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2017年1月 9日 (月)

お笑い江戸名所~歌川広景の世界(太田記念美術館)

意外とと言っちゃあ失礼だが土曜に行ったらなかなか混んでた。そうだ明治神宮初詣ついでかな。んで、歌川広景なんて初めて聞く。まーそれもそのはずで、生没年もよく分かってなくて、広重の弟子らしいんだけど、活動年は幕末の二年間ぐらいで、その後名前が出てこない。明治になって昇斎一景という絵師が出てきて、絵が似てるんでこれが元広景じゃないかってぇ説もあるけど確証はないんだって。
それで作品はというと、「江戸名所道戯尽」五十枚がほとんど。これがなんていうか……よくできた二次創作みたいなもので、なんかちょっと特殊な感じがする。有名な「北斎漫画」の中には戯画風のオモローな絵があるんだけど、それをまんまパクって、背景については広重からパクって、合体させて錦絵にした、というようなもの。佐野研もビックリの盗用ぶりだお(当時は何の問題もない)。まーそれが全部じゃないんだけど、北斎漫画ってそんな歌川派にまで影響あったのか、とそれにまず驚く。

そんな「名所江戸道戯尽」から。「壱 日本橋の朝市」犬に魚を取られた。待てこらーってシーン。全部の絵に解説が付いているぞ。「三 浅草さ田甫の奇怪」三人の男が狸に化かされて歩いておる。とかいう……とかいうって、これで絵の内容伝わるとか思えんが、要は名所の風景と一緒に滑稽なシーンを見せているのだ。「四 御茶の水の釣人」これも解説があり、元ネタの絵も展示されている。釣り人の針に髪の毛が引っかかって引っ張られているシーン。シーン自体は北斎漫画に「釣りの名人」という同じものがあって、まんまパクって描いている。背景は広重の「東都名所 御茶之水之図」から。

「五 飛鳥山の花見」という絵があって、目の不自由な人がそれと知らずに花見の席に侵入してしまい。そこにあるものを全部ひっくり返してしまったシーン。そこにいる人は酔っているのか大らかなのか、笑ってみていると。で、実はこれだけでなく、盲人ネタが結構多い。「十八 浅草堀田源夜景」は結構ヒドくて、盲目のこじきをからかって、差し出された器にお金じゃなくてシッコしちゃうもの。いやー今こんな絵描いたら炎上しちゃうぞ。「二十三 芝高縄」これは盲人があらぬところにシッコしておいおいというシーン。「四十二 初音の馬場」これも盲人ネタで布(長いヤツ)を広げて乾かしているところに侵入し首が引っかかった。元の絵は広重の名作「名所江戸百景」から。隣にその元ネタ「馬喰町初音の馬場」があるが、こうして見ると広重の構図はやっぱ見事ですな。特に江戸百は完成形だしな。まあさておき、こうして盲人ネタがあるんだが、当時は悪く言えばてんで配慮がなくて、よく言えば大らかな感じ。花見の席に突っ込んできても「しょーがねーなー」って笑って受け入れている感がある。今の時代は、必要以上に気を使って配慮する代わりに、お前らもなるべく人様に迷惑かけるんじゃねーぞ、みたいな世知辛さを感じるんだよなあ。だいたい今時は、子供の声が騒音だから保育園反対とか、不寛容のカタマリだぜ。

さて展示に戻るが「十四 芝赤羽根はしの雪中」雪景色だな。これも元ネタありそうだな。「二十五 亀戸太鼓はし」橋の急勾配で女が転倒。つられて他の人も転倒。オモロー。「妻恋こみ坂の景」これがスゴくて、坂の途中にある公衆トイレで男が「大」をしている(顔だけ見える)。待っている付き人が臭いもんで鼻つまんでいる。下品な絵だが、錦絵なんでデキはまあキレイなんですよ。面白いのは、この公衆トイレの壁に落書きがある(相合い傘だな)。公衆トイレと言えば落書き。百何十年経っても人間は変わらないもんだねえ。この絵の元ネタは北斎漫画で、ほとんど同じ絵があるのを展示。「二十九 筋違御門うち」虫眼鏡で顔拡大でビックリ。元ネタ北斎漫画。「三十一砂村せんき稲荷」おお、これもスゴかったな。二人がかりで駕籠で運んでいるものは。後ろのヤツの肥大したキャンタマ。これも元ネタ北斎漫画を展示中……って北斎すごすぎじゃん。「三十四 虎の御門外の景」ええと、どんなシーンだったかな。侍のところに凧が落ちたんだっけ? 忘れた。メモってない。それより背景の元ネタとなった。広重江戸百の夜景がなかなか美しいんだお。あと広重の鳥瞰をパクって前景に滑稽なシーンを描いた「三十五 吾嬬の森梅見」なんてのもある。これもどんなシーンかメモってねえ。「三十七 本所立川通り景」材木を投げて渡そうと思ったら空中分解して脳ミソバーン!(嘘です) 元ネタ北斎。

んでまあ他にもたくさんあって、最後は「青物魚軍勢大合戦の図」三枚続きの大作。国芳もビックリの海の生き物戦争だお。あとは明治になって、もしやこの人? の昇斎一景が一枚。確かに似てるがこの人かな? 分かんないよなあ。それから売れっ子国貞の役者絵の背景名所を手がけた「東都冨士三十六景」がいくつか。巨匠と一緒なんで結構気合い入ってるかな。 

戯画として見るには名所絵成分も多い。広重名所絵のパロディとしても見れそう。広重絵のあの雰囲気の中で人が滑稽なことやってる。とにかく正月気分で見るにはナイスな企画だお。
http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/exhibition/hirokage-edomeisho

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