以外に大した魅力はない。絶滅動物も収益を寄付したぐらいでまあ同じ。しかし、ふと鉛筆画があったりする。これが意外といい。ミッキーやドナルド、ボッティチェルリのビーナスとかの写しなんだが。ここにだけ生身のウォーホルが顔を出す感じだ。それからバスキアとのコラボがある。あと、ウォーホルが出たTDKのビデオCMがリピート中。これが映像コーナーのすぐそばにあるもんで、映像を見ていると、このCM音声を何度も何度も聞くことになる。ある意味ウォーホルらしいが、ウザい。
終盤にもキャンベルスープなどカラー作品が並んでて、これがまあオリジナルなんだな。しかし大量生産と大量消費に乗ってアートで遊ぶウォーホル作品は、悲しいことにオリジナルだから凄い、という印象がまず無いのね。そりゃそうさ。ウォーホルだもん。

映画の部屋がある。大きな部屋で同時並行上映。好きなのを見てくれ。おなじみ「エンパイア」などもが流れているぞ。あとは本人のコレクション「タイムカプセル」と称して何でもかんでも保存。日本に来た時に買った浮世絵(パチモンというか観光土産)もあるぞ。

それから大きな売店。ある意味、ここが一番ウォーホルらしいな。でもみんな高え。キャンベルスープ缶マグカップがあるぜ。三千なんぼで。自慢じゃないが(自慢だが)、スーパーのキャンベルスープのキャンペーンでもらったキャンベルスープのマグカップ持ってるぜ(使ってる)。見かけはほぼ同じだぞ。

何点かは納得しがたいが、でもまあ質量ともに十分といえる。よく集合させたもんだ。
http://www.mori.art.museum/contents/andy_warhol/

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