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2014年9月 1日 (月)

ボストン美術館 華麗なるジャポニズム展(世田谷美術館)

今回は特別展なので用賀駅から百円バスが出ている(いつもやってほしい)。もちろん乗ったのだが、それにしてもこの辺の街は、通りがきれいに縦横に並んでいて、ド山の手の畑道まんまのウネウネ道に慣れている身としては奇妙な感じがしてくる。

開館ほぼ同時に行ったら結構混んでるのね。夏の企画があちこちで終わってるからなあ。残るはここと文化村ぐらいか。入って最初のホールに例の「ラ・ジャポネーズ」がドカーンとあるのかと思ったらそうではなくて、広重の浮世絵版画だった。人が鈴なりだったけど、見たところ初摺りじゃなさそうだなHAHAHA。有名な「大はしあたけの夕立」の橋にグラデーションかかってないだろ。浮世絵見たけりゃ浮世絵展に行った方がいいってんで適当にスルーじゃ。でもその部屋にあったブシュロン社の「インクスタンド」というケッタイな造形物は目を惹くものがある。なんちゅーかヘンテコジャパンみたいな込み入った置物。まあいいや。それからやっと外人が日本を描いた絵いろいろ。同じ傾向の浮世絵と並べて展示されているんで、その影響が分かりやすい。ルイ・デュムーランの「京都の鯉のぼり、端午の節句」とか写真を基にしてて普通に面白い。「女性」のコーナーがあって、美人画でよくある、物思いに耽る女性、とそれをモチーフにした絵。アルフレッド・ステヴァンス「瞑想」うむこれ、当時にあってなかなか萌え系じゃね。浮世絵界のグフ(←ってまだ言ってやがる)であるところの磯田湖龍斎が遊女とその連れの小娘を描いているが、小娘が大人の縮小コピーなもんで、なんちゅーか子供に見えん。子供は頭デカいんよ。ルノワールの「花飾りのある帽子」はリトグラフだがなかなかいい。一人がもう一人に花を付けてあげてるようなとこなんだが、女の子同士でヒソヒソやってる感に萌えルノワール。もっとも「あのオトコサイテーね」とか、そういうヒソヒソはやめていただきたい。えー次、歌麿の母子像「たらい遊」と並べてメアリー・スティーブンソン「湯浴み」ほほう、どっちも母親と赤ちゃんだがよろしいですな。確かにこういう母子像って、洋画じゃあんまし見ないような。ゴッホが一枚「子守歌、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン婦人」背景が装飾的とは言うが、んーまあまあかな。ゴッホは浮世絵に憧れてはいたが、結局は浮世絵のあの雰囲気は描けず、独自路線になった、と思う次第である。

それからいよいよ次の部屋に目玉のモネの「ラ・ジャポネーズ」着物着て扇子持って振り向くパリのねーちゃん(パリジェンヌ)だぜ……結構でけえ絵だな。着物の柄であるところの武者絵の凹凸感が見事ね。それにしても、なんか着物っちゅーか、裾が厚ぼったい感じなもんで、ほらあのなんだっけ布団に袖の付いたヤツ、あれに見えるんよ。

さて次は「シティライフ」のコーナー。ここではジョン・エドガ・プラットの「ジャイアント・スライド」があまりに「浮世絵版画」なので嬉しい。そりゃ木版画ってこともあるけれど、なによりその躍動感とアクション。そうさ自然とか女性だけがジャポニズムじゃないんだぞっと。あと「最後の浮世絵師」楊洲周延の版画が出ているから忘れないでくれ。これで終わりかと思ったら、今回はまだ2階があるのだった。

2階「自然」のコーナーから。チャールズ・キャリル・コールマン「つつじと林檎の花のある静物」まあその、鉢植えの木で、リアルなんだけど……しかしこういうのを見ると「琳派ってすげーな」と思ったりする。名高い琳派の緒作品は、ここで「ジャポニズムに影響を与えた」と言われるあらゆる作品よりも高度な描写と装飾性を持っていると思う。従って、いかに当時のあちらの有名画家達が「ジャポニズム」ってガンバっても、琳派芸術を見てきた目からすると、何か不足気味なのさ。ポール=エリー・ランソンの「密林の虎」も、テオドルス・ファン・ホイテマの「三曲刺繍衝立」もコレジャナイ感満載じゃい。でもベンソンの「早朝」の鳥はいいね。それからアンソールの「貝殻のある静物」。うーんいいねぇこの妖しい色。この辺まで来ると疲れちゃって見落としがちなんだけど、これ見落とすなよ。アンソールの油彩はあんまり来ないんだぞ。

最後は「風景」のコーナー。浮世絵なんぞの影響を受けたので有名なホイッスラーなど。あと北斎の波の影響を受けた、ヤコビュス・ヘラルデュス・フェルデールの「波」……って、あんましうまくないな。いや、いかに北斎の描写がスゲエかってものになっておる。北斎の波に対抗できるのはクールベさんの波ぐらいだが、今回出てないや。まあジャポニズムじゃなくてリアリズムだもんな。それから画面を樹木などで区分けする「格子」という演出の影響でムンクの「夏の夜の夢(声)」んんんんジャポニズムかどうかよりも、この絵そのものがヤベエぜっ。月の光が下にびろーんと伸びた超現実感といい、女の顔がはっきりしないところといい。ムンクの不安で不気味な感じが冴えている。それからピサロの雪景色とか、あとモネの「積わら(日没)」おお、これまで浮世絵の影響なのか。

普段常設展示をやっている2階まで会場でスペースに余裕があるせいか、売店スペースが大きい。グッズいっぱい。
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html

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