« 樹をめぐる物語(損保ジャパン日本興亜美術館) | トップページ | もっと知ろうよ! 儒教(東洋文庫ミュージアム) »

2016年6月 5日 (日)

熊谷守一美術館

実は家から自転車で行けるほどの近さにありながら、今まで一度として行ったことがなかったのです。「三十一周年展」やってたので行ってみたのです。
入ると一階にカフェがあって、コーヒーのいい香りがするんですな。感じとしては弥生美術館なんかに近いですかね。

一階の展示室から。油彩。うーん、この人の絵をまともに見るのは初めてかもしれん。小さめの絵が多い。最初に自画像。次の「夕暮れ」というのが二重丸で抽象っぽいんだけど、塗りがキッチリしていて。いいマチエールですっ。絵の具の筆跡のテカリ具合というもんがね、これは印刷や画像じゃ分からないぞ。シンプルな描線と平面的な塗りの作品が続くが、いきなりフォーヴというか荒っぽい描線の作品が出てくる。どうやら最初はこういう路線でいって、途中からシンプル線と平面塗りに変わったようですね。ま、フォーヴといっても原色ではなくて、色は普通。あくまで描線の荒さで。「式根島」なんてこれ指で描いてるんじゃないのかね。「水郷風景」や「松原湖」は遠目で見ると、リアルな感じが分かるぞ。うん、ヴラマンクほど技は感じないけど、いい感じなのは分かる。「風」なんていうのもイタリアン印象派みたいで、外光じゃ原色じゃという明るさにこだわらない、おとなしめの印象という感じだ。虹もいいよな。でも、この絵はすごい初期みたい。

二階の展示室も、シンプル系とラフ系が並ぶ。特にラフ系は「百合」だの「ハルシャ菊と百合」だの「顔」だの裸婦だのはラフラフで、もはや遠目で見ても何だかよく分からない。こういう場合は抽象モードにして、これは気分を描いた抽象画だと思って見ると、うん、まあなかなかだ。このフロアのメインは大きめの傑作「某婦人像」。ラフ系なんだけど、これはちゃんと写実っぽい印象で描いている。何より、この女性像、妙な存在感があって、大抵の人は見ただけで「うむっ!」となってしまう迫り方をしてくるぞ。

三階もある。ここは書と墨絵。書のユルさは先日の横井弘三を彷彿とさせるが……まー、これは横井のがユルさにおいて勝ってるかな。それより墨絵の「夏」の最小限な描線での表現は見物です。「三日月」なんかもいいね。ミロの絵で余白が多いやつがあるが、それと同じっぽい印象だ。あと、通常この三階は貸しギャラリーで、通常は熊谷ではない人の展示をしているようです。

あと、ここは熊谷の自宅だったようで、イーゼルだとか、チェロだとか、そうそう食卓テーブルを削った作品とか、立体ものとか、絵だけじゃなくてそういうのも豊富に並んでおるよ。
http://kumagai-morikazu.jp/

|

« 樹をめぐる物語(損保ジャパン日本興亜美術館) | トップページ | もっと知ろうよ! 儒教(東洋文庫ミュージアム) »