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2016年9月 4日 (日)

木々との対話 -再生をめぐる5つの風景-(東京都美術館)

「木と再生」がキーワードなんだけど、木の絵とかじゃなくて、木そのものを使った木彫とかです。木に対するアプローチがそれぞれ違うし、作品そのものもイケてるもんで、普段絵ばかり見ているオレでも楽しめた。

最初は土屋仁応(よしまさ)、木彫の動物。彩色しているとは書いてあるが、そこは十分木の肌を生かしている感じで。とにかく肌合いがスベスベしていて、艶めかしささえ感じるじゃん。「子犬」なんてマジ子犬でよ、子犬好きにはタマランのではなかろうか。「縞猫」なんかもネコネコしている(?)ぞ。「森」も彫り方すげえべ。で、現実の生き物だけじゃなく、想像上の生き物もある……が、実はこれ結構厳しく難しい。想像上だから好きに作りゃいいじゃんと思うかもしれないが、人間の視覚というか、認識力ってやつは、意外と「その動物の形態が動物学的に理にかなっているか」を見抜いちゃう……気がする。いや、ヘンな形態の生き物ってのも世の中にいるんだけどさ。んー、つまり「ユニコーン」を見た時に、あれ、この角はこの位置でいいんだろうか、もう少し後ろじゃないか、とか思ってしまったわけですよ。これが稚拙な絵画であったら普通に「あーユニコーンか」という感じで普通に見れたろうけど、なまじ精巧で生き生きしてるもんで、脳の動物学的認識もそのレベルを要求しちゃうわけです。いやしかし「動物学的に理にかなったユニコーン」ってあるのか? そもそもユニコーン自体が動物として存在しない以上、理にかなった形態もないんじゃなかろうかと思わなくもないが。同じことは「竜」にも言えるが、こっちはまだマシな印象でしたな。「鳳凰」もちょっと苦しい。尻尾の羽根がね、太い線だよね。いや、木彫とすればかなりのレベルだと思うんだけど、胴体とかリアルにできてるもんでどうしても尻尾も羽毛の集積レベルを要求しちゃうんだな。あと「麒麟」もいたぞ。

次は田窪恭治。木の廃材……枝ついたやつを金箔コーティングして、ちょっと格調高い感じの立体に。廃材の芸術的再生。ワイヤーを使った「イノコズチ」というのが緊張感があってよかったね。この人、今は建物再生とかやってるみたいなんで、出ているのは前世紀のヤツね。外にもイチョウの木を使ったのがあるらしいんだけど……いや、外に出て見つからなかったから結局見れなかったんだが。

次は、國安孝昌、材木使って組み合わせる大規模インスタレーション。一度新美術館で見たかな。別に動くわけじゃないんだが、部屋いっぱいで、いったい何日かけて作ったんだ、という感じのスケール。しかし中に入れないで外から見るだけってのが惜しいね。中に入って囲まれたいよなあ。

次は須田悦弘、「バラ」というのがあって、壁にくっついているが……うわっ、本物そっくり。楠を削って彩色して作っているんだけど、その薄さといい、虫食いっぷりまで精巧極まりない。壁にさかさに固定されているので、作り物と分かるが、逆に自然に置いてあれば本物と思ってしまう。荒削りなインスタレーションとの対比。で、他にも「ユリ」と「雑草」が会場内にあるんだが、分からない。監視員に訊いて分かった。ユリは壁の高いところ、雑草は手すりから身を乗り出して見下ろしたところなんだな、ユリは一応彫刻っぽく見えるが、雑草に至ってはそこに雑草が生えてるとしか見えない。他、会場を出てラウンジに「朝顔」、美術情報室に「露草」と、会場を出てもお楽しみがあるど。見つけられるかな。

最後はおなじみ船越桂のおなじみ人物……というかもうここまで来ると、人物の気に入ったパーツを集めて作る人物っぽいもの。長い首、乳房、太鼓腹、手足は略、そのかわり椅子の脚みたいなので立ってる。最新の「海にとどく手」でますますそのこだわりっぷりが発揮されていて、見ている方は年々行く末が楽しみになってきますな。あと、不思議なことに、このこだわりになんとなく共感するというか、ああそうだな、こういう感じイイよな、と思ってしまうところが船越マジック。ドローイングもちょっとあるよ。

うーん、なかなか面白い。探しものもできるから子供でも楽しめるんじゃないか。
http://www.tobikan.jp/exhibition/h28_treesofllife.html

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