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2015年9月 6日 (日)

もうひとつの輝き 最後の印象派(損保ジャパン日本興亜)

美術史の一般的な流れとしては概ね、印象派→後期印象派→フォーヴ、ダダ、シュールってな流れになってるんだけど、印象派ってのをそのままやってた連中がおるのね。で、それらは前衛的じゃなくて、サロンに出てくる。なんちゅーかもう、アカデミック? だよな。それ以前にゃ印象派が前衛的だった時代もあるんだけどね。
ところで、最後の浮世絵師って誰だか知ってるかな? 小林清親? ノーノー。彼は新時代の木版画家第1号、と見てる。明治になっても江戸浮世絵の「あの感じ」をやってた絵師がいて、それが楊洲周延って人。まあつまり要するに今回の展示は、浮世絵でいえば周延みたいなのを集めたってわけだ。
えーところで私はカリエールが好きでね、出てるってんでそれにも期待してたんだぜ。でも行って分かったのは、最後の印象派って、割とカリエールに近い雰囲気のが多いよな。色は違うけど。

部屋に入って最初はエドモン・アマン=ジャン。知らないじゃん。絵を見るとまったり系だな(なんじゃそりゃ)。しかしなんだな、あまり聞いたことない画家ってのは、それが「知られざる驚異の画家」であることはまずないよなあ……いやいやいや、少ないがそういう場合もなくはないぞ。ダドとか有名じゃないじゃん。あと鴨居玲も中村正義も磯江毅も行くまでじぇんじぇん知らなかったぞ(覚えてないだけだったりしてな)。でもまあ、エドモンは普通。次、アンリ・マルタンの「収穫」を見る。ええ、その、素直に印象派。麦畑での収穫。画面広い。でもこれ描かれたの1918年。ゴッホなんてとっくに終わっている。ゴッホの強烈な原色での麦畑を思うと、なんか絵が古いよなあ。当時のレトロスタイルって感じぃ? まあ印象派の時代を過ぎても印象派を描いちゃいけないわけじゃなし、まして鑑賞する我らはそのずっと後の時代にいるので、制作年はともかく純粋に「こんな絵」として見りゃあいいじゃないか。つまり要するに、オレってあんまり普通の印象派って興味ないんだよね(ミもフタもねえな)。マルタン「野原を行く少女」うん、いいね。ノスタルジックに萌えられる。

ここでアンリ・ル・シダネルって人が並んでいる。「日曜日」ふむふむ、女達が集まって、ちょっと神秘的な雰囲気ね。「コンコルド広場」…………ありゃ、これ確か見たことあるぞ。ここで思い出す。ああああああオレ「シダネル展」っての行ってたぢゃないか。埼玉県立近代美術館。大した印象無かったよなあ(と思いつつ、あとでブログ読み返してみたら結構高い評価してた)。ともあれ、この「コンコルド広場」は傑作でしょう。いいよこの夜の灯火が滲んだ感じ。アンリ・デュエム「羊飼いと羊の群れ、夕暮れの海岸」どうでもいいけどマッカッカだな、オレの勤め先の売り上げみたいだ(おいおい)。

シャルル・コッテ「悲しみ」クールベさんに影響受けたらしい。この絵もリアルで美しくねえ。リュシアン・シモン「王女ナウシカ」…………マジすか? えーうそー青き衣まといて金色の野に降りてないじゃん。メーヴェ飛んでないじゃん。王蟲もいな……ナウシカってギリシャ神話の「オデッセイア」に出てきたんだって。これはもちろんその絵よ。ハヤオったらそんなところから名前持ってきちゃって。ところで女の人がゴチャゴチャいるんだけど、どれがナウシカなんだ? ルネ=グザヴィエ・プリネ「カブールの浜辺」突然の雨をかぶーる人達。走る母子が動きがあっていいですね。エミール=ルネ・メナール「オデー川・河口の眺め」横長だ。ガストン・ラ・トゥーシュ「聖アントニウスの誘惑」おお、例の定番テーマか。あんまし「らしくない」が、象徴派風ね。やっぱしー印象派だけじゃやってけねえ時代だよなあ。

ベルギーの画家コーナー。うむ、ベルギーならやってくれる。アルベール・バールトソン「ロンドン カノン・ストリート・ブリッジ」これ、ちょっと面白い絵。水の中からでている二本の杭(?)が、なんか暗い影の人物にも見え、普通の風景が一気に象徴派風なヤバめの絵に。狙ったのかな。エミール・クラウス「リス川の夕陽」樹木の葉を透かして、その向こうに太陽の光。実景の写実ながら、ちょい神秘。マグリットはこれを月でやってド神秘(?)にしたけどね。

それから肖像が並ぶが、ううむ、イマイチ。で、最後にまずアルベール・ベアール「サビーヌを流れる小川」なんだこれ、フランシス・ベーコンか? と思わせる右下の人物の肉体よ。いや、歪んではいないけどなんとなく。これベーコンのああいう人体だったら面白いんだがのう。そしてカリエール……嗚呼期待したほどではなかった。もっとイイのはあるはずだ。でも「アルフォンス・ドーテ」はうまい肖像画だよ。

シダネルの「コンコルド広場」やクラウスの「リス側の夕陽」これだけでもまあ行ってオッケーよ。
http://www.sjnk-museum.org/program/3214.html

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