« 水野年方~芳年の後継者(太田記念美術館) | トップページ | endless 山田正亮の絵画(東京国立近代美術館) »

2016年12月10日 (土)

小田野直武と秋田蘭画(サントリー美術館)

お花の蘭の絵ではない。江戸時代の秋田の絵師、小田野直武などのオランダ風(ちょい洋風)日本画だお。なかなか見る機会がないものだ。そうそう私は仕事で東北の方に日帰り出張に行って、角館の少し前まで行ったのだが結局角館にはよれずじまいで。行きたかったねえ&行きたいねえ角館。

冒頭に直武のイイやつが一枚「蓮図」。S字カーブの茎の妙な立体陰影で、Youもその世界に入っちゃいなYo! それから直武の初期、というか子供の頃の絵、というか「神農図」12歳の時の作品ってマジ? すげーじゃん。ピカソの14歳の
もすげーかったが(語彙貧困)。「鷹取鳥之図」の鷹がカッコイイよな。北斎もこんなの描いてたな。

直武はなんと、あの「解体新書」の挿し絵描いたんだぞ。秋田から江戸に呼ばれていきなり解体新書の絵を描かされたんだって。原本の「ターヘル・アナトミア」も展示中。それを翻訳し、絵は直武が銅板画を銅板画風に模写し、木版でやった。それが「解体新書」だ。やはりこれも展示中。まあ1ページだけだけどな。それから蘭学と言えば平賀源内で、源内の洋書コレクションコーナー……ええと源内だったよな。直武じゃないよな。まあいいや、「ヨンストン動物図譜」とか。そうそう装甲動物みたいなサイの絵が出てるが面白いねえ。実際はこういうのは病気のサイだったかな。石川大浪などが洋画を模した大作「ファン・ロイエン筆花鳥図模写」がデカい洋風画で見応えある。花ごってり。うーん前にどこかで見たよなこれ。

それから南蘋派の紹介。直武&秋田蘭画が影響を受けたのは洋画だけじゃなくて、中国生まれの沈南蘋って人が始めた南蘋画もあるんだって。日本では宋紫石が大家だったかな。とにかく花鳥が特徴で、花をリアルで存在感ありありで描く……って、うーん説明が難しいな。なんか独特の味があるんだよね。それが並んでます。松林山人って人もバリバリ南蘋派で、「牡丹図巻」とか、モノクロでも結構イケる存在感。佐々木原善「名花十友図」は花いっぱいだお。

いよいよ秋田蘭画本格スタート。南蘋派の花の雰囲気を導入しつつ、蘭学でゲットした立体感、遠近感などを加えていった当時の先端画風。直武がいくつもあるぞ。「水仙に南天、小禽図」の葉や茎の妙な立体感。「芍薬花籠図」では花籠の向こうに空間を感じさせる背景描画(といっても何か描いてあるわけではないのだが)。「品川沖夜図」では、曇り空の雲がイカす。「江の島図」は眼鏡絵らしく左右逆で広い空間リアル陰影と道の遠近が特徴だお。部屋を出て階段を下りたとこ。キモい虫の絵なんかもあるが、ここに直武と秋田蘭画の代表作「不忍池図」(重文12/12まで)本などで見たことあるが、以外とデカい。まさに南蘋風の花……いや、南蘋より、もっと丁寧でリアルだよな。花瓶の立体感、背景を空気遠近法(遠いものを薄く)で描くテク。そういえば画面中央左の方に巨人みたいなのがいるんだけどありゃ何だい? 高い木? 凝視したけどよく分からん。視力出ないし単眼鏡忘れたし。で、隣にはもう一人の秋田蘭画野郎、佐竹曙山「松に唐鳥図」これも代表作だよな。中央にデカく、太く、松の幹が斜めにドン! タイル張りみたいな異様な幹の立体感。普通じゃねえ。直武に戻って「日本風景図」一見どうということない絵だが、驚いたのは左側の木の枝のフラクタルぶり……ったって知ってる人しか知らんだろうけど、自己相似形が無限に続く自然界を造形する法則。雪の結晶なんかそうなんだお。それを使うとより「自然っぽい」存在感が出せる。数学(幾何)世界のものでもあって、例えば北斎の大波の絵でそれっぽい要素があるという指摘が、まさにフラクタルの本に出ていたりするんだお。直武描く枝になんかそういう要素を感じてしまう。それをつかんでいたのか直武!? この絵は期間中ずっと出ているから、Youも見てみようぜ。それから曙山「松に椿に文鳥図」好きだね太松。

展示室に入って秋田蘭画の続き。佐竹義躬(「よしみ」って読むらしい)ええと曙山の息子だっけか? 忘れたから調べたら……え? あの辺みんな佐竹なの? 他人? まあいいやとにかく「松にこぶし図」「岩に牡丹図」ってありゃりゃ……こりゃ劣化コピーか? 「円窓牡丹図」これはだいぶマシ。あといろいろあって田代忠国「紅毛童子図」ハハハヤベエぜこのガキ。

それから秋田蘭画その後。直武なんと32歳で死んじゃう。それを継いだのが、というか実際直接関係あったか分からないみたいなんだけど、我が司馬江漢(筆名のもと)。実は直武より年上。南蘋派もこなしたが、脱南蘋でよろしく。「江ノ島稚児淵眺望・金沢能見堂眺望衝立」であいかわらずよく分からないが妙な立体感で攻めてくる。自己顕示欲のカタマリみたいなヤツで、新しい腐食銅板画もやってテングになり、地動説を紹介し、蘭学者からバカにされつつ描画も極端だがやっぱしイカす。それから伝田代忠国「貼交風屏風」当時の画法いろいろで面白い。

展示替えが激しい。今日見たのは12/12までで、12/14からかなり入れ替わるって。後半行くかなあ。行きたいのは山々だが分からないなあ。リピーター半額とかにしてくんないかな。
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2016_5/

|

« 水野年方~芳年の後継者(太田記念美術館) | トップページ | endless 山田正亮の絵画(東京国立近代美術館) »