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2017年2月 4日 (土)

オルセーのナビ派展(三菱一号館美術館)

ハ~イ、ナビタイム! というわけで昨日(2/3)仕事帰りに行こうとしたが仕事が終わらず断念……したんだけど、なんと今日からだったお。これはナンだ、捨てる神あれば拾う神ありってやつか?
ナビ派というのはですね、ゴーギャンがマジスゲエやつだってんで、みんなで真似しようぜって一派です(だいたい)。ドニとかボナールとかが有名かな……っても実はオレもあまりよく知らんところが多いもんで。この企画見りゃあだいたい分かるというもんですよ。しかしこの美術館はルドンの「グラン・ブーケ」を手に入れてから調子コいてるもんで、今回もお値段は強気の1700円だお。ビンボー人にゃ懐にイタいお。

最初にエミール・ベルナールの「炻器(せっき)瓶とりんご」えーなになに、自然主義や印象派に対する反動だって。印象派と印象があんまし変わんなかったりするが、まあ輪郭とかあるから違うんだけど。まあ、あとセザンヌ風かな(静物見りゃみんなセザンヌだったりしてな)。それからゴーギャンが2つある(ゴーガンって書いてあるが)。「《黄色いキリスト》のある自画像」は、リアルな自画像と平面的なキリストと、なにやらワイルドな面の複合画面。これが概ねナビってる感じのものだお。次の部屋のポール・セリュジエ「タリスマン(護符)、愛の森を流れるアヴェン川」はなんでもナビの方向性をキメた重要作品のようだが、見たところ確かに平面的な感じで、抽象的な感じで……要するに何が描いてあるんだか分からないから考えるな感じるんだってヤツ。

庭の女性たちってコーナーで絵は文字通りなんだけど、この辺からモーリス・ドニが増えてくる。ドニは宗教テーマも書いたんで「美しきイコンのナビ」なんて呼ばれていたんだって。結構理論派だったようで、「10月の宵、若い娘の寝室装飾のためのパネル」……これ、なんかヘンじゃね? いや、輪郭をつけて平面性を強調したいのは分かるが、なんかリアルな顔の絵に卵形に太い輪郭を付けるのはやっぱりヘンだよ。あとの肖像とかで出てくるがドニはいい絵はすげーいいんだけど、理屈こねてるのかナンジャコリャみたいなのも描く。いや、思えばナビ派って総じてそういうの傾向が多いような気がする。えーと、そうそうドニの「ミューズたち」ってね、大きめのがあるんだけど、これよく見るな。西美になかったっけ? ありゃ別のか。それからアリスティー・ド・マイヨールって人の「女性の横顔」これ、いいね。金屏風みたいな雰囲気で。金じゃないけど。あと輪郭ないな。それからボナールが出てくる「日本かぶれのナビ」と呼ばれてたぐらい、平面性とミミズ描き(初期浮世絵の描線)が特徴だよな。「庭の女性たち 格子柄の服を着た女性」は格子柄が正面を向いていて平面的であり装飾的だお。

でもボナールってそれだけじゃなくて「ベッドでまどろむ女(ものうげな女)」の路線は逆にソフトフォーカスというかボヤボヤというか夢のようというか官能的というかエロいというかなんというかいわゆるボナールの裸婦。ここで、スイスからパリへやってきたフェリックス・ヴァロットン「外国人のナビ」と呼ばれシャープな画面で迫るナイスガイだお。「髪を整える女性」彩色は平面的に見えても全体にリアル。江戸末期に出てきた西洋画にハマった浮世絵版画みたいな雰囲気(国芳みたいなヤツね……いや違うか)。

長い通路を移動。先の部屋に肖像とかが並んでおる。ドニの「18歳の画家の肖像」おいリアルでうまいな。エドゥアール・ヴュイヤール「八角形の自画像」は顔が八角形なんじゃなくて(当たり前だ)、額(ヒタイではない)が八角形光と陰を平面的な彩色で。ドニの「マレーヌ姫のメヌエット」うむ、これは上品にしてウマい絵画的な肖像だな。ボナールの「格子柄のブラウス」はいかにもボナールだが絵画的すぎて肖像っちゅうか絵画だ。またボナール「ブルジョワ家庭の午後」は大作だけどこれもやっぱボナールだな(形容詞がないのかよ)。ドニの「フェルカーデ師の肖像」これも絵画的にして顔がナビってる普通でない色のうまさがあります。対して、ヴァロットン「アレクサンドル・ナタンソンの肖像」と「自画像」これがなんかすげー写真みたい。よーく見ると平面的な彩色の所もあるのかなと思わんでもないがやっぱり写真だな。

部屋通って階段を下りて収蔵品からナビ派いくつか。うーん、小品かな。自慢の「グラン・ブーケ」を経て、次の子ども時代のコーナー。ナビ派は子供描くの。ここもドニの振れ幅がデカい。「青いズボンの子供」の、この赤ちゃんの顔、なんか怖い。なんか女児向けホラーマンガに出てきそうだ。ヴァロットンの「ボール」は前も見たっけな、平面性も構図もウマウマ。ヴュイヤールの「公園」シリーズは、ウマいんだか人物が雑なんだかよく分からん(ウマいに決まってるだろと言うかもしれんが、そこは人それぞれの印象よ)。

裏側の世界、ということで宗教や神話やら。そうそう、ナビことゴーギャンにもそういう路線あったっけね。例の最後の大作とかね。ドニの「プシュケの物語」シリーズは、うーん、なんかセザンヌみたい? ここでイケるのは「彫刻家のナビ」ことジョルジュ・ラコンプ。「イシス」は赤い乳が大地の草となるが、乳絞り出してるインパクトが結構クる彫刻。隣の「存在」もウロボロスとデカい顔と女性器と精子が組み合わさったエキサイティングな彫刻。ほう、ナビ派って割とお上品かと思ったが、こういうワイルドなやつもいるんだな。ポール・ランソンの「水浴」は象徴派っぽい。

そんなわけで全体にいい感じで鑑賞できる。ナビ派を知らない人もこれでオッケーさ。
http://mimt.jp/nabis/

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