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2016年4月10日 (日)

「俺たちの国芳 わたしの国貞」(Bunkamuraザ・ミュージアム)

金曜夜に行きました。
春章、国芳ときて、とうとう国貞までメジャーになってきた。時代は変わったのう。一昔前は、国貞の評価は決して高くなかった。いわゆる「六大浮世絵師」にゃ入ってないし、本などに(まあ、そんなに読んではいないが)粗製濫造ぎみなどと書かれ、扱いも小さかった。でも、まあ多分研究が進んで、この江戸浮世絵絶頂期に最も売れっ子だったスーパー浮世絵師の全貌が明らかになってきた、ということだろう。この時代の木版画技術はあまりにスゴすぎて、現代には再現不能、とも言われているぞ。いや、これは見れば分かる。

最初は「髑髏彫物伊達男(スカル&タトゥー・クールガイ)」というコーナーになっていて(面倒だからこのあとタイトルいちいち書かんが)、漢語とこじゃれた横文字の併記となっている。水滸伝の豪傑やら任侠の男なんかのカッチョイイ絵。次のコーナーも物怪退治、その次海洋ホラーと、練馬もそうだったんだけど、この武者絵スタートの構成がまた嬉しいじゃないか。ここで声を大にして言いたいのは、やっと浮世絵が浮世絵らしい展示をされるようになったこと。これまで、江戸浮世絵といやぁ、名所絵や美人画など、どちらかというときれいで上品な路線での展示が当然のようにされてきて、広重の名所絵じゃ歌麿の美人画じゃ、写楽は芸術的似顔絵じゃ、と、どうしても高尚な香りを出すようにして人を集めてきたんだな。まあ一部国芳の戯画なんかは、おもしろ絵の一部として評価されてたんだけど。でもね、浮世絵って本当はエキサイティングで、ファッショナブルで、当時の庶民も大好きで流行を行ってたわけなんだ。ここにきてやっと国芳の武者絵や国貞のド派手な絵を前面に出すのが「あり」な時代になってきたのだなあ。

ま、話は戻って、最初のコーナーで国貞描く「当世好男子伝」この彫りが細っ。色も細か~い。これ、当時の木版画技術ね。スゲエだろ~? ヤバいだろ~? あとこないだ国芳展で見たネコが集まってドクロ(ネコスカル)デザイン着物男の絵もある。超クール。で、このデザインの手ぬぐいが売店に売ってる……んだけど、もう売り切れだとよ。品薄商法っちゅうか、商機逃してんじゃねーよ……ってそんな数作れないのか。オレも欲しいっちゅーの。えーと例のドクロ妖怪とか、例のワニザメとか、例の何とかとか。あーいいんだけど国芳はさんざん見た。なもんで、どっちかというと国貞の絵の方が新鮮だ。里見八犬伝もので大判8枚構成のやつがあり、壮観である。あと縦に2枚で、あのう……でかいガマガエルが下にあって。えーと、まあそんなヤツだ(どんなヤツだよ)。海洋もんで、国芳の「名将九州より……(なんとかかんとかで長い)」でね、初めて見たけど水しぶきが飛び交っててスゴいんだぜ。それから異世界魑魅魍魎なんてコーナーで、国芳描く「木曾街道六十九次」の怪談ものがイイ。半透明幽霊とか、もわっとしたドクロっぽいのか。次の武者絵のコーナーでこれも国芳「宇治川合戦之図」。よく見ると水面の表現スゲエな。陰影で凹凸を表現し、手前と奥で色も変えている。チャキチャキ江戸っ子の浮世絵版画と思ってナメているとなかなかどうして国芳の絵画的実力ってのは相当なもんです。あと馬の陰影表現とかね。西洋画から吸収したエッセンスを使っている。

三角関係の世話物コーナー、この辺から武者絵じゃなくなってきて、役者絵。国芳の仏像からの光がピカーな、ヤツがデザインセンスあり。それから役者絵がバリバリ登場。当時のブロマイドだど。国貞が得意としていて、五枚揃いものの「御誂三段ぼかし」役者は分からんけど、デザイン的にめっぽうきれいにできている。あと楽屋裏の様子を描いたものいくつか。役者がうじゃうじゃ描いてあるわけですが、当時の役者が分かっているファンならこういうのを見るのは実に楽しいでしょうなあ。まあ、分からなくてもある程度面白い。

それから戯画があり、国芳の水滸伝ものは初めて見た。狸のヤツとかはおなじみ。あと戯画ではないが、「幼童席書会」は子供達の書道会でかわいくて楽しいね。それからこれも国芳「桜三筋末廣の松」これが扇子を使って松になる宴会芸。面白っ…………なんかこの辺でもう疲れてきた。浮世絵展って点数が多いもんで、まともに見てると中盤でもう疲れ始めてしまう。おらぁもう若くねえよ。

当世風の女子の姿。国貞メインで。もっとハデハデかと思ったら、町娘っぽいのが多い。行楽地のコーナーでは国貞の3枚続きが冴える。「東都両国橋 川開繁栄図」両国橋の迫力ね。遠近がバッチシキマってる。国芳は「初雪の戯遊」で猫の雪だるまを描く。猫好き国芳。最後は撮影可のコーナー。お待ちかね国貞のガッツリ細かい衣装の美人画が炸裂。こいつをクローズアップして撮るヤツ多数。シャッター音うるせえぞ。

なんかBEAMSとかB'zのギターとかパズドラとかいろいろコラボしてて、やっと国芳国貞の、今に通じるデザインセンスに気づいたか、と思うと同時に。なんかコッソリ見ていたのにあっちの方に行っちまった感もある。今までの北斎広重とかでない路線で、メジャーになった浮世絵展として行ってみよう。
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/16_kuniyoshi/

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