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2016年7月10日 (日)

「石内都展 Frida is」(資生堂ギャラリー)

えー、わたくし写真展ってのはほとんど行かないんですけど。どのくらい行かないかっていうと、篠山紀信でもライアン・マッギンレーでも行かないのです。この石内都展に行ったのはもちろん対象がフリーダ・カーロだからです。はい、フリーダ・カーロ博物館を見に、治安もよくない上に言葉もロクに通じないメキシコへ行った二十代最後の年……ってもう二十年ぐらい前なのかよっ。で、去年、この石内都がフリーダ・カーロの遺品を撮影したドキュメンタリーを見ました。今でもあちこちでちょくちょく上映されてるみたいです。だいたいフリーダのファンはフリーダを崇拝しているのですが(含む俺)、石内氏は一歩引いてあくまでフリーダの生きた様を写真におさめようと冷静にカメラを向けるわけです。すごいプロフェッショナルです。印象的な台詞、写真がちゃんと撮れているかの確認で「はい、写ってます。フリーダがいます」。そうか、いるのか……とまあ映画ではそんなに写真そのものは出てこなかったんですが、あれから約一年、かの写真が銀座で見ることができるっ……てんで、行ってきた。

正直……いやショージキ見るまでは、遺品の写真なんぞで、その人に迫れるもんかなー……とナメてかかってたんですがね、うん、ギャラリーの階段を下りて、踊り場の写真4つ、ま、これはなかなかセンスいいね、ぐらいだったんだけど、その下さらに降りて、一枚目の義足の写真で「うおっ!」となってしまった。いや、フリーダが義足使ってたのは知ってるし、この写真もチラシとかでチラ見はあるんだけど、目の前でのこう、バッチリ撮ったのが出ていると、うわ、ここまで撮っちゃってるの、という、なんかこう赤裸々にやられた感ハンパないです。手術で足切断したのだ。しかし、赤い靴がけっこうおしゃれなのだ。隣がなんだっけ、テワナドレスだったかな。こういう色のセンスがすごくいい。ワタシはこれ好きで着てましたって主張。隣の隣、映画にも出ていた、靴下を繕ったやつ。すごい、使っている、その隣の、コルセットもいかにも愛用品で年期入っている。あーなんか確かに汗かくとこれ痒そうだなあ。隣はこれアンダーウェアー……だよな。ちょっと黄ばんでる感じがするが。してみると、見えないところは着心地のいい愛用品を破れても繕ってちゃんと身につけてて、外見はあくまでおしゃれにーという生き様が見えてくる……ような。そうそう靴があって、これも年期入っている……っていうかこれ左右大きさ違うのね。左右で高さの違う靴の写真もあったしね。切断前でも左右の足が異なっていたのですよ。あと、皿とか薬の瓶とかの写真もあり、愛用していたのか、倉庫に保存しているうちに劣化したのかちょっと分からないが。うーん、してみると、物の写真って、こうも使用者を浮き上がらせるのかー と感心してしまう。いや、写真家もうまいんでしょうなあ(すいません比較対象がないので)。

出口に石内都の写真集「ヒロシマ」があったんですけど、これも同じ遺品を撮影している。もちろん原爆のね。ちょっと立ち見したが、うああああすげえええ……な感じ(?)に写っている。日用品が原爆でこんなになってしまうのかよっ。ううむ、これ見たら確かに、フリーダの遺品を石内に撮ってももらおう、って気持ちになるよなあ。

ところで雨の土曜にわざわざ銀座をウロウロしなくてもよかったんですが、やっぱり先週の折元立身からの流れで行きたかったのです。よく分からんパフォーマンスを主体としたフルクサスに対し、そこにリアルな生活から生まれる感情を持ち込んだ折元。一方フリーダはシュールレアリズム的な表現にもかかわらず、やはり自分の身体や心情といった凄くリアルなものを作品に持ち込んでいる。いずれもそうした部分が他にない力強さをもたらすんだな。
しかし銀座はあいかわらず中国人ツアー客だらけだな……
http://www.shiseidogroup.jp/gallery/exhibition/

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