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2014年9月13日 (土)

進化するだまし絵(Bunkamuraザ・ミュージアム)

勤め先から近いもんで、週末の仕事帰りに行こうと思ってたが、忙しくて一向に早く帰れず、やっと行けた次第である。
各地の観光地で「なんでどこに行ってもそれがあるんだよ!」というのに「テディベアミュージアム」と「エミール・ガレ、ガラス美術館」があるんだけどさ、最近そこに「トリックアートミュージアム」が加わったんよ。そりゃーまーパネルいくつかと解説員何人かを置いときゃあ大人1200円、子供700円ぐらいは取れるよなあ。かく言ううちも熱海でお世話になりましてん。だって子連れで秘宝館にゃ入れないし、文化財見せても退屈するし、トリックアートならまあ写真撮って親子で盛り上がれますわな。で、まあ今回のこの企画はやっぱり本物の美術館のじゃけん、モノはなかなかイイし楽しめるぞ。写真は撮れん。

最初は古典の「トロンブ・ルイユ」なんかのコーナー。棚の絵とか、物が引っかけてあるように見える絵とか。デューラーの「アイリスの聖母」という絵があって、どこがだまし絵なのかというと、絵の表面に蝿がとまっているように見えるとか見えないとかなんだけど、なんかどうでもいいや。おなじみアルチンボルドが2点。でもそれよりその前の作者が分からない「風景/顔」の方が面白かった。風景が顔になってんだぜ。

それから一気に現代へ。チャック・クロースって人の指紋で描いた絵とか、杉本博司の写真があってなんでこれがだまし絵と思ったらジオラマ(だよな。動物とかいるの)を白黒で撮って本物っぽく見せてんだって。ヴィック・ムニーズって人の「『裏面』シリーズ、星月夜」。これ、有名なゴッホの星月夜の絵の裏側を忠実に再現したんだって。木枠とか、そこに貼ってあるシールとか。へー、面白いなー……なんか表を見ちゃいかんと言われてるみたいでちょっと虚しいけどな。福田美蘭。「婦人像」これ、眼が動くぞ。愉快だぞ。もっと静かに動いてくれたらいいと思うんだが、まあ、あえて音出してるんだろうなあ。あとは明らかにディズニーの何かなんだけど、肝心なものは写っていないというもの。著作権に引っかからないラインで。福田美蘭ってすごく冴えてる人だと思うし好きなんだが、何かほとんどの作品が元ネタの加工なので、オリジナル至上の価値観を持つオレにはちょっと肌が合わないところもある。

次の影とかイメージのコーナー。美蘭の父である福田繁雄「アンダーグランド・ピアノ」やっぱおもしれえ。とてもピアノにゃ見えない置物があるが鏡の向こうにピアノがあるじょ。ミケランジェロ何たらって人の、鏡を見たらカメラマンに撮られてるみたいってのもなかなか。ラリー・ケイガンの、オブジェに当てる光により、蜘蛛やトカゲのシルエットを映すヤツ、いいね。マルコ・パニョーリのこれも影ものなんだが……あーもう説明がめんどくせえや。ダニエル・ローズの「木の鏡」がハイテクにしてナチュラルなので面白い。カメラで撮った濃淡を縦横に並んだ木の板の傾きを変えることで表現、あたかも木の板の鏡があるような不思議な感じのする作品だ……って説明が難しいな。

オブ・イリュージョンとかいうコーナー。例のキネティックアートみたいなヤツ。パトリック・ヒューズ「広重とヒューズ」これ、おなじみトリックアートミュージアムによく出てくる手法の。自分が動くと絵も動いて見える。初めて見る人には相当のインパクトがあるヤツ。遠近と凹凸の目の錯覚を利用しているのさ。「生き写し」も凹凸と目の錯覚を利用した秀作。しかしここではアニッシュ・カプーアの「白い闇IX」というのが、何とも言えない意外とヘンな気分になる。単に白くて丸い窪みみたいなんだけどね。

アナモルフォーシスとかのコーナー。ルネ・マグリットがあるぞ「白紙委任状」という森で馬に乗ってるのがきれいな傑作だが……うん、なんか「光の帝国」を見たくなったな。あれぞマグリットの至高だ。ダリがある。おなじみダブルイメージもの。そうか人の顔だけでなく犬もいたのね。ハルスマンの「官能的な死」ダリの女体が集まってドクロってのを写真でやった力作……なんだけど、裸のモデル達と4時間も苦闘した割にはなんかイマイチじゃね? エッシャーがある。お約束で。レアンドロ・エルリッヒのインスタレーション「ログ・キャビン」窓の外の雪景色と外から見た中の暖炉とかの映像が裏表になっていて、窓と壁を丸太で組んである。やや大がかりながら……これもイマイチだなあ。トニー。アウスラー「ピンク」出たぁ! 名前は忘れてたけど、この手法は忘れん。立体人形みたいなのに顔を映してしゃべってるヤツ。キメエよキメエ。オレが子供なら泣いちゃう。エヴァン・ペニー「引き延ばされた女 #2」文字通り、立てに引き延ばされた女の上半身のリアルな立体。これ、チラシにもあって「ふーん」って感じだったが、実物を見るとものすごく奇妙な、なんか自分の目がおかしくなったような、そこの空間が歪んでいるような妙な気分になる。ある意味これが一番インパクトがあった。

売店にも騙しグッズがいろいろあって面白いよ。
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/14_deception/index.html

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