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2014年9月27日 (土)

チューリヒ美術館展(国立新美術館)

オルセーもまだやってる中、1600円という強気価格。チラシも豪華で巨匠の大作がドッカンドッカン来てるのかと思ったら……うーん、なんか微妙だ。

作家あるいはテーマ別のエリアになっていて、習作や素描がないのが売り……なんだけど、これいったい誰に対しての売りなんだ? いや、習作で水増しすんじゃねーよとか思ってるオレにはその方がいいんだけどね、ドシロートはそれがないというのが何なのかが分からず、クロートは習作や素描こそが画家の真価を堪能できるもんと思ったりしてんだから、それがないのを売りにするなんてアヒャヒャヒャって感じか。まあいいや。最初はセガンティーニ。スイスの美術館だからスイスの画家でスタートだ。そおっ、あのっ、損保ジャパンこと現ジャパン日本で見たヤツだな。新印象主義とはひと味違う細かい描線の集積には好感が持てる。2点出てるが、いずれも象徴主義的主題でいいな。もっと評価されていい。次はモネ。また積み藁があるよ。いくつ描いてんだ。「睡蓮の池、夕暮れ」また睡蓮の池かよ……と思ったら夕暮れ色。しかもデカい。しかも何描いてるんだかよく分からないので、抽象画の域に突っ込んでいる。「国会議事堂、日没」ぼんやり建物。もう飽きた。でもこれの夕日はなかなかいいな。次、ポスト印象派。ゴッホ「タチアオイ」……ゴッホらしくない普通の絵だな。「サント=マリーの白い小屋」ゴッホらしいが小さい。セザンヌ「サント=ヴィクトワール山」例の画題。例のラフさ加減。アンリ・ルソー「X氏の肖像」ポスターにもなってるが……これも小さいのう。というか余裕を持って展示してあるので、ことさら小さく見えるのか。次はホドラーの部屋。デカい「真実、第二ヴァージョン」がいきなり目に入る。これは……いいね。象徴派好きにはナイスな感じで。全体のシンメトリーっぷり。中心の全裸女性の姿が、ゴーギャンのあれであり、デルヴォーの「ポンペイ」の女性であり、要するに神秘的なヤツである。「遠方からの歌」もなかなかいい。顔がオトコマエで。いや女性なんだけどね。風景画はまあまあ。ホドラーもスイス。ホドラー展が西美であるので楽しみなのだ。次はナビ派のコーナー。ボナール……うん。おお、近頃流行りのヴァロットンだ。この人面白いね。クールなデザインっぽい絵画と、お尻を中心としたボリューム感あふれる絵画に分かれる(ヤツは尻フェチなんだぞ)。「訪問」「日没、ヴィレルヴィル」は前者。「トランプで一人遊びをする裸婦」「アルプス高地、氷河、冠雪の峰々」は後者だ。風景なのにお尻を感じさせるな。ムンクのコーナー……4つ出ているが、イイのは最初の「冬の夜」だけだなあ。寒々した中に狂気がぼんやりみたいな。肖像画2つは別にヘタではないが、なんかそつなく仕事しやがって、という感じ。表現主義……ううむ、ベックマン。なんか初めて見るがルオーっぽくあるな。

えー次ね。オスカー・ココシュカ。ここが一番印象に残った。なんつーか「ヤバい」。「プットーとウサギのいる静物画」この赤ちゃんみたいなのは何だ? 「恋人と猫」んんんんなんちゅーか全身にデカい蛆が這ってるような感じじゃね? 「アデル・アステアの肖像」目がヤバい。マッドなヤツの目をしている。へー、ココシュカってこんな愉快な絵を描いてたんだな。しかし最も驚いたのは「モンタナの風景」なんだな。この風景画……キタナイ。思うに、ありのままを描いた結果汚くなったわけでもない。これはなんか、汚いのが好きなヤツが描いた汚さなんだな。あのほら、汚い絵が好きな人がいてさ、それは真実が汚さの中に表現されているからだという主張をするんだが、逆は真ではなくて、実は真実もなにもない汚さも汚いが故に愛してしまう。そんな感じの絵だ。ふむふむ、と思いつつ解説を見ると「粗く軽妙な」とか形容してある。軽妙? 軽妙なのかこれが? 次、フォーヴィズムとか。ヴラマンク「シャトゥーの船遊び」悪くはないが、もっとイイのがあるのよ。オレはヴラマンクが好きだ。もっと評価されていいんだこの人は。マティス「マルゴ」ほほう、珍しく普通にカワイイ系ではないか。ブラックとピカソ。デカいけど定番。次はクレーのコーナー小ぶりなのが4つほど並んでいる。つかみどころのないクレーの作風。抽象絵画のコーナー、カンディンスキー、レジェ、モンドリアン、ジャコメッティ。いずれもサイズもぼちぼちなもので極めて手堅く展示。「らしい」のが並んでいるがそれだけに意外性がない。シャガールのコーナー。ここはなかなかイイのが並んでいる。「戦争」「パリの上で」など。「婚礼の光」の青い色はなんかシャガールブルーとでも呼びたいですな。次、シュルレアリズムコーナー。キリコとミロあり。エルンスト「都市の全景」これは結構有名な絵だよな。月が光っている感じがいい。ダリ1点は小さいが緻密なので満足できそうだ。マグリット「9月16日」も木を通して三日月が見える名作。最後、ジャコメッティ。彫刻はそんなに興味ないんだが「立つ女」「森」の人物デフォルメっぷりは好きだ。面白い。

有名どころはそれっぽい中~小品を並べて手堅く展示。流れはカバーしてるものの、この画家ならもっとイイのいくつも知ってるぞ、というのが多くて、なんとなく不完全燃焼感がある。何より……1600円は高いよなあ。あと、会場内えれえ寒い。
http://zurich2014-15.jp/

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