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2017年4月 8日 (土)

大エルミタージュ美術館展(森アーツセンターギャラリー)

実はあんまし期待してなかった。まずこの会場は美術館というよりイベントスペースで、気分がイマイチ盛り上がらないんだな(とか何とか言いつつもルノワールの最高傑作を見たのもここだったが)。あと、ここは展望台とも森美術館とも別施設なもんで、ここのチケットでは展望台へは行けません。森美にももちろん入れません。これも何となく盛り下がる。さらに金曜夜行ったらチケット購入で結構長い列。うわあああとか思いつつしかたなく並んでいたら、ここのチケットは別の窓口で買えるんだって(デカく書いとけよ)。そう、長い列は皆展望台(あるいはマーベルか? なんか外人が多いが)なのさ。ちなみに森美術館はハルシャとかいう知らんヤツで……いや、そのうち行くけどね。という感じでローテンションで入場。す……すいてる。金曜夜とはいえこれで大丈夫か? 

最初は誰かが描いたエカテリーナ2世の肖像。ここだけ写真撮れる。でもただの着飾ったデブ女にしか見えんのでもちろん写真撮らない。

イタリア:ルネサンスからバロックへ、というコーナー。ティツィアーノ工房「鏡を見るヴィーナス」ダメじゃん。体が変だ。グイド・レーニの工房「エウロパの掠奪」おいおい「大」エルミタージュ美術館で工房作かい。グイド・レーニ持ってこいよ、とまあ、ああやっぱり的な冴えない気分で部屋の中央を見ると、あるじゃん! ティツィアーノ「羽根飾りのある帽子をかぶった若い女性の肖像」。い、い、いいいいじゃないかこれ。都美で見たフローラに匹敵するデキじゃん。しかも周りに客がいなくて独占状態。ごっつあんです。カルロ・ドルチ「聖チェチリア」聖なんとかってなっている以上宗教的意味があると思うが、それは描くための口実であって単なる美少女萌え画(だと思う)。フランチェスコ・フリーニ「アンドロメダ」アンドロメダを描くなら変態的に岩にククった絵を描けや。ボンベオ・ジローラモ・バトーニ「聖家族」マリア様が美白。おお、いかにもイターリアですな。

オランダ:市民絵画の黄金時代、のコーナー。おう、レンブラントの自画像があるぜ、と思ったらフランス・ハルス「手袋を持つ男の肖像」だってお。まぎらわしい。ホントホルストの「陽気なリューと弾き」「陽気なヴァイオリン弾き」を見て、あーここユルいオランダ風俗コーナーかーと思いきや、いきなりレンブラント「運命を悟るハマン」おお、おいおいおいなんかすげえのが来ちゃったよ! この主題は知らんものの、別に知らなくなって見るほどに味のあるさすがレンブラントじゃ。光と影、表情、手の描写、宝石の描写、シブい赤系の衣装。描いてあるもの全てが演出に生きていて全く無駄がない。これも独占状態。ごっつあんです。おなじみオランダ風俗ヤン・ステーン「怠け者」小難しい宗教ものが多くなりがちな中、和み系の風俗画で楽しめる。

フランドル:バロック的豊穣の時代、コーナー。ピーテル・ブリューゲル2世「スケートする人たちと鳥罠のある冬景色」ブリューゲルらしい人々点在のヤツ。ヤン・ブリューゲル1世のもある。ピーテル1世じゃないと気分上がらねえな(何がどう違うというワケでもないが)。巨匠ルーベンスもあったけどイマイチだ。ダーフィット・テニールス(2世)「牧童の女性」カ、カワイイな……それから「厨房」妙な空間っぽさ(?)がイイ。フランス・スネイデルス「鳥のコンサート」フクロウが楽譜持っているってのがポイントだな。これがないと単なる鳥の集合だしな。

スペイン:神と聖人の世紀、コーナー。ムリーリョが3枚も来ているじゃん! 「受胎告知」はマリア様、天使、聖霊のハト、百合の花、と必要アイテムをキメて描いている(宗教画だから当然か)。画風はムリーリョの、あのゆるふわ系(?)だお。「羊飼いの礼拝」あと「幼子イエスと洗礼者ヨハネ」これいいっすね。子供同士の戯れ合い。でもちゃんと宗教画だお。それからスルバラン「聖母マリアの少女時代」おっとこれはどこかで見たぞ……と思ったら同じ主題を何度も描いてんだって。

フランス:古典主義的バロックからロココへ。コーナー。なんつってもロココ多数で嬉しい。いや、ロココって言葉はよく聞くと思うが、実はロココの絵画の実物を見る機会はあんまりないのでね。ニコラ・ラングレ「春」「夏」ロコってるぜ。特に夏は水浴で、女性ばかりが半裸含めキャッキャウフフしておる。人類いつだってどこだって萌え萌えよ。ヴァトーの絵もある。ブーシェ「エジプト逃避行上の休息」これはロココじゃなくてマジもの。ブーシェに基づくコピーで、「ヴィーナスの化粧」やっぱスケベだなブーシェは。フラゴナール「盗まれた接吻」これも実にまっとうな、背中が痒くなるようなアホなテーマで実にロココらしい。おお、ヴァトー、ブーシェ、フラゴナールとロココ3兄弟(実際の兄弟ではない)そろったお。シャルダン「食前の祈り」おおっ! チャラいロココ時代にあって、一人孤高に静かな絵を描き続けたシャルダン「食前の祈り」いいね。彼の代表作じゃないか。何でこんな部屋の隅っこに展示してあるんだもったいない。客も来ないじゃないか。それから理想風景のクロード・ロランが2枚。

最後はイギリス:美術大国の狭間で、だって。クラーナハ……やっぱりオレはクラナッハ。「林檎の木の下の聖母子」うーん、いかにもクラナッハ(?)だな。ベンジャミン・ウェスト「蜂に刺されたキューピッドを慰めるヴィーナス」……こいつ絶対少年愛だろ。そういう描き方してるっちゃ。

そんなわけで、意外と満足。金曜夜に行った限りではティツィアーノやレンブラントは独占できるし、ムリーリョ3枚はそれだけでメシが食える。空いているうちに行っておくとよいと思うぞ。
http://hermitage2017.jp/

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