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2017年3月 4日 (土)

草間彌生 わが永遠の魂(国立新美術館)

私事だが小説を書いている。SFで3部構成で8割ぐらいできているが、何しろ一日あたりほとんど時間をかけないもんで遅々として進んでない。もう1年以上かかっている。で、第2部に草間彌生の影響を受けた画家が出てくる。第3部では宇宙空間に浮かぶ謎の存在が出てくるが、その名前が「ヤヨイ」というのである。もちろん語原は草間彌生。
んなわけで自分にとって草間彌生が特別な存在であるのは、宇宙や無限や量子力学や死後の世界や、そういう本をいろいろ読んだりして、そして到達したところが草間彌生の世界だと思っている次第である。彌生ワールドはもっと無限を扱う世界や宇宙科学や、あるいは哲学といった、そういった方面からのアプローチが可能であると、考えているのだ。よーするに「水玉キャワイイー」なんて言ってる場合じゃねーんだよ。まあ言ってもイイんだけど。

で、今回はまぎれもなく過去最大級には違いない。入ると最初の部屋に富士山の絵があるが、次の部屋はもう広大な空間で、そこに連作「わが永遠の魂」という作品を一挙130点公開。一つ一つもデカい。大空間の壁を埋め尽くす彌生ワールドの作品群にゃ仰天……まーその前に、その周囲の部屋が展示室で、概ね年代順になっているので見ていこう。

最初の部屋に初期作品。にしても最初の鉛筆画からして既にブツブツ的なものを描いているな。初期はエルンストみたいな形状が分かるシュールレアリズム作品が多い。「残骸のアキュミレイション」とかね。「残夢」なんぞもいいセンスしてるよな……ってタイトルだけじゃなんか覚えてないや。
がしかし、次の部屋から草間彌生らしさ本領発揮。「無限の網」の何作か。一見真っ白だが全面ブツブツだったりしてな。「凄い」とか「アートだ」とか思うと同時に「ビョーキだ」と思う人も少なくないに違いない。「Airemail Stickers」という「AIR MAIL」のシールをびっしり貼った作品は初めて見た。次はおなじみソフト・スカルプチュア。ソフトなイボイボというかイチモツイチモツがビッシリというヤツで。ええ椅子とか脚立とか、ボートもあるぞ。もう何度も見たけど、初めて見る人は多分普通にキモいであろう。何でも水玉にしちゃうパフォーマンス映像あり、著作の展示もあり。

部屋から奥の通路に入って、ここは最近の作品いくつか。ガラスの向こうは外で、おなじみ巨大な黄色い水玉カボチャが見える。室内にはキンキラのカボチャ作品がある。あと赤い水玉のマネキン群「水玉脅迫2017」がある。それからまた部屋に入るが、「生命の輝きに満ちて」という鏡の無限反射と、たくさんの光源を使った空間に入る。無限に広がって見える光源は一定時間で色が変化していく。宇宙っぽい世界にウットリしてもよし。「キャ~キレイ~」とチャラい叫び声を上げてもよし。えーオレの印象はね、これ確かタマキンこと埼玉県立近代美術館で見たんだよね。同じヤツだったかな。こんな色が変化してたっけ。まあとにかくこれはなんかエンタメ過ぎて、いや、草間らしくないとは言わないものの、こんな一般ウケするものを作るなよーとか思ってしまう。

次の部屋はニューヨークから帰った後のコラージュなどの作品群。ここがなかなか良かった。手堅い幻想絵画みたいで……手堅い幻想絵画ってのもヘンか。えええとソフト・スカルプチュアの健在で「最後の晩餐」というイボイボダイニングやら「ドレッシング・テーブル」というイボイボタンスとか。キャンバス作品になると俄然シャープになってきて「魂を燃やす閃光A.B.Q.」というのは人魂風のがイパーイ。「天上よりの啓示」も描かれているのはきっと生命の象徴。おお、そうじゃ、無限の生命の賛歌じゃという歓喜が沸き上がるような沸き上がらないような。最近の定番の一つである「黄樹」シリーズの部屋。黄色いブツブツのウネウネは一見キモいが、見慣れてくるとなんとなくいい感じで心地よさがある……ような。最後はおなじみ黄色いカボチャの絵で。

で、最初の大空間に戻る。周囲の壁一面にドバーッと飾られた色鮮やかな絵画群。中央に立体の大作。老いてさらにパワフル! 鮮やか! ステキ! オシャレ! うおおおおおっ! …………実はあんましオレはノってなかった。うーん、なぜだ? タマキ……いや埼玉県立近代美術館でやった「永遠の永遠の永遠」は結構感動したのに。なんで? どうして? と自問自答しながら大空間をウロウロ。撮影可能(携帯だけよ)なもんでシャッター音がウザいのか? 客層がミーハー(なんて今言わないか)が多くてイヤなのか? いやいや、そんなオレは排他的なヲタクではないはずだ。点数がありすぎて脳がオーバーフローしたのか?  …………埼玉で一番感動したのは実はモノクロ作品「愛はとこしえ」という作品群だった。そう、あれはモノクロだったんよ。この大空間にはカラーしかない。モノクロよりカラーの方が感動的に決まってるじゃねーかと思うかもしれないし、自分も概ねそうだと思うんだけどね、でも事実、オレはあのモノクロの方が良かったよなあ、としみじみ思い返す。思うに、カラーは色でも主張「できてしまう」もんで、描線にエネルギーを結集できないところがある、のではなかろうか。いや、単色作品もあるにはあったけどね。しかしなんてあの「愛はとこしえ」今回は出てないんだろうか。あー、あとね、全部にタイトルが付いてるんだよ。それで「自殺した私」とか「死の瞬間」とか、結構メメントモリなところにドキッとしちゃうぞ。
しかしまあこの大空間展示が圧倒的な現在の草間彌生ワールドであることは間違いないんで、ガムバッテ皆行くがよい。
http://kusama2017.jp/

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