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2014年12月27日 (土)

ホイッスラー展(横浜美術館)

いつの間にか、みなとみらいには建物がボコボコ建っていて、これみんな人が入るのかね。大丈夫なのかとか思ったりする。はい、横浜美術館。ホイッスラーといえば、なんか中学か高校かの英語の教科書に出てたんだよなあ。日本の絵の描き方を持ち込んだとかなんとかで。だから、何となく知ってるつもり。

最初は人物画コーナーで、まず自画像から。ほう、レンブラント風か、と思ったが、それ風の帽子かぶってるだけだったりしてな。油彩が2枚ぐらいあってしばらくエッチングが続く(※エッチなことをしてる絵ではない)。それから、おぉ、あのMrビーンの映画で出たヤツがあるじゃんと思ったら、「灰色の黒のアレンジメントNo.2:トーマス・カーライルの肖像」だって。モデルが例の絵を気に入り、同じような角度と色合いにしたらしい。例の絵ってのは有名な「母の肖像」な。なんかこないだ見たよな。で、その隣は「灰色の黒のアレンジメントNo.3:スペイン王フェリペ……」ああもうタイトル長いな。まあラフな描線でうまく描くこと。その隣「黄色と金色のハーモニー:ゴールド・ガールーコニー・ギルクリスト」。ほほぅ、なかなかキャワイイ娘を描くではないか。脚もきれいだじょ。が、しかし……なんか変だな。違和感がある。縄跳びやってるみたいなんだけど、縄跳びやってる感じがしないぞ。ここで直感! ホイッスラーって実は人の動きを描くのが苦手なんじゃね?(鑑賞においてはこうした直感を最重要視すること) いゃあ、まさか。あれだけデッサンもリアリズムもやってるじゃん。それはねーだろ。しかし他の絵を見てみると、うむっ、やっぱ座ってるか立ってるか寝てるかの絵しかないではないか。唯一動いているのがこの娘だけなんだな。うむむ、やっぱり、やっぱり…… まあいいや次行こう。「アナベル・リー」がムンク風なのは気のせいか。「小さな赤い帽子」ほほー、裸体が見える透け衣装だな。あとで分かるが、この手のがいくつかある。あー、もしやホイちゃんは透け衣装好きなんじゃねーの? やっぱ全裸より透け衣装だよなあイッヒッヒ。それからしばらく肖像とか。

風景画のコーナー……なんかあんまおもろない。なぜだ? 解説には俺の好きなクールベさんの名もあったではないか。リアリズムのはずではないか。そうか都市風景なのか。クールベさんは自然界か人物かをリアルに描いてたんだ。だからリアルな深みを感じるのだ。都市風景はなあ……何だかなあ。そんな感じでだらだら進み、いいと思ったのは「肌色と緑色の黄昏:バルパライソ」だ。この霞のような空気感はいいね。

それからコーナーを出ると「ピーコックルーム」の映像部屋がある。どこぞの金持ちのための部屋の内装を依頼されたが、いない間に好き勝手に改装しちゃった。その人とは仲違いをしたが、部屋は壊されずスミソニアンに寄贈となった。部屋の壁は3面の映像で見れるが、見ところである天井の孔雀模様が見れねえだ。天井に映像は映ってねえしな。

さていよいよジャポニズムのコーナー。ここからやっと、我らが知ってるところの浮世絵風エッセンスを入れたホイッスラーになってくる。「リンジー・ハウスから見たバターシー・リーチ」は、なかなか江戸浮世絵の「あの」雰囲気がでているじゃないか。ゴッホよりエッセンス取りがうまいぜ。女性像もあって「白のシンフォニーNo.3」は白い衣装で透け衣装じゃない。そりゃまあ「白の」だもんな。「三人の女性:ピンクと灰色」は透け衣装全開だぜっ!(そこしか見てねーのかよ)。それから浮世絵風エッセンスの風景画で、比較用の実物の浮世絵が並んで出ているあたりから、いよいよホイッスラーの本領発揮だ。「幅広い橋」や「背の高い橋」もいいけど、やっぱし「ノクターン」シリーズ4枚。夜の風景だ。広重の浮世絵や、水墨画のエッセンスを消化吸収してから生み出した、夜の風景画の傑作。特に「ノクターン:ソレント」「青と銀色のノクターン」。青と黒の間の世界、小さく黄色い灯火。全体のこの絶妙な色あいはどうだ。おお見事じゃ。この4枚だけで元は取れる。有名なのは「オールド・バターシー・ブリッジ」だな。橋のふもと。船と人物の影にも注目されたい。

あとはゆかりの品とかで、それはまあどうでもよかった。
http://www.jm-whistler.jp/

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