« 2016年3月 | トップページ | 2016年5月 »

2016年4月24日 (日)

高島野十郎展(目黒区美術館)

高島野十郎といえば、三鷹で見て以来ですね。蝋燭(ろうそく)の絵で知る人ぞ知る孤高の写実画家です。没後四十年ということでひっそりとしかし熱烈に個展をやっているのだ。

初期の中3で描いたれんげの絵があるが、既にウマー。最初は自画像いくつか。「りんごを手にした自画像」の眼光がナイス。「断崖の上」の木の枝のウネウネっぷりが野十郎の魅力。あとは初期の静物。これはなかなか手堅い。「けし」も茎のウネウネがウネウネしててウネウネだ(何だよ)。それにしても……なんかライティングがおかしいぞ。絵のガラス面にうしろの白い壁とか映っていて、特に画面が暗い絵だと絵の手前に壁とオレが映り込んでいるのが目立って絵が分からんではないか。なんだよー ……と思ったがライティングじゃなくて、どうも絵によるようだ。ガラス面が低反射式になっていて、ほとんど映り込みがないものもある……っていうか、全部低反射使ってくれよ。

えーそれから野十郎は世界をいろいろ訪問。「ノートルダムとモンターニュ通」は再会。そうそう三鷹でもこれは一番印象に残っていた。このパリの石造りの雰囲気、空気遠近法を使ったリアルな空間、手前の赤い花がアクセントね。「梨の花」はちょいゴッホ風の道。それから海上の風景なども。「イタリアの道 キオッジア漁村」は、船なんだけど、帆を休めてくたっとした感じがいいね。「帆船」も夕日に照らされた帆だ。

それから風景いろいろ。写実の実力満載。「すいれんの池」は大きめで、睡蓮一つ一つ丁寧に描いているぞ。「萌え出ずる森」は木々の林が……って言い方も変だな。要するに木々が立ち並ぶ風景が実にリアルにあるある。「御苑の春」は一本の木のオバケっぽいが、いや、これもあるよこういう木。見たような気がする。「林径秋色」もあるある林道。「れんげ草」は花いっぱいの大地と背後の山が広大でパノラマである。「春の海」は干潟が実に干潟の魅力。「流」はいい作品なのにガラス反射でブチ壊し。「古池」も池のほとりの枯れ草の群が魅力的なのにド反射ガラスが痛い。「海岸風景」はクールベさんを思わせる海辺……野十郎って岸田劉生の影響とか書かれていたが、自然をありのままにってことじゃクールベさんの影響を受けないわけはないと思うが。「秋の花々」はなんとなくトロピカル。「寧楽の春」は花に隠れる五重の塔のこじゃれた演出。「雪の山辺」村を見下ろす大山脈の雪景色。「法隆寺塔」は凄い。まるでそこにあるかのような、というか設計図から起こしたかのような正確無比な描画……不思議なことに、いや、そう感じるだけなのかもしれないが、写実画ってのは、時に写真よりもリアルに迫ってくるんだな。

静物のコーナー。全編マジ写実。中でも「煙(夜の)」の、暗闇に上っていく一条のたばこの煙。この静けさや。「割れた皿」の割れっぷりは見事。「葡萄とリンゴ」の迫る写実性。他にも果物は瑞々しく、時にいたんでいるところも正確に書く。これぞ仏の慈悲……なんだってさ。

光と闇のコーナー。太陽が描かれているもの。写実画家が太陽を描くってだけですごい。さすがにギラギラ太陽は無理で、まあ夕暮れ時とか、ですな。あと「月」もある。月の周囲のにじんだ光がポイント。1枚すばらしいものがあったが……惜しいことにガラスでアウト。
最後はいよいよ蝋燭コーナー。いっぱい並んでいるぞ。今回気がついたのだが、炎の周りに赤い絵の具で輪郭っぽく描いている。蝋燭の炎の写真とか見ても、そうなっていないんだよね。でも赤い輪郭が妙にリアルなのは、もしかして人の網膜に映った感じがそれに近いのでは? そう、これが写真とは違う写実画のすごさだっ(と勝手に解釈しているが)。あと今回、科学的に分析して、縦線を微細な線で強調してたとか、蝋燭の周囲にキラキラ結晶があったとか、紹介されています。

ひさびさに優れた写実画家の展覧会だ。写実画の魅力に触れるべく行ってみよう。
http://www.tnc.co.jp/takashimayajuro40/

|

2016年4月17日 (日)

六本木クロッシング2016(森美術館)

ギロッポン♪ ……にしても、ビデオインスタレーションってヤツがどうにも苦手である。展示してあるその場で最初から見られるとは限らないこと、全部見ると時間がそれだけ拘束されること。常に一定の感じとか、3分ぐらいならまだしも、始めと終わりがあって全部みないと分からないとか、全部で30分とか勘弁してくれと思う。んで、今回ビデオインスタレーションが多い。それも20分とか。

最初は毛利悠子のインスタレーションで、ちょっとしたメカ。こういう動きがあるのはのはいいね。片山真理、本人の写真。両足が義足で、それでもファッショナブルというかセクシーというかアートというか、そういう写真。石川竜一、沖縄の人の顔写真。直球勝負な感じ(?)。さわひらき、映像作品……ちょっとアニメーションもあり、うーん、なんかブラザーズ・クエイでも見たくなったな。というのも、これ、アート系アニメーションの分かりやすさが出過ぎてるというか、「はい、これでずよ」みたいに対象物を撮ってるもんで、クエイみたいな作り込んだわけのわからなさと奥深さがなんか欲しい。

山本大督のインスタレーション「トーキング・ライツ」。暗い部屋で骨董品が演じる機会じかけの劇のようなもの。セリフとともにライトアップされたり、少し動いたりするんだが、あんまし動きはダイナミックじゃないし、うーん太鼓ドンとか叩くのは面白いが。何よりセリフが青くさ……いや、なんか若いのね。美大の学園祭でも見ている気分だ。ええとそれから……何があったかな……(ビデオインスタレーションあまり見てない)……おお、野村和宏「笑う祭壇」ゲームでもある。ボタンを投げて、祭壇というか、小さい円形のスペースに乗っけたら勝ち、というもの。ボタンはたくさん用意してあるが……これが全くもって簡単ではない。円形スペースが小さいから……だけではない。結局小さいスペースに乗せるには、投げた時の水平方向の運動エネルギーがそこで0にならないといけない。つまり投げてスペースの上面に当たったところで、そのまま先へ行って落ちてしまうのだ。これは奇跡でも起きない限り不可能だぞ諸君。投げてスペースの縁に当て、そこで水平方向の運動エネルギーを何とか垂直に変えてから、うまく乗るかどうか、というもので、まあ、まず無理である。でも、なんとなくできそうなところが憎い。オレが考えたのは、なるべく高く放り投げて、水平方向の運動エネルギーをなるべく少なくするというもの。何度かやってみたが、結局落下エネルギーでスペースからはじかれるから、やっぱりこれも難しいだろうなあ。次、藤井光の「帝国の教育制度」戦時中にアメリカで作った日本の教育制度映画と、韓国での戦争に関するワークショップを交互に映す。戦争のための教育を受ける日本の子供を、韓国の若者が体験したっぽく語るという妙なテイストになっている……よね(少しっきゃ見てないの)。後藤靖香は絵画。戦時中の若者について聞いて描いた感じの。なんかこの辺からビデオインスタレーションはどうでもよくなってしまい(もったいないぞ)、志村信裕とか、百瀬文とかほとんど見ておらん。ナイル・ケティングの電球についてのインスタレーションがなんとなくかっこよく、松川朋奈の写真がそこそこで、小林エリカのインスタレーションはいつ入っても暗い中で字が浮かんでいるだけでよく分からず。タイミングが良ければ、というかずーっとそこにいれば何か起こるのかもしれないが、そんなヒマじゃないの。

西原尚「ブリンブリン」。木製のコンベアがキューキュー音を立てて、黒いソーセージ状の物体が高いところまで運ばれてはシートの上を落とされ、また運ばれていくという面白インスタレーション。でも残念なことに、物体がよくコンベア上につっかえて止まってしまう。シートを落ち切らないで止まることもある。こういう技術的不備はやっちゃいかんよ。こういうご愛嬌なところも含めて作品、などと言うのかもしれないが、もしそう言っているなら単に姑息と言うだけじゃ。キューキュー音コンベアが面白いだけに実に残念。

最後に長谷川愛の「(不)可能な子供」。遺伝子操作で同性愛者の実子を作れるか、ということを技術的な面と、倫理的な面と、アート的な面で提示。アート的には親子の家族スナップ写真をCGを駆使して作成。子供ができたらこんな風景、というもの。意見も貼ってあって賛否。

現在、東京シティビューでセーラームーン展やってて、ねーちゃんばかりで長蛇の列! すげえなセーラームーン……と思ったら違うな。カフェの列だった。容赦なく80分待ちとか書いてあったが……いや待て、違わないんだなこれセーラームーンとのコラボの「ちびうさカフェ」だってさ。
http://www.mori.art.museum/contents/roppongix2016/

|

2016年4月10日 (日)

「俺たちの国芳 わたしの国貞」(Bunkamuraザ・ミュージアム)

金曜夜に行きました。
春章、国芳ときて、とうとう国貞までメジャーになってきた。時代は変わったのう。一昔前は、国貞の評価は決して高くなかった。いわゆる「六大浮世絵師」にゃ入ってないし、本などに(まあ、そんなに読んではいないが)粗製濫造ぎみなどと書かれ、扱いも小さかった。でも、まあ多分研究が進んで、この江戸浮世絵絶頂期に最も売れっ子だったスーパー浮世絵師の全貌が明らかになってきた、ということだろう。この時代の木版画技術はあまりにスゴすぎて、現代には再現不能、とも言われているぞ。いや、これは見れば分かる。

最初は「髑髏彫物伊達男(スカル&タトゥー・クールガイ)」というコーナーになっていて(面倒だからこのあとタイトルいちいち書かんが)、漢語とこじゃれた横文字の併記となっている。水滸伝の豪傑やら任侠の男なんかのカッチョイイ絵。次のコーナーも物怪退治、その次海洋ホラーと、練馬もそうだったんだけど、この武者絵スタートの構成がまた嬉しいじゃないか。ここで声を大にして言いたいのは、やっと浮世絵が浮世絵らしい展示をされるようになったこと。これまで、江戸浮世絵といやぁ、名所絵や美人画など、どちらかというときれいで上品な路線での展示が当然のようにされてきて、広重の名所絵じゃ歌麿の美人画じゃ、写楽は芸術的似顔絵じゃ、と、どうしても高尚な香りを出すようにして人を集めてきたんだな。まあ一部国芳の戯画なんかは、おもしろ絵の一部として評価されてたんだけど。でもね、浮世絵って本当はエキサイティングで、ファッショナブルで、当時の庶民も大好きで流行を行ってたわけなんだ。ここにきてやっと国芳の武者絵や国貞のド派手な絵を前面に出すのが「あり」な時代になってきたのだなあ。

ま、話は戻って、最初のコーナーで国貞描く「当世好男子伝」この彫りが細っ。色も細か~い。これ、当時の木版画技術ね。スゲエだろ~? ヤバいだろ~? あとこないだ国芳展で見たネコが集まってドクロ(ネコスカル)デザイン着物男の絵もある。超クール。で、このデザインの手ぬぐいが売店に売ってる……んだけど、もう売り切れだとよ。品薄商法っちゅうか、商機逃してんじゃねーよ……ってそんな数作れないのか。オレも欲しいっちゅーの。えーと例のドクロ妖怪とか、例のワニザメとか、例の何とかとか。あーいいんだけど国芳はさんざん見た。なもんで、どっちかというと国貞の絵の方が新鮮だ。里見八犬伝もので大判8枚構成のやつがあり、壮観である。あと縦に2枚で、あのう……でかいガマガエルが下にあって。えーと、まあそんなヤツだ(どんなヤツだよ)。海洋もんで、国芳の「名将九州より……(なんとかかんとかで長い)」でね、初めて見たけど水しぶきが飛び交っててスゴいんだぜ。それから異世界魑魅魍魎なんてコーナーで、国芳描く「木曾街道六十九次」の怪談ものがイイ。半透明幽霊とか、もわっとしたドクロっぽいのか。次の武者絵のコーナーでこれも国芳「宇治川合戦之図」。よく見ると水面の表現スゲエな。陰影で凹凸を表現し、手前と奥で色も変えている。チャキチャキ江戸っ子の浮世絵版画と思ってナメているとなかなかどうして国芳の絵画的実力ってのは相当なもんです。あと馬の陰影表現とかね。西洋画から吸収したエッセンスを使っている。

三角関係の世話物コーナー、この辺から武者絵じゃなくなってきて、役者絵。国芳の仏像からの光がピカーな、ヤツがデザインセンスあり。それから役者絵がバリバリ登場。当時のブロマイドだど。国貞が得意としていて、五枚揃いものの「御誂三段ぼかし」役者は分からんけど、デザイン的にめっぽうきれいにできている。あと楽屋裏の様子を描いたものいくつか。役者がうじゃうじゃ描いてあるわけですが、当時の役者が分かっているファンならこういうのを見るのは実に楽しいでしょうなあ。まあ、分からなくてもある程度面白い。

それから戯画があり、国芳の水滸伝ものは初めて見た。狸のヤツとかはおなじみ。あと戯画ではないが、「幼童席書会」は子供達の書道会でかわいくて楽しいね。それからこれも国芳「桜三筋末廣の松」これが扇子を使って松になる宴会芸。面白っ…………なんかこの辺でもう疲れてきた。浮世絵展って点数が多いもんで、まともに見てると中盤でもう疲れ始めてしまう。おらぁもう若くねえよ。

当世風の女子の姿。国貞メインで。もっとハデハデかと思ったら、町娘っぽいのが多い。行楽地のコーナーでは国貞の3枚続きが冴える。「東都両国橋 川開繁栄図」両国橋の迫力ね。遠近がバッチシキマってる。国芳は「初雪の戯遊」で猫の雪だるまを描く。猫好き国芳。最後は撮影可のコーナー。お待ちかね国貞のガッツリ細かい衣装の美人画が炸裂。こいつをクローズアップして撮るヤツ多数。シャッター音うるせえぞ。

なんかBEAMSとかB'zのギターとかパズドラとかいろいろコラボしてて、やっと国芳国貞の、今に通じるデザインセンスに気づいたか、と思うと同時に。なんかコッソリ見ていたのにあっちの方に行っちまった感もある。今までの北斎広重とかでない路線で、メジャーになった浮世絵展として行ってみよう。
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/16_kuniyoshi/

|

2016年4月 2日 (土)

「はじまり、美の饗宴展」(国立新美術館)

倉敷の大原美術館のコレクション展。うーん、大原美術館は一度行ったことはあるのだが、ずいぶん昔なのでほとんど覚えていない。会期終了スレスレで駆け込み訪問。

最初は「古代への情憬」コーナーってことで古代オリエントもの。ガラクタしかねえなあ……なーんつって、ほとんど興味ないもんでよく分からん。せっかく情熱と審美眼と大金をもって蒐集したものをガラクタ呼ばわりはヒデエと思うだろうが、鑑賞者は身銭切ってんだからそんくらいワガママでいいと思うぞ。

で、「西洋の近代美術」コーナー。いきなりエル・グレコ「受胎告知」。いかにもグレコらしい色彩と人物歪みっぷりの傑作。マニエリスムだっけか。それからセガンティーニがある「アルプスの真昼」。アルプスの印象派。細かい原色キラキラ系で明るく描かれたアルプスの高原。損保ジャパンで結構見たけど、この人は名が知れて人気定着してもよさそうだよな。それから有名どころはいろいろいるが、うーん、ヒットまたは2ベースヒットぐらいでホームラン級はない。ホドラー……木こりだな。マネ……うむ、モロー……ううむ、モネ「睡蓮」お、これは定番だがなかなかいい。水面が水面らしいぞ。小ぶりだけど。ルノワール……ぶわっとしてるな。ゴーギャン……タヒチってる。ロートレック「マルトX婦人-ボルドー」は珍しく油彩ですな。マティス……ううむ、モディリアーニ……よぅモディ。デ・キリコ「ヘクトールとアンドロマケーの別れ」これも定番ながらそこそこ。

「日本の近代洋画」コーナー。青木繁「男の顔」天才が描く渋くデカく暗い画面の顔だ。児島虎次郎「和服を着たベルギーの少女」うむ、これは広告に使ってたヤツか。ニッポン印象派みたいで、きれいどころでなかなかよい。岸田劉生「童女舞姿」これ冷蔵庫もとい麗子像だよな。もちっと顔デカい方が麗子らしい。佐伯祐三……お、おう。藤田嗣治「舞踏会の前」これはなかなかイイ。藤田印の乳白色裸婦がたんまり。客の注目度も高い。熊谷守一「陽の死んだ日」そうかこういう絵を描くのか。こんど熊谷守一美術館に行ってみよう。関根正二「信仰の悲しみ」二十歳で亡くなった天才だそうで、福島泰樹の短歌絶叫で名前を聞いた。曰く「ヴァーミリオンたらりと唇より滴らせ関根正二も死ににけるかな」。そうかこういう絵を描いた人か。福島好みの村山槐多と同じ匂いがしにけり。梅原龍三郎「竹窓裸婦」えっと、この人はナビ派か? つまりゴーギャンの影響受けてる? つまり要するにちょっと普通と違う緑色の裸婦なんだが。古賀春江「深海の情景」……ナイスな幻想画。

「民芸運動ゆかりの作家たち」コーナー。棟方志功「流離抄板画柵」色と歌のコラボがよい。モノクロ「二菩薩釈迦十大弟子板画柵」も代表作。一人一人の個性が冴える。あとはまたガラク……じゃなくてバーナード・リーチの器とかだよ。

「戦中期の美術」コーナー。松本竣介「都会」ブルーな感じがいいね。絵画はやっぱ色彩だよ、色彩の音楽だよと言いたい。ピカソ「頭蓋骨のある静物」ほほー、こういうベルナール・ビュッフェみたいなもんも描いてたんだ。

「戦後の美術」コーナー。ジョゼフ・コーネル「無題(ホテル・太陽の箱)」。コーネルの箱は草間彌生の本で知ったが初めて見た……わけではないと思うがマジマジと見るのは初めてだ。これがコーネルの箱か……確かになんかすごい、風格というか、雰囲気というか、ハンパじゃねえ空間になっている。草間がコーネルから求愛電話されまくって迷惑してもこのド変人とつきあってたのは、やっぱりこの素晴らしき世界あってこそなのだ。フォンタナのキャンバス切りあり。ロスコあり。河原温の珍しい油彩「黒人兵」。キャンバスの形が妙でよい。

「21世紀へ」コーナー。福田美蘭「安井曾太郎と孫」。まず安井曾太郎の「孫」があって、隣にこれがあるのだが、曾太郎が孫の前で孫の絵を描いているところを曾太郎風に描いてあるという面白い絵。福田美蘭は非常に好きだが同時に嫌いでもある。元の題材があり、それを料理する手腕と着眼と作品は素晴らしいんだが、逆に元ネタがないと何もデキんヤツみたいで、オリジナリティ至上主義の私にゃどうも嫌な感じがある。そうだな……元ネタを科学的に料理してドヤ顔してる「空想科学読本」みたいなもんか。まーあれは本自体もあんまし好きではないが。えー、あとはデカいのいろいろ。セレクションの筋もイイ感じ、ですよね。花沢武夫「レッツ グルーヴ(聖アントワーヌの誘惑)」はナイス。この題材でちょっとユルい。上田暁子「記憶の花脱いで」毒々しい巨大な花を脱ぎ捨てて……というかその花がインパクト強い。谷保玲奈「繰り返される呼吸」金魚や花などきれいなものをギッシリ集積させるとどことなく不気味で気持ち悪い世界になる。大原美術館はレオン・フレデリックのデカいのを所有していたはずだ。あの裸体でびっしり埋まった世界の異様さにつながる感じがこの絵にもある。遠目で見ると、うむっとなる不気味さよ。大原好みか。

そんなわけで4月4日まで。オレ的にはコーネルの箱が収穫だったな。
http://www.nact.jp/exhibition_special/2016/hajimari/

|

« 2016年3月 | トップページ | 2016年5月 »