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2015年3月21日 (土)

VOCA展(上野の森美術館)

なにげに毎年行っている。新しい平面の作家たち、とのことで、あくまで2次元だど。あと40歳以下の若手、ということで、有名どころはそんなにいないので(単にオレが知らないだけだが)、先入観無く見れる、とはいえ、今回はツイッターで事前にちょっと話題になってたものもあるんだけどね。
先入観が無いということは、自分が面白いと思ったものは面白いのだし、つまらんと思ったものはつまらんのだ。あったりまえじゃねーかと思うかもしれないが、美術鑑賞ってヤツは意外と情報や先入観に左右されるのね、「ゴッホだからいい絵に決まってる」とかあるいは「めったに公開されない貴重な作品だから」とか「ここに描いてあるのは作者の恋人です」とか。別にそういう情報に左右されてもいいんだけどさ、それはそれで楽しいんだけどさ、オレはなんかイヤだな。
ってなわけで、んー「もうこの手合いはいいよ」みたい作品もあるし(作者自身にゃ「この手合い」のつもりはさらさら無くとも)、「おおっ」と思うのもある。ま「おおっ」だけ挙げてこうぢゃないか。

まずは松平莉奈、獅子の絵が描いてあるけどマーブリングかと思った。うん、悪くないね。水川千春、あぶり出しで絵を作るとは、そうかその手があったな。いい味ですな。そういえばトーストアートなんてのがあったっけ。福田龍郎、私の好きなニコラ・ムーランを彷彿とさせる超現実風景。鳥瞰で作っている。んん、好きだよこういうの。もっと出てきてほしい。

2階に上がり、奥村雄樹、これが事前に話題になってたの。何でも会田誠にVOCA賞を取れそうな絵を描かせてそれを展示するというコンセプトアートをやろうとして却下された。この却下にはアートは何でもあり、とする向きから非難殺到……したかどうかは分からないけど、ダメだ日本の美術界は閉塞的過ぎる、という嘆きはあったような。いや、でも普通に考えればそれだと会田誠の絵なんだから、やっぱそりゃないでしょ、という「常識」も分からんでもないけどなあ。でも、こういうので規制した主催者側に理解を示すと「こいつアート的にイケてない」と思われるんじゃないかなあというためらいもあったりする。しかし、そういう情報による感情の動きも全て含んで「作品」なんですよ、と言われるのも常套句なんだよね、ということも含めて実は「作品」だった、なんてコンセプトアートって実はきりがないんだよなあ、と悟ることも「作品」なのだ、いやもうやめよう。とにかく実際に出ているのはポリカーボネイトの板一枚。説明文込みで作品だよ。……さっきまで情報に左右されるのはイヤだと言っておいて、思い切り左右されとるやん。でもそれが作品の重要部分なんだからしょーがないべ。

本城直季、写真のパース(線遠近)を飛ばしてミニチュアみたいに見せる手法でおなじみ。なんかかわいい工場プラントだぞ。ミヤギフトシ、沖縄に行った時に送られてきた手紙を、自分で封筒から出して読むのだ。日を追って読み進めるべきものとなっているようで、内容が現実と異なってくるらしいんだが、よく分からんかった、沖縄の選挙結果かな。水野里奈、細かいテクニックを駆使してぶわっと広げてくる感じがいいね。川久保ジョイ、放射能渦巻く福島の地面に、感光紙を埋めておいて、光を使わず感光させた写真。何も写っていないように見えるがなんかすげえ。竹村文宏、一見絵の具をまき散らした抽象画、しかし、それを地図と見立てて、絵の具と同じ色で繊細な構造物をその上に造っている。平面じゃないんだけど、魅せる。これ、今回一番よかったな。

500円でリーズナブルだ(前もそう書いたかな)。
http://www.ueno-mori.org/exhibitions/main/voca/2015/

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