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2015年8月26日 (水)

舟越保武彫刻展(練馬区立美術館)

彫刻はアウェーだ。でもなんか評判いいし、練馬ならやってくれると思って行ったのさ。いやー、なかなかよかったですねえ。
舟越保武って知らなかったんだけど、そうっ、あのっ、長崎の「長崎26殉教者記念像」作った人なんだね。長崎行ったから知っている。いや、現地には行ったことないんだけど。
しかし彫刻の舟越といえば、舟越桂だよなあ……なんて思ってたら、桂の父ちゃんなんだ。うむ、すげえ親子だな。

最初は戦前から戦中。赤みがかった大理石を削って作る作品2つ。素材に惚れたらしい。女性の頭部の作品が多い。月並みな言い方だけどリアルに彫ってありますね。戦後になって「白鳥」という作品があって、これは女性像に翼が生えてるようにも見えるが、やっぱこれはギリシャ神話の有名な「レダと白鳥」でしょうなあ。近くに「ナルシス」もあるし。これも女性像ね。もう一つ「白鳥」があって、これは普通の白鳥……なんか白鳥って……エロいよな。首がにゅーって伸びてるところとか。特に彫刻にすると羽毛じゃないから、よりヒワイ感が増すと思いませんか? ……思わないか。まあいいや。それから、生まれて何ヶ月かの子供が亡くなったそうで、そのパステルスケッチがある。それからリアルな彫刻ばかりかと思ったら「魚」なんてのはちょっと抽象的で、プランクーシみたいな。本人もプランクーシの影響受けてるっぽいけど。それから、荻原朔太郎や石川啄木の像がある。戦中の疎開先が盛岡だったそうで、盛岡といやぁやっぱタクボックだよな。啄木が夢に出てきたんで、それを作ったんだって。ありゃ、これの制作が昭和40年となってるが……まあいいや。あと、家族ともどもキリスト教の洗礼を受けたそうです。

階を上がって、ここで「長崎26殉教者記念像」関係の展示。構想デッサン。上向いて賛美歌を歌っているんだって。「聖ルドビコ茨木」なんてルオー風。デカい像なのに手や足のデッサンも描いているのね。で、実際の彫刻というか、なんだ、複製品? が4体ほどあるんだけど。なるほど……遠目だと26人並んでいるだけなんだけど、実は結構「顔が命」なんだな。うん、服は全員同じだしなあ。行く人はちゃんと顔を見ようね顔を。ここが山場かと思ったら、実は違う。次の部屋にあるのがスゲエ。
「十字架」は教会にあるものまんま。磔のキリスト。それから弾圧されたキリシタンの農民が鎧を着て出てくる力作「原の城」。しかしそれより、ハワイのモロカイ島で、隔離されたハンセン病患者が溢れる中に赴き(そこ、看護者もいなかったらしい)、病人のために働き、自ら同じ病気になりながらも神の言葉を伝えつつ亡くなったベルギーの英雄「ダミアン神父」がハンパネエ。うむむ、この深みのある顔。病気に冒されても神を信じ、信念を貫き、言葉を伝え続ける男の顔だ。これだけでも見る価値はある。でも神がいるならなぜ病気から救ってくれないのか、とか言われなかったんかな。

あとは手堅く美しい女性の全身像「たつこ」や「シオン」、女性の頭部「LOLA」や「T嬢」。「聖マリア・マグダレナ」のようなキリスト教ものを堪能しつつ、これで終わりかと思ったらまだある。なんと右半身が麻痺してしまい、左手だけで作品を作り始める。キレイキレイにはできないけれど、荒っぽさがまた力強い。「ゴルゴダ」なんてキリストの顔が迫力十分だぞ。

あーもうすぐ終わってしまうな。行った方がいいよ。 http://www.neribun.or.jp/web/01_event/d_museum.cgi?id=10249

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