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2016年10月 9日 (日)

朝井閑右衛門展(練馬区立美術館)

ここは家から割と近いもんでよく行ってるのだ。で、朝井閑右衛門って誰だ? 1920年代から活動してる。サブタイトル「空想の饗宴」って書いてあって、写実(本物そっくりというわけではない)と空想を行き来したようなしていないような。

入ると年代順で、最初はフォーヴみたいな。そうかこの人フォーヴ系かって感じで。でも色がチョコレートケーキみたいだな。「東京十二景の内」で夜景のがなかなかいいね。それから「丘の上」というのが文部大臣賞取った出世作だそうで、これがまあデカい。群像。女性が踊っていたりしているが、あんまし踊っているように見えない。でもスカートのひらひらがなんとなくいいな。「ロリルの踊り」って絵も踊ってるように見えんのだが、もちろん意図的演出だろう。

上の階に行って、戦時中の蘇州とか描いてる。「豊収(誉ノ家族)」ってのが、これは一応戦争画というか、父がいわゆる英霊になったところの母子。子どもが画面に対しシンメトリーになっているところが計算と見た。一見普通の景色にこういう意図が入ることで、何か普通でない感じを起こさせる。戦時中なもんで、この場合は、聖戦に貢献した英霊を出した家族は格が上ってことでしょうかね。なにそんなの気に入らない? 当時は戦意高揚とかでそういう絵を描くのがアタリマエだったはずなんで、芸術性はそれはそれでキチンと取り出して評価して鑑賞しなければ(当然こういうのに国境も右左もなく、たとえキミが気に入らなくても韓国の慰安婦像などは結構芸術性の高いデキだったりするんだお。作者に与えられた情報、それが嘘だろうが悪だろうが、それが作者にインスピレーションを与えることができれば本物の芸術は生まれてしまうのだよ。だから国家のプロパガンダに芸術を使うのは常識だし、逆に反政府のイデオロギーに芸術を使うのも同じくらい常套手段なんだお。まあ戦争画の再評価が進む昨今、そういう話はよく聞くと思うが)。まあそれより戦後の方がやっぱしやりたいことやってる。「電線風景」という作品群が魅せますな。濃い色といい太い線といい、一見ルオーのパチモンでも描いてるのかと思ったが(ルオーは電線描かねえけどな)、何枚もやるうち発展してきて、空駆けるウネウネした抽象みたいなところまで行くんだお。次のディレッタントというコーナーで、道化なんか出ていて、そういやピエロってルオーも画題にしてたなと思ったり、ドン・キホーテもいて、これは金曜夜に見たダリも画題にしてたナイズガイだよな。巻物であるところの「過去現在因果経」はケッタイな異世界の連中が集いていとおかし。「祭Ⅰ」~「祭Ⅲ」はルオーばりの厚塗りだが、画面が明るいですね。

次の部屋へ移動し、「大相撲蔵前画巻」……なんか普通のデブだな。交流のある人々の似顔絵があって、草野新平とか三好達治とか、どれもなかなか味がある。それからアトリエについて。閑右衛門は一人で過ごすアトリエにえらいこだわっていたそうで、自分のお気に入りのものをどこにどう置くかまでこだわってこだわってこだわり抜いていたそうな。で、作品を作る時は人を入れなかったんだってお。アトリエの写真が何点かあるけど、うむ、こりゃなかなかだ。あと絵では不動明王何点か。これ署名せずに人にあげてたんだって。終盤の油彩「牡丹」「薔薇之図」「薔薇(絶筆)」いずれもメチャ盛りの厚塗り。悪くないお。

混んでないからゆっくり見ようぜ。一応展示替えもあるようだ。
http://www.neribun.or.jp/web/01_event/d_museum.cgi?id=10327

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