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2016年11月15日 (火)

数理にひそむ美(東京理科大学近代科学資料館)

去年アインシュタンをやった理科大だお。年に一度こういう展示企画をやるみたいですな。理科大らしく、「数理にひそむ美」というタイトルである以上、数理んとこの説明も十分あるわけで、歯ごたえ十分。数理学者の肖像画が並んでいるわけじゃないんだぜ。

最初にビデオがあって、自然界の中に正三角形、正五角形、正六角形が潜んでいるという話。三角形は四角形より剛性が高い。正五角形は頂点を結んで星形ができるが、その中にまた正五角形がある。それでまた星形が……ということで無限に続いていく。正六角形は蜂の巣がそうであるように。面積に対して最も効率がいい……ってな話。

展示は美術っぽい作品もあるが、基本はエッシャーの同じパターンを組み合わせていくというものに似てるの。概ね見たことがある感じのものなんだけど、荒木義明「カモの行列」というものが、パッと見思い切りフラクタル! ……ったって知ってる人しか知らんと思うが、自己相似形が無限に続くものなのだ。んーつまり木の幹が枝状に分かれていて、その枝の一本がまた同じ形の枝に分かれ、その一本が……と無限に続く。枝とは限らず同じ形の物ならなんでもいいんだぜっ。それで、数式から作り出す「何とか集合」というのがあって、一番有名なのは「マンデルブロ集合」というもの。その図形、どこをどれだけ拡大しても、同じような感じの複雑な模様が出現する神秘の存在。で、このカモの絵はそれに印象が近い。あと、一番驚いたのは、前川淳「樹状分岐円錐」。正方形から折りまくって分岐する枝の造形をするバカテク。この前川氏の折り紙の本があって……おお、この本買いたいな。

それから結晶の模型とかある。結晶の模型を隙間無く積み上げていくことにより結晶の構造を説明するブロックみたいなものとか。これ手でいじれるぞ。あとは何があったかな。トーラス(ドーナツ型)を切った造形。あと数理的な解説がいろいろあったが、さすがにムズい。数学的模型……あのう、杉本博司が写真に撮ってたヤツな。そんな感じの立体もいろいろあります。

隣の部屋で暗い中何かやってる。これがビデオフィードバック(だっけか)。ビデオカメラでテレビ画面を撮るが、そのテレビにはビデオカメラで今撮っているところのテレビ画面の映像が出ている。つまり、無限にぐるぐる光が巡っているのだが、これをやると映像は予想もつかないカオスの状態となり、安定したかと思ったら意外な形状が出現したりするそうな。生命のような感じか。解説員がいて……先生? いろいろ説明してくれるが、驚異的な展開というのはなかなか出すのが難しく、四苦八苦している模様。ただまあ、何も起きない状態でも結構色が付いたり妖しく動いたりして、なかなか生命の気配的な面白さがある。自宅でもできるかな。今の状態をもとにある条件で次の瞬間が決まる、というのが続いていくのはカオスでおなじみライフゲームと同じだと思うが、そう問いかけたところ、こっちは条件が決められているわけではないんで、と軽く流された。厳格なコンピュータ界でなく、あくまでアナログ界の存在としたいのであろうか。

隣の部屋に「120胞子星形化模型」というデカい複雑な……フレームで作ったコンペイトウのオバケみたいなのがある。説明がなかなか難しい……というか隣のビデオに注目しすぎて疲れた。あと、この部屋に何とか大学の大学生の研究展示もあり、そうそうフラクタルの何次元とか、そんなものも出ているぞ。

廊下にもいろいろあったが、カオスモスマシンという冨岡雅寛のアナログカオス模様発生装置(?)の紹介があった。そこに動画もあったが、が、ネットで「冨岡雅寛」で検索した方が興味深いものが出てくる。

展示スペースは大きくはないが、解説も豊富で、じっくり対峙して挑む価値はある。無料だし。
私としては、カオスやフラクタルがまだ死んでないことがちょっと嬉しいぞ。
https://www.tus.ac.jp/info/setubi/museum/event_data/2016suuribi/2016suuribi.html

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