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2016年11月20日 (日)

「拝啓 ルノワール先生」(三菱一号館美術館)

よう、ウメリュー。
梅原龍三郎といえば、ジャパニーズフォーヴだよな、とか思っていたもんで、ルノワールと交流があったなんて思いもよらんの。その交流にスポットを当てた企画。強気の1600円……これでか? なんか会場結構スカスカに見えるんだが。もっともここは建物がダダッ広くて、通路移動も多いし(まあ、そこが面白いんだが)、自動ドアも多い。光熱費だけでバカんならないと思う。

若きウメリューはフランスでルノの絵を見て、これぞ自分が描きたかった絵だとかなんとか思って、大家のルノワールにアポなしでいきなり会ったそうである。それから交流が始まった。というわけで、ルノの作品とルノ風のウメリュー作品が展示されてるわけだ。ウメリューの「はふ女」なんぞはつくづくルノ風だねえ。這う女だけどね。ウメなどの言葉がところどころにパネル展示されてる。会う時は「私が彼にふさわしいと彼は知らねばならぬ」とかなんとかストーカーみたいなこと考えてたりする。ウメはルノ風だけじゃなくて、グレコ風に引き延ばし人体っぽい「自画像」とかもあって、要はあっちでの試行錯誤の時代ですな。誰でもある。一方ルノの作品は晩年のが多く、この時代の人物はちょっとアクが強くて、オレ好みじゃないんだが。でも「バラ」とかの花ものは小さくても見事じゃ。ルノからウメへの手紙なんぞもあって、そんなリアル交流してたのかと驚く。

大きな部屋には、ウメからの寄贈品でルノ以外の画家も展示。ピカソとかルオーで。この部屋はスペースに余裕があり、よくいえばゆったり見れるが、わるくいやあ、そこ言葉パネルじゃなくて絵を置いてほしいんだが、とか思わんでもないの。ピカソは晩年近くの荒っぽい奴ら。ルオーは手堅いいかにもルオー風。そういやドガもあったな。あと壷や女性像みたいな立体も。

それから移動して、ウメが影響受けた「大津絵」ってのがある。日本の江戸時代からある、宿場町大津で売ってたヘタウマ観光絵だって。なんかプリミティブな魅力だとかでその筋で有名らしい。へぇ初めて知った。確かにユルいというか、ヘタッピだけど味があるというか、なんとなく妙な魅力が分かりますね。それからマティスの「若い女の横顔」なかなか品がいい。ピカソとウメも交流があり、ピカソからウメに送った「横たわる裸婦と画家」がある。晩年ピカソおなじみの裸婦にムラムラする画家……って、これ、ピカソ絶対春画見てるだろ……っていうかそれをウメに送るところがピカソだよな。それからルオーとかシスレーとかモネとかある。全部寄託もんで三菱で持ってるヤツか。

ルノワールの死についてのコーナーというか、ギリシア神話の「パリスの審判」が2つほど。いかにもルノ好みのポッチャリ系で、これが女神なのかどうかよく分からん。がしかし、それを模写したというウメの作品が衝撃的。おい、なぜ、こうなる? 今までさんざんっぱらルノをリスペクトしといて、思いっきり路線が違うじゃねーか。と、制作年を見ると1978年。つまり、もうルノを遙か脱してフォーヴ系の自分の画風を確立した後で恩師に捧げる作品よ。ちなみにルノが死んだ後に、マティスやルオーと知り合ったそうな。それでそっちの影響の方がデカい。他にそこらにあるウメの裸婦も、時代はもっと前だけど、既にルノ風を脱出しつつある。やっぱデキる画家はこうだよな。

それから三菱のコレクションから……19世紀末のリトグラフ集の秀作「レスタンプ・オリジナル」からいくつか。ルノの「水浴の少女たち」いいよな。ロリコンでな。アクも強くないしな。あとルドンのブラックものな。ルドンでは三菱ゴジマンの「グラン・ブーケ」これってもう常設じゃね? 企画がイマイチてもこのデカい傑作がありゃあ、まあ客も文句ないだろ、みたいな。

最後の部屋いくつか。ルノの踊り子ブロンズがあり、それがある部屋を描いたウメ「薔薇とルノワルのブロンズ」ここら辺から俄然ウメのエンジンがかかってくる。ウメだけ集まった部屋があり、そこはさすがにいい。終盤にキメてきましたな。「青楓煙景」の木も空もヤバい。「南仏風景」の鮮やかな青色の使い方はタダモノではないところを十分感じとれるであろう。ここでルノも晩年より(多分)人気ある1800年代末のがいくつか。「長い髪をした若い娘」や「麦藁帽子の若い娘」などキレのいいのがあるぞ。

まあ絵をガッツリ鑑賞するというより、梅原とルノワールの交流に思いをめぐらせつつ見るのがよいのではないか。
http://mimt.jp/renoirumehara/

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