« 写実って何だろう?(ホキ美術館) | トップページ | アインシュタイン展(東京理科大学) »

2015年10月22日 (木)

プラド美術館展(三菱一号館美術館)

誕生日は会社が休みをくれるんで、行ってきた。広告にゃヒエロニムス・ボスがどーん、ゴヤだグレコだルーベンスだっちゃあ期待しちゃいまんにゃん。この企画はプラドでやりバルセロナでやり東京に来たのさ。で、現場に行っただ……ん、なんかちっこい絵が多いぞ。それもそのはずで、巨匠の小さい絵で再発見みたいな企画なのだよ。そもそも三菱一号館って、巨大な絵は展示できないし、部屋が細かく分かれているので、小さい絵の展示に向いてる……んで、こういう企画をよくやってるんだどん。いや別にそれはそれでいいんだけど、広告がなんか立派なもんでね、巨船みたいなヤツを期待しちまうんよ。

最初は中世後期とルネサンス・。「聖カタリナ伝説の画家」の表裏になってる「聖母の婚約」と「苦しみのキリスト」がいいよな。表情のね、なんか冴えないところがね。ヒエロニムス・ボスの「賢者の石の除去」がいきなりある。男の頭から石を取り出してる怪しいヤツ。雰囲気はボス。でも意外と小さい。上下の字が目立つ。それより隣の、偽ブレス(誰?)の何とかって絵がいいな(三枚組なんてたおつおみうっm
トル写すのめんどくせえ)。あのう、後ろの建物とか人とか。メムリンクの「聖母子と二人の天使」はきれいどころで。

次はマニエリスム。ティツァーノの「十字架を背負うキリスト」これは定番っぽい。エル・グレコが2つ! ……ち、ちいせえ。いや、別に決してダメな絵じゃないんだ。「受胎告知」なんてなかなかよくできてるし、ほら、左下のマリア様は例のアレの縮小版みたいで……でも、なんだかなあ。もっとこう……眼前にグッと迫ってほしいという思いがヒシヒシよ(そういう受動的態度じゃいかんのだが)。

バロック。ティントレット「胸をはだける婦人」文字通りだが何ではだけてなきゃいかんのだろうか。それよりティツァーノとティントレットとティエポロって誰がどこの誰だが頭の中でゴチャゴチャなんですけど。それからグイド・レーニ。「聖アポロニアの殉教」「祈る聖アポロニア」さすがグイド先生。小品でもイメージが明確で分かりやすい。殉教の絵は刺されてても痛くなさそう。まあ痛そうじゃ見てられないだろうが。グイドは「花を持つ若い女」というのも出てるがこっちはイマイチ。ムリーリョ「ロザリオの聖母」これは……いいね。聖母が近所のきれいどころの若いお母様みたいで。変に神っぽくない。ルーベンス「聖人たちに囲まれた聖家族」小さめの絵だが、人の配置が絶妙な感じ? 静物もいくつかあって、中ではファン・バン・デル・アメン「スモモとサワーチェリーの載った皿」このチェリーの透明感がたまんねーよな。

17世紀。クロード・ロラン「浅瀬」理想風景の人。うむ、普通だ。つひはおおベラスケスだっ! 「ローマ、ヴィラ・メディチの庭園」……マニアック過ぎる。これがベラスケスとして何がいいのか分からぬ。ヤン・ファン・ケッセル(1世)「アジア」これがなかなかいい。小さい動物画の組み合わせ。蛇はキモい。イカもキモい。カエルがいる。魚もいる。獣もいる。サイは鎧で固めたあのサイだ。まあ、どこがアジアなんだか分からないが。ヤン・ブリューゲル(2世)「豊穣」なかなかいい絵だが、真ん中の女にオッパイが6つある。ピーテル・フリス「冥府のオルフェウスとエウリュディケ」怪物がナイス。ダーフィット・テニールス(2世)「猿の画家」「猿の彫刻家」再会だよな……どこかで見たよな。ピーテル・ブリューゲル(2世)「バベルの塔の建設」これはあの1世の有名な絵と同主題で概ね同じ感じ……なんだけど、明らかに格が低い。何がって、人々はまあそれっぽいけど、塔そのものが構造的にダメな感じがする。神様に破壊される前に自壊するであろう。1世はもっとがっちりしたワクワクできる構造体だったぞ。あとスケール感もなんとなくおかしい。

18世紀ヨーロッパ宮廷の雅。ってこれロココのことだけど、バキバキのロココ画はない。ヴァトー「庭園での宴」もちょっと暗め。コッラード・ジャクイント「イフィゲネイアの犠牲」これもロココだそうだが……ちょっと違うな。アントン・ラファエル・メングス「マリア・ルイザ・デ・パルマ」女性のバストアップ。なんちゅーか……口の達者な女みたいな、あるいはファッション雑誌なんかで、ものすごくその気になっているモデルみたいな、いや、なんか男のオレは引いちゃいそうな感じっていうか。フランシスコ・バイェウ・スビアス「オリュンポス・巨人族の戦い」スケールのデカい絵だ。天井画の下絵で大きくはないが。

そしてゴヤ。おお、ゴヤ。さすがプラド。「レオカディア・ソリーリャ?」肖像画。普通にうまい。「トビアスと天使」手堅い……どこかで見た。「目隠し鬼」ロココ風もできるぜ。「酔った石工」酔ってるのか。「傷を負った石工」酔ったのと同じ絵の拡大版……ってことは酔ってるんじゃないのか。「アルバ女侯爵とラ・ベアタ」これが今回のゴヤの中では一番いい。ゴヤらしいダークサイドにちょっと足突っ込んでる。黒髪しか見せないで迫る女が不気味だぜ。

19世紀。エウヘニオ・ルーカス・ベラスケス「魔女の夜宴」ゴヤをリスペクトしていたらしいが……もちっとちゃんと描いてくれ。イケる主題なんだから。イグナシオ・ピナーゾ・カマルレンチ「ファウヌス(子供のヌード)」ぬぁに? どこが子供でどこがヌードなのだ? フランシス・ドミンゴ。マルケース「眠る猫の頭部」普通にカワイイにゃ。マリアノ・フォルトゥーニ・イ・マルサル「日本式広間にいる画家の子供たち」うむ、まあまあなかなかの絵だ。

小品でたどる歴史。能動的態度で鑑賞すりゃあ発見もあるべ。
http://mimt.jp/prado/

|

« 写実って何だろう?(ホキ美術館) | トップページ | アインシュタイン展(東京理科大学) »