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2015年9月23日 (水)

ニキ・ド・サンファル展(国立新美術館)

なんか評判もよさげだ。行こう……ってこれ誰なんだ? なんとなく作品は見たことがあるようなないような感じで。フランス生まれアメリカ育ち、らしい。

会場のはじめでニキがこっちに向けて銃をぶっ放そうとする映像があって、それからして攻撃的というか、なんかイケイケ(死語か?)って感じがするんだけど、最初の絵が「自画像」で、これ決して明るくない。ガラスタイルやドリッピング(だよな)とか使ってるけど、印象は草間彌生っぽい内向的でヤバい自画像。ニキがずっとこの路線だったら……まあ草間に勝てないよなあ。で、しばらくは「無題」などの絵画っぽいオブジェで、早くも拳銃とか出てくる。それから壁に「射撃絵画」のパフォーマンス映像がバーン! 射撃絵画ってのは、絵の具を詰めたオブジェを貼りつけたヤツを、銃で撃って絵の具を飛び散らせて絵画ともオブジェともつかんものにする。パフォーマンスアートにもなる。うむ、女性と拳銃ときたらもう、フロイト的解釈をするまでもなく、銃って男根だよなあ。なんか銃を使う女性って、かつて銃に傷つけられたんじゃないかって気がするし、攻撃的態度に出るってことは、人一倍傷つきやすいんじゃないかって気がするな。そんなわけで、射撃絵画って作品そのものよりも、射撃絵画って行為そものが作品なんだよな……って、そんなこと諸君は分かってるか。ニキは射撃絵画をやらなくなるんだけど、その理由は快感過ぎてハマるとヤバいと思ったらしい。それから次の部屋は、なんかドラゴンとか恐竜とか、そんなヤツらの絵や立体。「ポジティヴ・ネガティヴ・ドラゴン」の工業製品っぽい立体から、「白いグレムリン」なんて粘土細工っぽいのまで。怪獣はどう見てもゴジラだな。

次に「女たちという問題」というコーナーで、ここも石膏とかで作った立体ものの女性像……なんだけど、男が見るとちょっとグロい。体がデカい。手足傷ついていたりする。カワイくない。女性アーティスト、特に「おんな」であることを押してくるヤツは、キレイキレイでカワイイものや男が萌えちゃうものは絶対作らなくて、ザラザラした感触で生々しいエグいキモいシブいものを作ることが多い……というのがオレの独断の印象で、ニキも概ねそうだよなあ、と思ったりする。特に「赤い魔女」もう、なんか、うええええみたいな感じだけど、心に傷を負った女の心の中はこんなんだよ、と言われているかのような「おんな」押しである。

しかしニキはここでパッカーンと作風を変える。「リリあるいはトニー」という立体作品。誰それさんが妊娠したんで、それで作った女体の作品。後の「ナナ」シリーズの原型。これ何か? 大柄で胸も尻もデカくて、全身ハデハデ。それが踊ったりしてるんだから、身軽なデブ女みたいな感じ。こりゃ女性ウケしまんなあ(まあ男が見ても面白いが)。で、ニキ自身バキバキのフェミニストだったそうで、そのインタビュー映像が出ている。この世は男性が支配している。女性と黒人が手を組めば素晴らしい世の中になる、とか何とか。ただ印象に残ったのは「子供を持つことを労働と考えてほしい」と冷徹だ。育てるのは大変な労働だから国が負担しろって。ほう、そうなのか。なんかフェミニストって「育児は喜びです」みたいなこと言ってんのかと思ったけどそうじゃないんだな(それは男が女に育児労働を押しつけるときのセリフか)。その「ナナシリーズ」の立体がいくつもある。「ビッグヘッド」とかいうデカい顔もある。「身繕い」という母親の虚飾っぷりを揶揄したかとかいう作品があり、それから「ホーン」という大インスタレーションの記録がある。これは巨大なナナの立体内にプラネタリウムだとかいろいろ部屋があるもんだけど。入口が股間という実に「おんな」なヤツ……実物見たいよな。

それから「あるカップル」というコーナー。ナナと誰か、みたいな感じの立体。それから「ニキとヨーコ」というコーナー。アートで「ヨーコ」といえばヨーコ・オノかと思ったら、増田静江って人なんだって。書簡とかあり。この辺で、作品のテイストが似たようなもんばかりなんでだんだん飽きてきた。でも「ニキ美術館のための模型」なんて見応えがある。那須に美術館があったんだって。今は無いの。あとブローチとかは見もの。細かいけどちゃんとニキなんだぞ。

「精神世界」コーナー。ここでブッダ(デカい。撮影可)を始め、ガネーシャとかドクロとかが、ニキ風の立体になっている。ガネーシャとか電飾なんだけど、いいのか神様がこんなんで、という印象もなくはない。「髑髏」がなかなかの大きさがあり、ふと鴻池朋子の立体作品を思い出す。あれも髑髏で……いや髑髏じゃなくて赤ちゃんだった。でも鏡タイルいっぱい貼ってキランキランだったよなあ。

最後が「タロット・ガーデン」のコーナー。これが何か、タロットの大アルカナ22枚を立体作品にして、それをトスカーナ地方のある公園にしたんだが……これまたスケールがデカい。人が入れる作品もある。ガウディのグエル公園も意識した超大作。公園は旅行ガイドにも載ってなくて限られた時間しか公開されてないそうな。で、展示にはその現場の映像と、原画とかタロットデザインとか、関連の立体作品(ミニチュア)がたくさん。うーむ、しかしやっぱ現場映像がいいよなあ。行きたくなりますなあ。

まあハズレはない。子供連れでもイケる。
http://www.niki2015.jp/

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