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2016年5月21日 (土)

ルノワール展(国立新美術館)

8月までやっているのだが、若冲フィーバーに人々が気を取られている隙に行っちゃうのさ。なんたって超有名な「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」が来ているのです。オルセーの現地で見たよ……って人もいるだろうし、オレも見た……んだけど、目撃したって程度なんだよね。何しろ印象派の部屋はオルセーの中でも終盤で、途中アングルの「泉」だの、モローの有名なヤツだの超デカいコルモンの「カイン」だの、超ド級のヤツがバカスカあるので、終盤にはもうヘトヘトになってしまい、「あールノワールだー」ぐらいしか思わんかったのです。

冒頭に良さげなの2つ「猫と少年」珍しく男性ヌード、「陽光の中の裸婦」これはよく見るんで西美の所蔵かと思ったらオルセーだった。文字通り野木漏れ日浴びてる裸婦な。それからいろいろ肖像画がずらっとあるが、なんか知らん人ばかりだしどーでもいー感じがするな。モネの肖像は風格があってなかなかいいな。それから風景画。ルノワールってあんまり風景描いてる感じがしないんだけど、そこそこ数があって、モネとかと一緒に描いてたらしい。可もなく不可もない印象派みたいな感じだけど「イギリス種の梨の木」のぶわぶわっとした雰囲気は、他の印象派にはちと無いような。あと「アルジェリア風景、野生の女の谷」は初めて見る、明暗のコントラストというか、外光で明るいってだけじゃないのがいい。

次に年表があって(見てねえ)、いよいよ「”現代生活”を描く」ってことで、まず時々見る「ぶらんこ」はおなじみ陽光の中、これ何度か見たな。「アルフォンシーズ・フルネーズ」は肖像で顔はちとヘンだけど、ルノらしい一枚。それから目玉の広い展示空間で、いきなり「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」おおっ……こんなデカかったっけ? 記憶の二まわりぐらいデカいんだけど。オルセー全体がデカかったのか。本物は2度目ぐらいだが、印刷物なんかで既によく知っているので、いかんせんそれ以上のインパクトがない(ちなみに最もインパクトを受けたルノワール作品は六本木で見たフィリップスコレクションの「舟遊びの昼食」だな。あれは見てブッ飛んだぞ)。ううむ……単眼鏡で細かいところを観察。なるほど筆あと結構あるんだね。うむ、遙か昔、実家住まいの頃、二千ピースのジグソーパズルやったんだけど、この絵なんだよね。あれどこに飾ってあったかな……ってなことを考える。広い空間の反対側に、この絵と対峙してダンスの二つの絵がある。「田舎のダンス」「都会のダンス」。いずれも縦長で男女一組が踊っている。都会ほうの娘はユトリロの母ヴァラドン、田舎娘はルノワールの伴侶だって。うーんルノ好みなのかルノの伴侶は、体型が紡錘形というか腰デカいというか、白キンギョみたいというかですな。空間を囲むように展示コーナーいろいろ。映画の中のパリのダンスホールの映像「恋多き女」の舞踏会風景はまさにルノの絵そのままの感じで面白い。しかし勇ましく歌う男がモンティ・パイソンの「木こりの歌」っぽく見えちゃう(知らん人は別に大したことじゃないんで追求しなくてよい)。「フレン・カンカン」と「ナナ」の映像では、例のカンカン踊りってんですか、スカートたくし上げて脚振ってるヤツ。うーん、よく見ると……なんかマヌケな感じの踊りだよなぁ……そうでもない? それから舞踏会とはどんなもんか、というような絵。ここにはコローの「ニンフたちのダンス」があり、コロー風景の中に踊るニンフがちょと神秘的でイイ。ダンスホールとかの展示ではゴッホがある。「アルルのダンスホール」ほほう……最初見た時、ゴーギャンかと思った。クロワゾニズム……だったっけな。それからパリの社交生活のコーナーで、私の好きなカリエールがある……が、例のセピアの神秘的な雰囲気で「舞踏会の装いをした女性」……って、何か合わねえなあ。モリゾも「舞踏会の装いをした若い女性」でこっちは仕事キッチリな感じ。

広い空間を抜け、デッサンコーナー。意外とバカにできないぞ。「椅子に座る娘」のサンギーヌ(赤いパステル)で描いたのは非常にいい。「水のほとりの三人の湯女」はデッサンながら大きくてなかなかの完成度だ。次に子どもたちを描いた絵のコーナー。ここで好きなのは「ジュリー・マネの肖像」モリゾの娘らしいが、このシャープな線で顔が描かれた肖像画、結構好きだぞ。あとは「道化師(ココの肖像)」。絵は普通なんだけど、ここココって男の子は、ルノ60歳の時の子供だって。マジすか? なんでそんなパワーがあるんです? それから花の絵がいくつかあり、「ピアノを弾く少女たち」確か前にBunkamuraで見たよな。でも実はこれも傑作中の傑作。色の調和はムーラン以上だと思うんで、オレはムーランよりこっちのほうが好きかな。

身近な人たちの絵と肖像画ってことで、ここには「座る娘」ううむ、何か胸デカいな。ピカソみたいな絵があるなと思ったらピカソだった「白い帽子の女性」。

最後は裸婦大会。晩年の傑作「浴女たち」がある。顔の小さい、腰のでかい、肉の、ブタの、三段腹の……いやいやそんなひどくないが、とにかくこれを描くのはリウマチに耐えつつ数ヶ月がかりだったという執念の作品。ルノワール美女の到達点……が、これか、うーん、なんかキレイというより体型へのこだわりがスゲエ。これを見てルーベンスも納得だろうと言ったとか言わないとか。

期間は長いが混むかもしれんので早めに行っとく方がいいと思うよ。
http://renoir.exhn.jp/

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