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2015年3月29日 (日)

「ピカソと20世紀美術」(東京ステーションギャラリー)

北陸新幹線開業記念で、富山県立近代美術館のコレクションから……うむ、何年か前に現地に行ったような気もするが。展示内容は近代美術館の常設展を見てるみたいで、有名画家いろいろのそこそこのものからイケてるものまで、歴史を追って結構いい感じで鑑賞できる。持ってるねえ~

「ピカソと……」っていうぐらいだから、ピカソがなかなか多い。変遷も追える。最初の「座る若い男」が8歳の時の? ……と思ったら18歳か。でもうまいや。いや、だいぶ前に14歳の時のスゲーの見てるし。「貧しき食事」は青の時代の代表作……のエッチング。青くはないが感じは出ている。「ギターのある静物」がキュビズム初級、「帽子の男」がキュビ末期。「肘掛椅子の女」がストレートに新古典主義。「黄色い背景の女」はみんなも知ってる「いかにもピカソ」なヤツ。「座る女」が晩年……というが、この先まだあったはずだ。最晩年のメッタ描きが。ま、それも入れてほしかった。

ピカソ以外では、カンディンスキーの散文詩画集、おお、まだ何を描いているか分かるカンちゃん。ドランの「褐色の裸婦像」は最初キスリングかと思ったら、キスリングほど甘い感じじゃない。ルオーのモノクロで暗く重い版画「ミセレーレ」からいくつか。シャガールの「山羊を抱く男」もこれまたおなじみの甘ったるい感じじゃなく、不気味系。ふふん、富山ちゃんは甘くない系が好きなのか? 

それからダダイズムのコーナー。「ダダは何も意味しない」。マン・レイのおなじみ目のついたメトロノーム「不滅のオブジェ」があるが……何か他でも見てるしいくつも作ったのか? デュシャンの移動ミニ個人美術館「トランクの箱」複製があるぞ。「泉」のミニチュアとかさ。あと、オッペンハイムの「りす」はコップにしっぽが生えてる面白系。

階を下がってシュールレアリズムコーナー。ミロ「パイプを吸う男」これいいな。あまり抽象でなくマンガっぽくて分かりやすい。まあ、ミロの抽象ってのは、そう分かりにくい(絵の気分が伝わりにくい)もんでもないけどな。エルンストが手堅くある。そして、おおっ我がデルヴォー「夜の汽車」。夜と裸婦と駅と汽車というデルヴォー鉄板の組み合わせ(まあデルヴォーは基本自分好みっきゃ描かないが)。それよりも上にあるシンメトリーなシャンデリアが気になるな。

戦後の展開、ヨーロッパということで、ジャン・デュビュッフェ……はいいけど、そこにアール・ブリュット(アウトサイダー・アート)の解説があるのは……うーん、言い出したのは確かにデュビュッフェだけど、アール・ブリュット作品がそこにあるわけじゃないからなあ。それからスーラージュのブットい線のヤツとか、フォンタナのキャンバス切ったのとか、ジャコメッティの裸婦立像とかあり、まるで教科書ですな。あとフランシス・ベーコン「横たわる人物」うーん。グランドピアノかと思ったら獣人か。でも、これよくできてるじゃん。

戦後の展開、アメリカだって。サム・フランシスの抽象。いやぁ思い出しますサム・フランシス展。サム・フランシスしか無かった(当たり前だが)。まるっきり全部同じ感じで、見ててこれほど飽きるヤツも少ない。1枚2枚だととてもいいんだけどねえ…… あとウォーホルやラウシェンバーグの作品。手堅い。

あとはもう現代に近い。アルマン「バイオリンの怒り」そりゃ怒るで。バイオリンがこうされちゃあなあ。クリストの丘陵に布を渡すランドアートの写真。超現実風景を写真じゃなくて本当にやっちゃうヤツ。加工写真じゃない何かがある……と思う。チャック・クロースって人の「自画像」は写真を細かいマス目で区切って、マス目ごとにそこの濃淡を斜線でトレースしたもん。遠目で写真に見えるが近くではふむふむ。それからコンセプチュアルアートで「哲学者の誤り#2」これ、ニーチェの言葉を石版に写しただけのもの。ううむ……こないだのVOCA展で、会田誠の絵を出そうとしたのを彷彿とさせるようなさせないような。思えば、あれだってバッチリ「コンセプチュアル」じゃん。

超大作は無いものの、うまいこと流れをまとめていて、20世紀美術がなにをやろうとしていたか、ダイジェストに分かるぞ。 http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201503_PICASSO_and_20.html

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