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2016年6月19日 (日)

声ノマ 全身詩人、吉増剛造展(東京国立近代美術館)

えー、実はわたくしは詩の世界にも身を置いており、詩を書いたり、詩を人前で朗読したり、ついでに、観客から「お題」をもらって、その場で「即興詩」をいきなり口にする、というパフォーマンスもしています……いやいやそれ「詩」というレベルのもんじゃねぇよという方も多々いると思うんですが、でもまあ、口に出したことを字に書き起こせば、まあ一応、詩と言えんこともないよなあ、ぐらいのもは創る自信がございますですよ。
んなわけだから、よく行ってる近代美術館が詩人の展示やるってんだから、これオレ様が行けば無敵じゃん……と勇んで行ったんですけど、えー、すいません、わたくし、詩を書くことはあっても詩はほとんど読んでないんです。中原中也ぐらいは読んでますが。吉増剛造、知りません……じゃあダメじゃん! はいダメです。少なくとも、基本的に、多少は事前にこの人の詩を読んでいった方がいいです。丸腰じゃボケーと見てるだけで終わります。

……ってなことは一応想定内です。まあ、目的はパフォーマンスだしぃ、2時からだしぃ……1時頃行くかぁ。で、行きがけに気づいたが、「先着100名 要整理券 整理券は10時から配布」って。え? もしかして100名越えたら入れない? ヤバいじゃん……ってか、なんでこんな情報今の今まで見落としてたんだよっ! 自己嫌悪の極みでうああああで……ツイッターで見たら、既に「滑り込みで整理券ゲット」なとと書いてある。ナニ今の時点で滑り込みダト? ……じゃあダメじゃん! はいダメ……じゃなかった。行ったら整理券番号128番。なんだよ100人越えても入れてくれるじゃん……やれやれ。 

で、先に展示を見ますと、日記だの覚え書きだの、なにより大作「怪物君」(という作品)のナマ原稿! これは、きっと、ファンには垂涎。加筆修正の跡も生々しく多いしね。おっと抽象画みたいなのも並んでますよ。オレ的には、銅板に刻んだ作品が視覚的に面白かった。あと映像。個人で見れるビデオ映像集。これがまた、1つ2、30分のが数作あるけど、なんかしゃべくりながら撮ってるヤツ。うん、とてもじゃないが全部は見れない。録音したカセットテープ「声ノート」がずらっと並んでいるのは壮観。それにしても……気のせいか、いや多分気のせいじゃないと思うけど客層が普通の美術展と違う。あの、詩をたしなんでいる人の雰囲気ってのかな、「東京ポエケット」っていう詩のマーケットイベントがあって、今年も7月始めにあるんですけど、あの人々の雰囲気って感じがするするするよね……あーなんかでもアウェー感がひしひしする。嗚呼こんなはずでは……ってなことやっているうちにパフォーマンスタイムが迫る。

整理番号順で100番越えで入ったところ……なるほど、100番までは座れるけど、それを越えると立ち見なのね。主役、吉増剛造氏本人、既に中央に座っている。しかも既にマイクに向かってごにょごにょ言ってるけど、内容が結構面白くて、ノートの罫線がケイコちゃんでとか何とか(←面白くてとか書きつつ覚えてないのかよ)で、あーなんかこれ、「思考ダダ漏れ」みたいな感じ? でもなんか、ちゃんと詩人の言葉になってるんだよね。あと彫刻家の誰それさん手作りのハンマーを持っていて、そこらのものを気分の赴くまま叩く。競演は「空間現代」という三ピースバンド。
で、始まって、このバンド、リズムが複雑でアンビエント……じゃないよな。調べたらマスロックって言うそうです。要は単純な縦ノリのなんたらビートじゃなくて、もっとアートっぽい感じがする凝ったリズムの。えええYouTubeででも見てくれ。そのバンドの音が結構デカい……もんで、剛造氏の声も対抗して意味不明な絶叫系になってくる。時々音が静かになると、ごにょごにょ系の面白テキストを読み始める。しかしすぐバンド音。うーん、静動のコントラストはいいんだけど、バランス的にもう少し「静」が多い方がよかったですねえ。終盤は剛造氏、疲れたのか音楽に身をゆだねる気分になったのか、ハンマーも叩かず、ほとんど何も言わなくなっちゃった。でも、面白いことに、詩人というものは、そこにいるだけで詩を放つのだ。

で、ここでオレにしか書けないであろうことを書いちゃうと、経験上、っつーかまあ、わたくしの経験などタカが知れておりますが、あー一応参考にね、ステージ上で詩作品として何か言う時はテンションが上がっているというか、ある回路を通した言葉を出してる感じがします。日常の言葉を出してるのと違う経路で言葉が出てきます。それを通すと、何を言っても作品になります。なるんです。でもこれ、わたくしテンション上げないとできません。しかし吉増剛造氏、ビデオ撮ってても、ステージ上で開演前になんかしゃべっていても、ニュートラルでその回路をオンにしている。んー人に何かを頼む時だけ回路を切っているかな。そう、これまさに「全身詩人」ではあるまいか。

パフォーマンスのあと、アフタートークショーがあったんだけど、なんか立ってんの疲れたんでリタイア。でも値段分は元を取ったぞ。
http://www.momat.go.jp/am/exhibition/yoshimasu-gozo/

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