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2014年5月24日 (土)

「バルテュス展」再訪(東京都美術館)

日本橋近くのセミナーに出ていて、夕方終わる。ブリヂストンでも行くかと思ったが、イマイチ気分が乗らない。金券屋でバルテュス展が1000円だった。なんとなくまた行こうかなと思っていたが、よし、また行くかとなった。金曜は8時までやってるのだ。
私はめったなことでは再訪などしない。去年のターナーも一昨年の中村正義も、ブログで絶賛したけど再訪はしなかった。だからバルテュスは「よっぽど」なのだ。これは大変なことですぞ諸君。

最初の時はそんなにちゃんと見ていなかった初期の「ミツ」、2度目はちゃんと見た。でも、そう目新しくはない。「オデオン広場」「リュクサンブール公園」など、初期でもバルテュス風が感じられれるもの。これもまあ、前と同様。「『嵐が丘』の挿絵」これは2度目でもついじっくり見てしまう。バルテュスの原点みたいで、モノクロが明確な印象で色褪せない。「猫たちの王」猫をかしずかせた自画像。そうかこんな足が長かったのね。「キャシーの化粧」と「鏡の中のアリス」ううむ……しかしこの、身体の「普通でない感」はなんだろうな。乳房がヘンな方を向いてるとか、ふくらはぎがなんか太いとか、ちょっとしたことだが、それがただの光景ではないように見せている、ような。「夢見るテレーズ」は何か新発見があるかと思ったが特に無かった(パンツばかり見ていたわけではない)。「おやつの時間」何気ない静物だけど、少し遠目で見ると、かなり描画がリアルだと分かる。「猫と少女」少女ばっかり目を向けてねえで、猫の顔だよ。うむ、なんか見たことあるんだよねこの顔。なんだっけ? そして「美しい日々」そう、これがあるからまた来たようなものだ。やっぱ最高傑作だな(「山」の方が凄かったかもしれんが)。少女も素晴らしいが右の炎だな……って前も書いたが、そこに男がおるのね。ナニしてるのかな? 火に薪をくべてる? いやぁ、火箸が横に置いたままですぜ。これは火傷も恐れず火に手をツッコもうとしてるのだ。つまり娘に手ぇ出そうとしとるんよ。だってロリコンだもん……って私は解釈した。この絵持ってるのワシントンだっけ。ここで見なきゃもう見れないよなぁ。

上の階言行って、前はスルーした3分ほどのビデオを見る。光にうるさいナイスな爺ちゃんのバルテュス。アトリエ再現はまた適当に見ちゃった。展示に戻って、やはり油彩が印象に残る。特に「決して来ない時」と「猫と裸婦」ソファの上の猫を愛撫するにゃあちと不自然な姿勢なんだけど、要するにそういう姿勢をさせるために猫を配置したと……いやいやボクそんな合理的な理由じゃないと思うな。だってなぜか窓際に人が立っているんだもん。さてさて、パリから離れシャシーに住むようになって後半。マチエールの達人と化していく。前回はちょっとスルー気味だった「樹のある大きな風景」もちゃんと見る。おお、ちゃんとあのマチエールになっている。そういう意味では「横顔のコレット」も「目覚め(1)」もマチエールが見事なんだけど、どうもこのなあ「顔が溶けてる感じ」が気に入らんっちゃ。バルテュスにとっては顔なぞどうでもいいポイントだったのかもしれないが、やっぱねえ……

さらに上の階。前回もなかなか良かったと書いてた「読書するカティア」に思い切り見入ってしまう。この絵……マジすげえわ。この壁のマチエールだけで、そこらの抽象画家が裸足で逃げ出すようなレベルだが、そこに少女がいて、なんか柔らかい光に照らされる足が妙に艶めかしいんよ。こんな二つの傑出した要素が同居している絵は見たことが無い。通常、一方をやればもう一方はやらない、という要素でもあり、嫌が上でも「相反するものの一致」という錬金術の言葉が思い出される。マチエールの印象と少女の印象が同時に心にねじ込まれてくる魔力的絵画。潜在意識がざわめいてるぜ(ってそれじゃ潜在じゃねえよ)。それから「モンテカルヴェッロの風景(Ⅱ)」絵はともかく……これってさっきのビデオでバルテュスに「ライトを消せ! 色が台無しだ!」って言われてたやつじゃん。思い切りライトで照らして展示してるじゃん。これバルテュスが生きてて展示会場見たら文句言うんじゃね? って節子様がよければいいのかな。てなこと考えると「トランプ遊びをする人々」もやっぱりなあ。これも多分バルテュスは外光だけで描いてたのかなあ。何かが違う感じがする。

ってなわけで二度目でも十分エンジョイしたのさ。
以下は一度目。
http://kinokawa.cocolog-nifty.com/kin/2014/04/post-506c.html
サイトは
http://balthus2014.jp/

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2014年5月11日 (日)

超絶技巧 明治工芸の粋(三井記念美術館)

超絶技巧ってぐらいの、明治時代の工芸のバカテクを堪能できる。細密なものがあるのはもちろん、本物そっくりなんてのもある。細かいことは考えずに驚ける企画だぞ。ただ、ケース越しで顔を寄せられないものも多いもんで、ガラスにゴンしている客もしばしば見受けられる。単眼鏡とか持ってたら持参することをおすすめ。

まあ工芸は私はあんまり見ないもんで、適当に紹介。最初の展示室はベスト版みたいなもの。七宝の細かいのもあるが、私の好みは象牙彫りの自在海老。自在ってのは関節が動いて自由に形を変えられるもの。超リアルで、魚介の市場に置いてあっても何も分からない。あと金属の自在海老もあったぞ。漆もそんなに好みではないが、「渦文」という超細かいぐるぐる模様はすげえ。作っていると気が狂ってくるんじゃないかと思うぐらいじゃ。「薩摩」という薩摩の焼き物も1点。茶碗なんだけど中に細かいぶつぶつがある。で、これが全部チョウチョなんだって。ぶつぶつにしか見えないのだが。これルーペがあるよ。それから奥に象牙と木で作ったタケノコ。なかなかデカい。タケノコだよこれ。それから次の間に刺繍絵画。細かい。うーんしかし、これは最近のコンピュータ連動の機械でもできそうな感じなので、視覚的に新鮮かというとそうでもない。もちろん手で作っているんだから驚きなことではあるのだが。

次の部屋に七宝がずらっと。細かくてきれいだ。小さい花瓶は花瓶のミニチュアに見えますな。ウィスキーのミニボトルみたいな。それから金工。金属製でいいのはやっぱり昆虫ですな。大きさもそっくり同じコオロギや鈴虫がいるぞ。本物をとっつかまえて金属化させたみたい。そしてその部屋の中央に、安藤緑山の牙彫・木彫の野菜や果物。これがまあすげえ。ナスだ、トウモロコシだ、パイナップルなんかそのままだ。みかんもそっくり。皮がむいてあって、その中の青カビまであるぞ……ってそれ青カビなのか? みかんの青カビは外側だろうからむいた中に表現されているのは何だ? まあとにかく、そこらの八百屋で買ったものがそのまま置いてあってもおかしくないリアルさ。

それから自在がいっぱい。やっぱ蛇だよな。でも昆虫も捨てがたい。自在の紹介ビデオで動きを確認できる。牙彫りはカニがいいですな。えーそれから刀装具。これも細かい装飾だけどイマイチ興味が湧かない。こないだBunakmuraで見たヨーロッパの武具も装飾的だったけど、やっぱ武具は武具らしく、装飾的ではなく無骨で実用的であるべきだと思っちゃうもんでね。印籠もあるが、この辺でなんかもう疲れちゃった。次の部屋で漆工。これも渦文のがいい。最後が薩摩。輸出品として大ウケだったそうで、なんかもう限界まで細かい意匠という感じだね。

売店になぜか山口晃グッズ(掛け軸)があり、それが馬バイクとかで、そこだけ妙でなんじゃと思ったけど、チラシに山口晃がコメントマンガ描いてるのね。
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html

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2014年5月 5日 (月)

松林桂月展(練馬区立美術館)

水墨らしいがボク水墨よく分からないのだ。でも練馬ならきっとやってくれる。そしてやっぱり、うむ、いいね。松林桂月は近代日本画の巨匠なんだぞ。
「桃花双鶏」なんてうみゃい鶏を19歳で描いてる。「怒濤健鵰」は目つきも鋭い猛禽類と岩と波とでかっこよくキマった絵だ。水墨の山水画があって、なんかほら山が重なって上の方に伸びてく手法……あったよな、あれだ。奥さんがまた日本画家の雪貞って人なんだけど、その人の作品も出ていて、これがまたいい。「雁来紅朝顔」の紅色の花や、「長春花」の桃色のバラ(だよな)。とにかく紅色づかいが見事だ。師匠の野口幽谷の作品もあったが、桂月と比べるとちょっと大味な感じがした。

上の階に行って水墨山水画が並ぶが……ううむ、なんとなく凄いのがあるってのは分かるのだが、どうも水墨鑑賞センスが無いのでエキサイトできない。しかし「葡萄栗鼠」の琳派的な感じはなかなかいい。あと「威振八荒」(同じタイトルが他にもあるな。だいたい何て読むのか分からないのだが)という作品で、猛禽類が飛んでるところがある。これはいいぞ。飛んでる、が、その一瞬なので「動にして静」みたいな感じだ。あとポスターになっている目玉「春宵花影」。月に照らされた花咲く木をが逆光で描いた傑作。これは「光」を感じるぞ。やや遠目がいいな。「松園」はカラー作品……うーん、色つきはイマイチな感じかな。水墨のがいいな。

次の部屋の「長門峡」はうんと遠目だと結構リアルだよ。「雨後」も光を感じる作品だ。

ありがたいことに、出品リストがA3で字が大きいのだ。こいつぁもうローガンになっちゃった俺にゃあありがたい。何しろA4でゴマ粒みたいな字の出品リストが珍しくないもんでな。ありゃあ会場が薄暗いともう字が読めないんよ。でも今度は漢字が読めないの……というか読み方が分からないの。
http://www.city.nerima.tokyo.jp/manabu/bunka/museum/tenrankai/matubayasi14.html

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2014年5月 3日 (土)

ポルディ・ペッツォーリ美術館(Bunkamuraザ・ミュージアム)

ルネッサーンス♪ どうも、貴族のお美術鑑賞です。というようにあの「髭男爵」のワイングラス片手の貴族スタイルで見るにふさわしい企画でございます。嘘です。ジャン・ジャコモって貴族の邸宅がお美術館になっているのです。なに髭男爵スタイルなどおかしいと? なぁに最初のジャン・ジャコモの肖像の、当時流行の箒状の長い髭を見れば、アホっぽいからあんまり変わらんわーい(ワイングラスで乾杯)。最初は甲冑のコレクションで、よく見ると盾の表面とか凄い装飾なのね。そんなのに手間かけるより、もっと武器として強くした方がええやないかーい(乾杯)。貴族は戦わんわーい(乾杯)。

宗教画いろいろ(何たらコレクションとか書いてあるが書き写すのが面倒だ)。いやんキリストさん、鞭の痕が痛そうよ。ついでに頭の茨の冠も痛そうだわ。それからタペストリーの大きいのがあり、騎士道精神がテーマみたいなんだけど、ごちゃごちゃしてて何描いてあるのか分からんわーい(乾杯)。もっとちゃんと見たらええやないかーい(乾杯)。だって大きいんだもん……そんなことじゃダメぢゃないかーい(乾杯)。あーなんかタペストリーってデカい油彩と違ってイマイチ鑑賞のテンションが上がらんの。なぜだ? マチエールが一定だからか? 部屋を飾っていた2枚の絵画。「アルテミジア」と「アレクサンドリアの聖カタリナ」はなかなかいい。「アルテミジア」は10等身ぐらいの美女で、解説の通り優美だ。優美極まりない。これ描いたの無名の画家なのね。当時のイタリアじゃそこらの画家でもこんなレベルなのか。「カタリナ」はルネサンス顔の女で、車輪が描いてあるが車輪で八つ裂きの刑にされそうになったが神様が助けてくれたとか何とか解説にある。でもこういう逸話って実際は八つ裂きになれたんじゃねーかと思ってワクワク。ワクワクしとるんかーい(乾杯)。

次の間に目玉の横顔美女「貴婦人の肖像」。宗教画の中にあって清涼剤みたいな感じだね。ビーフ・ストロガノフじゃなかったザノービ・ストロッツィって人の「謙譲の聖母と二人の奏楽の天使」は、天使が小さいもんで、聖母と赤子が巨人に見える。ここで巨匠ボッティチェルリがいます。「死せるキリストへの哀悼」結構……いい。でもこれ誰が死んどるんかーい(乾杯)。横たわってるキリストに決まっとるわーい(乾杯)。周りの人も死んで見えるわーい(乾杯……ってもうこの書き方嫌になってきた。普通に書こう)。

次のコーナーにクラナッハが出てるみたいなので期待。でも宗教画のちっこいのだし、例の洋梨型美女ではなかったので、そんなクラナッハは用無しじゃーい(乾杯……ってもうやめろよ)。無名の画家の「聖母子」の子がオヤジ顔というようなツッコミを経て、当時のお宝時計が並んでいます。豪華です。レプリカでいいから動いていてほしい。だってメカなんですもの。「フランチェスコ会派聖人達が描かれた宗教行列用十字架」って、思い切り宗教グッズで、こうなると美術館に飾っておくと気分出ないな。やっぱ教会にないと。あとはビデオがあって、肖像画が並んでいて、ガラスの宗教グッズが並んでいて「十字架」の青色ガラスがなかなかきれいで。鉛筆画みたいなのが並んでいて、なんか立体的に見えるのがあって、目がおかしくなったのかと思ったら、これは立体的に作ってあった「洞窟を表した舞台」。そうか舞台の下絵か。

点数が少ないのかスペースに余裕たっぷりな感じ。ルネサンスとかあの辺が好きなら行っていい。
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/14_pezzoli/index.html

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