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2014年3月31日 (月)

イメージの力(国立新美術館)

国立民族学博物館のコレクション……なんだけど、その存在を初めて知った。大阪にあるんだって。世界各国の、お面やら、神像、精霊像からトーテムポールから棺桶、玩具などなど、何かをイメージして作られた実用物が集結。そもそもあ美術なんてそういうところから生まれたわけなので、アウトサイダー・アートとはまた違うプリミティブ(原初的な)衝動に満ちたアール・ブリュット(生の芸術)に山ほど会えるというわけだ。面白くないわけがないだろう。

最初にパプアニューギニアの神像付き椅子が出迎える。デカい顔の造形だ。次の間で各国のお面がずらっと並び、横には獅子やらナマハゲやら、要は着ぐるみだ。次の間で、人型の造形つまり神像、精霊像が並んでいて、その「何かある」感が凄い。アボリジニの精霊「ミミ」の彫像の奇妙さ、ホノルルの戦闘の神は戦う気にさせられる。釘がびっしり刺さったコンゴの呪術用の人形の凄味はどうだ。インド、コルカタの派手目な女神像。それにしても、どれもつくづく「実用品だなあ」と思わせる「何か」を持っている。

次に時間の表現だけど、ここで曼荼羅などの絵が登場する。アボリジニの樹皮画を見ると、アウトサイダー・アートにテイストが似ている。いずれもプリミティブなベクトルのアート表現に違いない。ペルーの箱型祭壇のゴチャゴチャ感がイカす。

次の間は衣装とかだけど、さすがにこれは展示ではなく、人が着て動いている方がいい。見たいねえ早変わりお面使ったところ。それから「高みにつながる」ということで高い天井を生かして、トーテムポールなどをいくつも並べている。カナダの集会所のトーテムポールなんて、持ってきちゃったんかいこれを。

それから小物がいくつもあって、「イメージの翻訳」というコーナー。ここで「なんじゃこりゃ」みたいなのが連発。中でも仰天したのがガーナの棺桶である。ベンツや飛行機やイカ、各故人の生前の仕事などを偲んで作るらしいが、ビックリものである。メキシコの木彫の龍は、ヘンリー・ダーガーのブレンゲンを思い起こさせる。ここで反戦のため、使用済みの武器で作った自転車が紹介される。いい話だなあ。でも同時に出ていた武器でできた椅子は、なんか軍神の座る椅子みたいで、あまり反戦気分にはならないな。それからベトナムで売られている空き缶で作った玩具。面白い。中には「一番搾り」の缶とかもあるぞ。

最後の部屋に、エピローグとして、民族の実用品を現代美術のインスタレーションっぽく展示した空間がある。これは現代美術を見慣れていればいるほど、その違和感のなさに驚くはずだ。マダガスカルのはしごがミニマルアートのように見えたり、トルコの脱穀機の、石をたくさん埋め込んで作る歯などは一種のアート的表現として読み替えができる。

プリミティブなものはある種の力強さを持っているので、私はなかなか好きである。してみると、なぜ私が村上隆に魅力を感じないのかが分かる。村上のは西洋美術文脈に組み入れるためのプレゼンテーションとしての作品であるため、プリミティブとは対極にある。どんなに凄いと言われても、そこには力強さが無い。私がよく分からないマティスやロスコも、そうなのかもしれない。プリミティブではない産物なのだ。ところで、私の言う「プリミティブ」は多分一般的な美術用語のそれとは違うように思う。私は写実画もプリミティブだと思う。なぜなら「本物そっくりに描きたい」というのも原初的衝動だからだ。

あーそれから、展示物にその場の解説は無いよ。あくまでイメージで勝負だ。この点もポイント高いね。知りたければデジタルビューアのコーナーがあって、そこに丁寧な解説がある。
まあとにかく、行ってみてほしい。得るものはきっとあるだろう。
http://www.nact.jp/exhibition_special/2013/power_of_images/

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