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2017年4月30日 (日)

「ヴォルス-路上から宇宙へ」他(DIC川村記念美術館)

かねてから行きたかったところに、とうとう訪問。北からミサイルが飛んでこないことを祈りつつ京成佐倉まで1時間半、そこからバスで30分。送迎バスは無料なのに入館料1300円なんだから、都内に比べるとやっぱリーズナブルですな。敷地がデカくて庭園も広場もあって(レストランもギフトショップも屋台ピザもある)、美術館そのものもなかなかの大きさ。なんたって展示スペースに余裕があって贅沢だ。出品リストはないかと訊いたら、ネットでダウンロードしろと言うのだが、この場でどうしろっちゅーのよ。仕方なく適当な紙にメモる。

入って最初の部屋が印象派からエコール・ド・パリで、ファンタン・ラトゥールから始まって、モネ、ピサロ、ルノワールとか。キュビズムでないブラックの「水浴する女」が何となく珍しい。ピカソもあって「シルヴェット」うん、崩れてない女性像いいですね。シャガールのデカいのがあって「ダヴィデの夢」だそうです。キスリングの「姉妹」もなかなかだー

次の間に唐突にレンブラント「広つば帽をかぶった男」。自画像かと思ったが違うみたい。自画像に見えちゃう。こないだエルミタージュ展で、ハルスの似たような絵を見たような。

次の部屋に唐突に日本美術。唐突だから大したもんねーだろーと思ったら、なんと漫☆画太郎……じゃなくて長澤芦雪「牧童図屏風」顔が画太郎っぽい……よね。でも太筆の筆さばきがすげえな。南蛮屏風が一つあって、それから、なんだあのオキマリみたいな富士山は横山大観かと思ったら横山大観だった。富士山はアレだけど波の描写はいいよ。それから鏑木清方かと思ったら上村松園の美人画1枚。

細い展示室に初期抽象……うむ、これよく分からん。

シュルレアリズムとその展開。ここは好物。エルンストが扉に描いている作品「入る、出る」が珍しい。マグリットの「冒険の衣服」は初めて見る。裸婦を普通に描いているのは珍しい……いや別に珍しくないな。でも、なんかちょっとマグリットらしくないスゥイートな感じ。あとデュシャンの「大ガラス」と関連作品、とか。

次の小部屋が実はお目当てなのさ。ジョゼフ・コーネル! おお草間彌生の恋人というか親友というか浅からぬ仲にして偉大なるアーティストでありヤバい変人。例の箱が7つ出ているかと思ったら、3つだけで4つは平面だった。でも、3つの箱どれもスバラシイ。「無題(ピアノ)」の薄青のガラス、音符の箱、壁紙、うむ、箱の中に「世界」がある。「無題(オウムと蝶の住まい)」昆虫標本を配する繊細さと、ラフに造った箱、わざと剥げさせて古い感じを出した白い壁、つまり「時間」までも作品の要素として構築しているではないか。「海ホテル(砂の泉)」これもわざと箱を汚しガラスを汚し、箱世界を創造している。コラージュもなかなか悪くない……って、これは自分で描いた部分はどこなんだ? いや自分で描いたところはほとんどないのか? まあ、いずれもちゃんと構成されてうまい作品にはなっているが、やっぱ箱の方が見事ですな。

マーク・ロスコだけの部屋がある。入って驚いたのは、照明が暗いオレンジで、これでは本来の絵の色ではなくなってしまうではないか……いや、きっと何か理由があるに違いない。たとえばロスコが夕日の中で描いてたからこうしたとかとか。気になるんで、そこにいるスタッフに訊いてみたら、絵の具が大変デリケートでこの明るさが限界だというつまらぬ答えであった。あとで技法とか見たら、絵の具、顔料、全卵とか書いてあり。そうかただの油彩じゃないんだ。絵の方はおなじみの四角のヤツ。

サイ・トゥオンブリーって人の部屋。平面1つと立体一つで、一つの部屋を専有。マチエールがイケる。ここの部屋は窓もあって明るい。

フランク・ステラだけのデカい部屋。ハデ立体多数。そういえば屋外にも金属質のステラ立体があって、通りすがりのガキが「ガラクタ」と言ってた。確かにガラクタだが、見てるとなかなか面白いだろ小僧。隣の部屋はサム・フランシスとか、ポロックとか、あとは知らん。エンツォ・クッキって人の作品……名前どこかで聞いたよな、と思いつつ、このあとやっとヴォルスよ。

ヴォルスは20世紀前半の人で、アンフォルメル(形状があるようなないような抽象)の先駆とされるって。最初は写真撮ってた。カメラマンだったのです。いろいろあるんだけど、今で言う「自撮り」も並んでいる。百面相で表情をわざといろいろ変えてだな。あと「今夜のための」何とかとか、そんなタイトルの写真もあり、今ならインスタグラムでもやってんじゃねーかな。それからこの人、収容所に入れられ、その後は絵の活動に。最初は水彩が並ぶ。このあたりはまだ何が描いてあるか対象が一応分かる。でもパウル・クレーに似ているもんで、このままじゃクレーのパチモンと思われちゃってそれは困ると思ったか思わなかったか知らんが、形を崩し始め、線描写が細かくなり、そこに薄く彩色をして、立体のようなそうでないような線のような微妙な抽象表現を始める。このブレンドが絶妙で、見ていると何ともモヤモヤしたイイ気分になってくる。技法はグワッシュと書いてあるな。ええと不透明水彩絵の具だって。これがドライポイントになると……銅板を直接引っかいた版画だよな、あの緊張感のある独特の線になるんだが、池田満寿夫が描くとインモーになるところ、ヴォルスは似ているけど、インモーじゃないよな。じゃあ何かって言われると困るが。油彩もあって、これも立体かなそうでないかなの際どい絵は面白いが、明らかにグシャグシャしたのになると、ちょっとどうでもよくなってくるな。しかし全体として点数も多い。そういえば誰かがヴォルスの絵で作った映像作品もあったぞ。

これで出てきた。庭園にゃ噴水もあってデカい。歩いていくと芝生の広場もあって、屋台ピザ売ってたが一人で食うにはデカ過ぎる。レストランは並んでる。なもんでバスに乗って京成佐倉に戻り庄屋でサンマ食って帰った。
http://kawamura-museum.dic.co.jp/exhibition/index.html

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