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2017年3月25日 (土)

これぞ暁斎!(Bunkamura ザ・ミュージアム)

もう十何年も前だと思うが、東京ステーションギャラリーで暁斎展がありましてね、行ったら浮世絵版画ばかりで、まーまたすごい量で、悪くないんだけど見てるとだんだん飽きてくる。以来暁斎展にはさほど期待していなかったのです……って、見たら2015年三菱一号館で暁斎展やった時も同じこと書いてたー。まーあれはなかなかよかったが、今回も、んー、まー、行ってみるかー、みたいな感じで。しかしなんとまあ今回は「これぞ」とぶち上げるだけのものがあーる! 肉筆イパーイで、得意というか神髄というかの動物ものや妖怪ものが満載でゴキゲンだぜベイビー。ゴールドマン氏のコレクションだそうで、初めて見るものが多い。金曜夜行ったが、金曜夜にしては人が多い。なんか暁斎もメジャーになってきたな。

オーケーベイビー最初にいきなり肉筆の小サイズの動物もの(コレクションの始まりらしいが解説の内容忘れた)。得意のカエルものあるぜ「蛙の学校」「蛙の出陣」。あと「カマキリを捉える子犬」がいいね、コロコロのキャワイイ子犬が野蛮行為してるぜベイビー。

次は「万国飛」ってなっているコーナー。何か? にゃんと「世界を飛び回った鴉たち」ってことで、全部カラスだぜベイビー。明治の内国勧業博覧会で出たヤツ(「枯木寒鴉図」)が有名なんだけど(確か本物を見たはずだ……うむ、三菱一号館で見てた)、他にもこんなに多くカラスを描いておる。おなじみ枯れ木にとまって寝ているようなヤツが多いが、他にも「柿の枝に鴉」みたいに口開けてカーってやってるヤツ、「日輪に鴉」の首曲げてるヤツ、「烏瓜に二羽の鴉」は二羽でカーカーやっている上に烏瓜の色がいいアクセントだぜベイビー。見て分かると思うが胴体は墨でワイルドに描いていて、目とかその付近は緻密に描いている。動物の眼力と野生の躍動感を同時に満たす計算が実に巧みだ。暁斎が鴉を好きだったのは、胴体が墨だけでイケるから、よりワイルドに表現できるからではなかろうか。

その流れで動物の世界。最初の「枇杷猿、瀧白猿」(そうか枇杷は「びわ」って読むのか)これも胴体はザザッと描いてあるものの、顔がスゴい。うめえなコンチクショー。エテ公のツラの絵にこれだけ感心したことはないかもしれん。あとは動物イロイロ。「鏡餅にねずみ」が普通にカワイイ。ここにも定番カエルがあり「蛙の放下師」、「蓮の上で踊る蛙」蛙が踊るなんてことはないのだが、暁斎が描くとなんか自然に見えるのがスゲエぜベイビー。

武道館じゃなかった文化村ベイビー。えーと次は幕末明治の転換期コーナー。何があったかな。なんか外人を描いた絵とか。一見目立たないような小さい絵でも結構面白く描いてたりする「雀の書画会」とか「蛙の人力車」とかイイじゃん。あーそうそう「放屁合戦」があるね。おなじみの版画だけど初めて見る人にゃ衝撃だ。「居眠り鯰と猫」という寝ているナマズに、猫が何匹もにゃーにゃー集まって普通にカワイイが、何をやろうとしているのかというと、デカい毛抜きを持ってナマズのヒゲを抜こうとしてるんだそうだ(隣の知らん人の会話)。ほう、その黒いブットイ線のヤツは毛抜きだったのか。ただ集まってダンゴになっているだけかと思った。そういえば今回会場内でウンチク語っている人が結構いたな。えーと野菜と魚介の絵がある。「五聖奏楽図」でキリストがおる。十字架の上なんだけど扇子とか持たされておる。「大仏と助六」助六がいるのは分かるが大仏? どこに? ……そういえば背景がなんか抽象画みたいで、目のように見えるこれは……ええええええ! そういうことかあ! となった。こりゃー面白いぜベイビー。「墨合戦」はデカい筆で墨を塗り合うヤツラで普通に楽しい面白い。「暁斎絵日記」があって解説に「コンダー」って出ているが、「コンドル」と呼ぶ方がおなじみなんだが。ジョサイア・コンドルは弟子で明治政府お雇い外国人建築家なんだじぇ。鹿鳴館作ったんだぞ。

福と笑いのコーナーで鐘馗がずらずら。ストレートに太線で描いた力強い鐘馗もいるが、コワモテのまま妙なことしてるヤツの方が面白い。「崖から鬼を吊す鐘馗」もいいが「鬼を蹴り上げる鐘馗」これいいな。蹴りのアクションと上の端っこまで蹴り上げられている鬼さんカワイソー。あと「鬼をおとりに河童を捕まえようとする鐘馗」の鐘馗の顔は逆にユルユル。鬼をどうおとりにしてるのかも見もの。あと「鬼の恵方詣」面白いぞ(解説読んで)。あとは「貧乏神」がマジビンボーだぜベイビー。

次は「笑う ー 人間と性」というコーナーで春画あり。春画は「笑い絵」とも呼ばれてましてね、女性でも楽しく見れるものも多かったようです(そうでないヤツも多かったと思うが)。「松茸の絵を見るお福たち」春画じゃないが、まータイトルだけ見てもどういうモノだか分かりそうなもんです。あまりリアルなブツじゃなかったな。それよりお福の群がいいですな。メデタイですな。「笑絵三幅対」は合体掛け軸三連発。猫がちゃっかりいるのがポイント。これまさに笑い絵。正月に子供の来ない部屋にこっそり飾っておけば気分はマジめでたいぜベイビー。思うに性の表現ってヤツは澁澤龍彦も言うところの健全なものは全然オモシロクナイという(男目線か?)ポルノグラフィと、この笑い絵のように男女の和合をもって福となすめでたい表現という二つの流れがあるはずだが、なんとなくポルノグラフィだけが目立って生き残っていて常に健全志向なヤツラとバトルしていて、結局性表現はこっちだけと思われているフシがなくはないかい。要するに世界にもっと和合を笑い絵をって言いたいようなそうでないような。まー、とはいえ、ポルノグラフィを唾棄する気はないんだけどね。

妖怪とかのコーナー。最初の「幽霊図」は行灯の光で演出。下絵もあるよ。「閻魔と人間の舌を抜く鬼」……い、痛そうだな。「地獄太夫と一休」は2つあるけど1つがポスターにもなっている踊る一休とガイコツの。暁斎は何枚も同じのを描いているが、今回のはかなりよくて、ノリノリの一休と全体に緻密丁寧に描いてある。うむ、これは見ものだ。「百鬼夜行図屏風」がデカい。面白い……が暁斎にしてはちょっと薄味かな。いや、まあここまでがスゴすぎた。

最後は「祈る」ってことで神仏などなど。「中国山水図」「雨中山水図」って、山水画がマジ山水画じゃん。「龍頭観音」がマジ仏画じゃん。達磨がマジ達磨じゃん……って何が言いたいかっていうと、戯画みたいな変化球じゃなくてストレート直球にその分野の作品を作っていて、これがまたウマいのだよ。羅漢がマジ羅漢でよ、顔も威厳タプーリだ。「寒山拾得」はちょいユルい感じ。

まーとにかく小品でも油断できない傑作が多いぞ。金曜は遅くまでやってるし行ってくれベイビー。
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/17_kyosai/

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