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2016年4月 2日 (土)

「はじまり、美の饗宴展」(国立新美術館)

倉敷の大原美術館のコレクション展。うーん、大原美術館は一度行ったことはあるのだが、ずいぶん昔なのでほとんど覚えていない。会期終了スレスレで駆け込み訪問。

最初は「古代への情憬」コーナーってことで古代オリエントもの。ガラクタしかねえなあ……なーんつって、ほとんど興味ないもんでよく分からん。せっかく情熱と審美眼と大金をもって蒐集したものをガラクタ呼ばわりはヒデエと思うだろうが、鑑賞者は身銭切ってんだからそんくらいワガママでいいと思うぞ。

で、「西洋の近代美術」コーナー。いきなりエル・グレコ「受胎告知」。いかにもグレコらしい色彩と人物歪みっぷりの傑作。マニエリスムだっけか。それからセガンティーニがある「アルプスの真昼」。アルプスの印象派。細かい原色キラキラ系で明るく描かれたアルプスの高原。損保ジャパンで結構見たけど、この人は名が知れて人気定着してもよさそうだよな。それから有名どころはいろいろいるが、うーん、ヒットまたは2ベースヒットぐらいでホームラン級はない。ホドラー……木こりだな。マネ……うむ、モロー……ううむ、モネ「睡蓮」お、これは定番だがなかなかいい。水面が水面らしいぞ。小ぶりだけど。ルノワール……ぶわっとしてるな。ゴーギャン……タヒチってる。ロートレック「マルトX婦人-ボルドー」は珍しく油彩ですな。マティス……ううむ、モディリアーニ……よぅモディ。デ・キリコ「ヘクトールとアンドロマケーの別れ」これも定番ながらそこそこ。

「日本の近代洋画」コーナー。青木繁「男の顔」天才が描く渋くデカく暗い画面の顔だ。児島虎次郎「和服を着たベルギーの少女」うむ、これは広告に使ってたヤツか。ニッポン印象派みたいで、きれいどころでなかなかよい。岸田劉生「童女舞姿」これ冷蔵庫もとい麗子像だよな。もちっと顔デカい方が麗子らしい。佐伯祐三……お、おう。藤田嗣治「舞踏会の前」これはなかなかイイ。藤田印の乳白色裸婦がたんまり。客の注目度も高い。熊谷守一「陽の死んだ日」そうかこういう絵を描くのか。こんど熊谷守一美術館に行ってみよう。関根正二「信仰の悲しみ」二十歳で亡くなった天才だそうで、福島泰樹の短歌絶叫で名前を聞いた。曰く「ヴァーミリオンたらりと唇より滴らせ関根正二も死ににけるかな」。そうかこういう絵を描いた人か。福島好みの村山槐多と同じ匂いがしにけり。梅原龍三郎「竹窓裸婦」えっと、この人はナビ派か? つまりゴーギャンの影響受けてる? つまり要するにちょっと普通と違う緑色の裸婦なんだが。古賀春江「深海の情景」……ナイスな幻想画。

「民芸運動ゆかりの作家たち」コーナー。棟方志功「流離抄板画柵」色と歌のコラボがよい。モノクロ「二菩薩釈迦十大弟子板画柵」も代表作。一人一人の個性が冴える。あとはまたガラク……じゃなくてバーナード・リーチの器とかだよ。

「戦中期の美術」コーナー。松本竣介「都会」ブルーな感じがいいね。絵画はやっぱ色彩だよ、色彩の音楽だよと言いたい。ピカソ「頭蓋骨のある静物」ほほー、こういうベルナール・ビュッフェみたいなもんも描いてたんだ。

「戦後の美術」コーナー。ジョゼフ・コーネル「無題(ホテル・太陽の箱)」。コーネルの箱は草間彌生の本で知ったが初めて見た……わけではないと思うがマジマジと見るのは初めてだ。これがコーネルの箱か……確かになんかすごい、風格というか、雰囲気というか、ハンパじゃねえ空間になっている。草間がコーネルから求愛電話されまくって迷惑してもこのド変人とつきあってたのは、やっぱりこの素晴らしき世界あってこそなのだ。フォンタナのキャンバス切りあり。ロスコあり。河原温の珍しい油彩「黒人兵」。キャンバスの形が妙でよい。

「21世紀へ」コーナー。福田美蘭「安井曾太郎と孫」。まず安井曾太郎の「孫」があって、隣にこれがあるのだが、曾太郎が孫の前で孫の絵を描いているところを曾太郎風に描いてあるという面白い絵。福田美蘭は非常に好きだが同時に嫌いでもある。元の題材があり、それを料理する手腕と着眼と作品は素晴らしいんだが、逆に元ネタがないと何もデキんヤツみたいで、オリジナリティ至上主義の私にゃどうも嫌な感じがある。そうだな……元ネタを科学的に料理してドヤ顔してる「空想科学読本」みたいなもんか。まーあれは本自体もあんまし好きではないが。えー、あとはデカいのいろいろ。セレクションの筋もイイ感じ、ですよね。花沢武夫「レッツ グルーヴ(聖アントワーヌの誘惑)」はナイス。この題材でちょっとユルい。上田暁子「記憶の花脱いで」毒々しい巨大な花を脱ぎ捨てて……というかその花がインパクト強い。谷保玲奈「繰り返される呼吸」金魚や花などきれいなものをギッシリ集積させるとどことなく不気味で気持ち悪い世界になる。大原美術館はレオン・フレデリックのデカいのを所有していたはずだ。あの裸体でびっしり埋まった世界の異様さにつながる感じがこの絵にもある。遠目で見ると、うむっとなる不気味さよ。大原好みか。

そんなわけで4月4日まで。オレ的にはコーネルの箱が収穫だったな。
http://www.nact.jp/exhibition_special/2016/hajimari/

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