« 「回向ーつながる縁起」展(P3 art and environment) | トップページ | 春画展(永青文庫) »

2015年10月 4日 (日)

Don't Follow the Wind Non-Visitor Center(ワタリウム美術館)

311福島の原発事故による帰還困難区域がまだあり、そこにアート作品を展示している国際展「Don't Follow the Wind」のサテライト展。つまり、そこで何をやっているかの紹介とか、関連作品とか。入って2階が概要フロア。関連アート作品が「ノンビジターセンターの疑似体験エリア」というところに展示されていて、それは3階なんだけど、2階の吹き抜けに作られた仮設の階段を上って、そこから3階の展示をガラス越しに眺める。つまり入れない。近寄れない。イヤホンガイドを貸してくれるので、それで作品のコンセプトは分かる。もっと近づいてみたいと思って、エレベーターで3階に行っても目の前がコンクリートブロックで塞がっていて入れないのだ。

一般の人が訪れることができない帰還困難区域にアート作品を展示するとはいかなることか。立ち入りが解除される時まで見れないとはいかなることか。「いろいろ考えさせられますねえ」というコメントは誠に月並みだが、ノンビジターセンターまで立ち入れない展示をしてあるもので、なんかフラストレーションで悶々としてくる。もちろん、この悶々の中にこそ、この企画の意味があるのだ。そこにあるけど、行くことはできない。なぜ? いったい何があった? なぜそこに展示する? いやいや、そこで何があったかを強く意識させたいたいからこそ、そこに展示してあるのだ。

イヤホンガイドでノンビジタセンターの展示物の解説が聞ける(スマフォがあれば自分のでも聞けるぞ)。なんとなく覚えているのでは、Chim↑Pomの予告編ビデオだとか、竹内公太の、区域内にあった服を着て写真を撮ったのが現地にあり、服はこっちに展示とか。小泉明郎が現地の人にインタビューしてるとか、グランギニョル未来が現地移動に使った車の映像とか……っていうか、これ何人かでやってる戯曲で気にはなっていて、図書館にシナリオがあったんで読んでみたけどやっぱり舞台ものを字で読んだって何も分からんよなあ。あと、エヴァ&フランコ・マッテスの現地の写真だったかな、それをテクスチャにして防護服にプリントとか、アイ・ウェイウェイが帰還者のために、日常と同じ家の照明の点けたり消したりをやってるとか。ニコラス・ハーシュ&ホルヘ・オテロ=バイロスが、エリアを区切ってその中は除染しないよとか、まあ、なんというか、放射能いっぱいで立ち入れない、今は人が帰ってこれない場所の悲しさとか虚しさとか、そういうものをその場所ならではの事物を使ってアート作品として表現する……んだけど、何しろ近くで見れないから意図は分かってもやっぱり悶々と眺めているしかない。

4階はまず、現地、帰還困難区域のライブ映像。無人の町が、おおっと思わせる。あとは映画監督でもある園子温の作品。参加アーティストが国を越えてネットで会話する映像……の同時刻の現地の様子(もちろん無人、しかも夜)。会話の内容は別に反原発アジテーションでもなく、普通の制作談義っぽい。日本側の出演はChim↑Pomで、この企画の発案者とパンフレットには書いてある……うむ、なんちゅーか紅一点のエリィ嬢があまりギャルな風貌なんでタカをくくっていると、実は結構あなどれないことをしているんだな。あのギャル風貌は実は罠で、あんなチャラそうな小娘にアートができるわけねえよ、とか表層でしか考えられない頭の固いヤツを始めから叩き落としておく気なんじゃないのかね。まあ、それはそれとして、この映像作品は現地映像をチラ見しつつ鑑賞するとイロイロ味わえるというものだ。

この企画がアートとして問題提起をしつつ、各アーティストの表現の工夫も、アートを鑑賞というよりそのやり方を見て悶々としつつ。単なる美術鑑賞ではない何とも言えない気分が体験できるが、おすすめできる。君も悶々としてほしい。
http://www.watarium.co.jp/exhibition/1509DFW_NVC/index2.html

|

« 「回向ーつながる縁起」展(P3 art and environment) | トップページ | 春画展(永青文庫) »