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2016年5月 2日 (月)

横井弘三の世界展(練馬区立美術館)

ゴールデンウィークだからって混んでるのは嫌だっ。若冲展行くなんて狂気の沙汰です(行きたいが)。すいてるところに行こう。そうだ練馬のこれに行こう。多分すいているだろうと思ったらやっぱりすいてた。しかしすいてると思ってナメてはいかん。この人、まだ全貌が分かっていないみたいなんで、単に知名度がないってだけなんだぞ。
日本のルソー(つまり素朴派の大家)となっているが、既に1971年の時点でそう呼ばれていたみたいなんで(当時のananに出ている)、今回の企画のためにそう呼んだわけじゃないんだな。膨大な作品数ながら本人はあくまで素人画家の立ち位置を取り、素人の(いい感じの)稚拙さを持ち続けている画家と評価されていた。こないだ高島野十郎を見ただけに、あの写実の緊張感から一気に脱力した感がある。

しかし……うんマジ稚拙だ。この場合何を持って稚拙かというと、画風が安定していない。普通画家は自分の画風を確立すると、それから外れないようにがっちりそれをキープしつつ発展させていくんだけど、弘三はそれがない……みたい。これ、あえてやっていなくて、自分の描きたいものを描きたいように描く。という、素人スピリットのほうを守ってやっているのだ。

最初のほうにある「教会」なぞ厚塗りのルオーみたいなことやっている。驚いたのが「ビーデの生花」、花瓶の下の木のテカり具合がえらい写実的なんだけど、その上の生花は、なんか下手だけど一生懸命描いた感じのもので、そのハイブリッドな異様さか目に付く。これが稚拙の稚拙たるゆえんで、単なる下手と違う。あと関東大震災の復興児童に自分の絵を送る、というようなしょーもない、もといそれなりのことをしていて、その子供向けのおもちゃの絵とかある。

とはいえ二科展に出ていたがなんだかんだで中央画壇には反発していて、自分でアンデパンダン展(無審査展)を企画しちゃったりして、結構反骨的なところもある。鳥瞰の風景がいくつかあり、例えば「志賀・丸池風景」なんか野十郎の干潟の鳥瞰のリアルっぷりと比べると180度違う。ユルユルってほどではないが、緊張感が無い。すまん、ボク野十郎のが好きです。「輝く夜景」はなかなかいい雰囲気を持っているね(と描いててどんなんだか忘れた)。「白髭橋」は中央にいるのが何? 牛車か? よく分からん。肖像「清水憲一氏肖像」ああ、これ、アレだ、川端龍子……じゃなかった片岡珠子のヘタウマ人物画みたいだ。

「パンを食べる子供」の子供がかわいくねー この人カワイイカワイイ系のやつあまり描かない。そういえば最初のほうにあった風呂でゆであがっている子供の顔もなかなか面白かった。「天女像」お、これいいんじゃない? バランスよくて。「大日如来」この笑顔っちゅーかエビス顔っちゅうか。如来がエビスってのもナンだが、こういうのは大日如来様も喜んでくれそうな気がする。「心象(雷鳴後の心理)」は抽象画っぽい。「童心風景」の雲がシュールである。実際の風景に混じって、幻想やシュールがちらほら見えるのは、超現実好きには嬉しいところ。その幻想もので一番冴えているものが「月夜の踊り」これはちょっとエルンスト入ってんじゃん。「童心的仏像」もカオがファンキーだ。「波と松」は抽象画風。「故郷のスターマイン」これはなかなかいい。渋い風景を飾りたてるド派手な花火。「大木を楽しむ」というのが特別出品で、3月の「なんでも鑑定団」に出たらしい。自画像いくつか。ポスターのスイカ食ってるのもあるが、ここは一番左の妙なリアル系のヤツがお気に入り。あとヘンなのがいろいろあり、「人物」は瓜とカボチャで顔なんか作っている。「釣り道具人物」は文字通り釣り道具で人を作っている。あとは渋ゴッホみたいなひまわりが多かったりして。それにしても……絵に緊張感が無いせいか妙に眠い。

あとはフリーペーパーが展示されているが、まともに読んでいるととても時間がかかるので読んでません。それからファンクラブというか、顕彰会の「オモチャン会」(オモチャンって何かは現地で知ってくれ。書くのが面倒じゃ)の紹介で終わり。

目黒でやってる高島野十郎と比較するのも面白い。
http://www.neribun.or.jp/web/01_event/d_museum.cgi?id=10287

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